一人目を出産後、二人目の妊娠はいつから考えたらいいですか?【高尾美穂先生のお悩み処方箋】

産婦人科医の高尾美穂先生が、相談者の心に寄り添って優しくアドバイス!Mart読者世代である30~40代女性の人には言いづらいお悩みにお答えいただきます。今回は一人目を出産後、二人目の妊娠はいつから考えたらいいかについて伺いました。

目次

  • 悩める女性の心を軽くしてくれる!高尾美穂先生
  • 【相談テーマ】二人目はいつから妊娠できる?
  • 一人目が経腟分娩ならすぐに出産・妊娠が可能
  • 授乳時のバストトラブルは早めに対応を
  • 【高尾先生のお悩み処方箋】二人目の妊娠について
  • 【相談を終えて】正しい知識を知ることができて安心しました!

悩める女性の心を軽くしてくれる!高尾美穂先生

高尾美穂先生
産婦人科専門医・婦人科スポーツドクター・ ヨガ講師。産婦人科専門医として、女性の健 康をサポートしつつ、それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った治療を提案する一方、スポーツドクターとして、女性のプロアスリートへのサポートも行っています。雑誌やテレビほかさまざまなメディアでも、女性のお悩みへの優しいアドバイスが好評です。

【相談テーマ】二人目はいつから妊娠できる?

Mart読者

相談者:Yさん
大阪府在住
職業 会社員

一人目が経腟分娩ならすぐに出産・妊娠が可能

Yさん:去年33歳で、一人目を出産しました。二人目を考えているのですが、いつから妊娠できますか?ちなみに、産後半年で生理は来ています。

高尾先生:一人目の出産が帝王切開であれば、次の妊娠まで1年程度間隔を開ける必要があると言われています。ただ経腟分娩であればすぐに次の妊娠、出産が可能です。排卵していれば妊娠が可能なので、なかには生理が再開する前に、次の妊娠をする人もいますよ。

Yさん:今年の夏くらいまでには、なるべく妊娠できればと思うのですが……。

高尾先生:なにか急ぎたい理由があるんですか?

Yさん:夏に34歳になります。35歳を超えると妊娠しづらくなると聞いたので、気持ちに焦りがあります。

高尾先生:確かに、年齢を重ねると女性はもちろん、男性側も精子の質が落ちるのは事実です。二人目を希望するのであれば、早めに考えるのはいいことだと思いますが、35歳になったからといって突然、妊娠しづらくなるというわけではありません。ただし、一人目のお子さんのお世話や職場復帰などで忙しく、性交渉の回数が自然と減って、その間に年齢を重ねるとなかなか授からないということはあるかもしれません。

Yさん:なるほど、そうなんですね。二人目は欲しいものの、一人目の妊娠時はつわりがとても辛かったので、次に妊娠した時もそうなのかなと不安に思っています。

高尾先生:つわりは一人目が辛かったから、二人目も辛いとは限りません。二人目は特に辛い時期なく過ごせるかもしれないし、同じようにつわりがひどい可能性も。そのときになってみないとわからないところがあります。

Yさん:予想できないということなんですね。ちなみに出産後に生理痛が軽くなったのですが、何か理由があるのでしょうか?

高尾先生:可能性としては2つ考えられます。1つ目はYさんが指摘されていない子宮内膜症で、妊娠期間中に病気の進行が抑制され、出産後に痛みが軽減したという可能性があります。もう1つは経腟分娩をすると出産時に子宮の出入り口が柔らかくなるため、生理のときに経血などがスムーズに排出されるためその後の生理痛が楽になったということも考えられます。

高尾美穂先生

授乳時のバストトラブルは早めに対応を

Yさん:一人目の出産ではスムーズに卒乳できたのですが、バストケアなどは特にしていません。なにかした方がいいでのしょうか?

高尾先生:現状、トラブルがなければ必要ないと思います。ただ異常があれば、すぐに対処することが早期解決につながるので大切です。

Yさん:どのようなトラブルが起こりやすいのでしょうか?

高尾先生:授乳中や卒乳後にも起こりがちなトラブルは、乳腺炎です。最近感染や乳房に母乳が留まったりして炎症を起こします。乳房に熱感が出る場合は、まずは冷やしましょう。ひどくなって炎症が起きた場合は、抗生剤で治療をします。さらに感染が広がってしまった場合は、切開などの処置が必要となります。そうならないためにも、痛みや熱感があったら早めに病院に行くのがベスト。でも、子育てで忙しいとついつい自分のことは後回しになってしまうお母さんが多いので心配ですね。

Yさん:自然に治ることはないのでしょうか?

高尾先生:軽い症状であれば、自然に治ることもありますよ。授乳中の場合、病院では母乳の出ている量やあげ方などから、助産師さんに乳腺炎にならないためのアドバイスをしてもらえると思います。母乳が詰まることで感染を起こすことがあるので、日ごろからマッサージなどをしてしっかり出すことが大切です。

Yさん:日常生活から気をつけられることはありますか?

高尾先生:母乳は血液からつくられるので、水分はしっかりとった方がいいですね。忙しいと水分不足になりがちなので、意識してとるようにしましょう。

Yさん:そうなんですね。次の出産時に悩んだら参考にします。

高尾先生:一人目のお子さんがまだ小さいので何かと大変な毎日だと思いますが、ご希望の時期に二人目を妊娠できたらいいですね。

【高尾先生のお悩み処方箋】二人目の妊娠について

  1. 経腟分娩であれば、自然なタイミングで妊娠、出産が可能
  2. 帝王切開であれば1年前後間隔を空けること
  3. つわりなどは一人目、二人目で異なることも
  4. 授乳時に異変があれば早めに病院へ

【相談を終えて】正しい知識を知ることができて安心しました!

今の時代、情報が溢れすぎていると間違って認識してしまっていることも多々あるなと改めて思いました。更年期に影響を与えるから産後すぐには妊娠してはいけないものだと思っていましたが、経腟分娩だと問題ないことがわかって安心しました。また35歳になっていきなり体が変わるわけではないと知れてよかったです。

つわりの心配はありますが、そのときにならないと誰にも分からないので、覚悟そして妊娠に挑みたいなと思います。

バストケアに関してはまた二人目を授かれたときに、トラブルにならないよう水分をたくさん摂りたいと思います。

Mart読者

撮影/中林 香(高尾先生) 取材・文/酒井明子