申真衣さん「完全な初心者ママへの投資アドバイスは?」【お金連載 第6回】

撮影/倉本ゴリ<Pygmy company>

 

子育てを通して、今まで以上にお金の大事さを実感するようになったけど、お金の使い方や貯め方なんて学校では教えてくれなかったし、みんなはどうしているの……? そんなママたちの悩みにこたえるべく、元外資系金融会社勤務、現在は企業の取締役をされているVERYモデル・申真衣(しんまい)さんに、毎月読者から寄せられたお金に関する質問に答えてもらうコラム連載。第6回は「投資のはじめ方」がテーマです。(過去の連載はこちら

 

【第6回】今月の質問

友だちから「投資をやっている」という話を聞く機会が増えたけれど、お金に疎い私は損するのが怖くて……。それでもやっぱり始めたほうがいいですか?

 

投資は「なくなったら困るお金」ではやらない

 

私は幼少期からお小遣い帳をつけていたこともあって、早いうちからお金の管理には興味がありました。それでも「お金のことに詳しくないから不安」という気持ちも分かります。でも、投資をやっている人全員が金融の知識が完璧というわけではないのです。投資の基本を押さえて、少しずつ始めて慣れていくことが手取り早いと思います。

 

「みんながやっている」という通り、確かにこの数年で投資に興味を持つ人は増えていると思います。若年層を中心に、労働せずに投資だけで生きていくというトレンドも生まれているようです。でも、私はこの考え方はとてもリスクが高いと考えます。たとえば大きな遺産を相続した人なら運用だけしても生きていけますが、多くの人にとっては投資の額よりも働いて得られる金額のほうが大きいはず。また、投資でより多くの利益を得ようとすると、どうしてもリスクも高まります。投資初心者であるならなおさら、少額で始めるべき。手元にどれくらいの余裕資金があるか、まずそこから考えてみるのをおすすめします。

 

また、日常に支障をきたすほど頻繁にチェックが必要な投資も考えものです。私自身も今は1カ月に1回メンテナンスすれば済むような形で投資しています。ニュースはもちろん毎日見ますが、毎日売ったり買ったりするのは時間的に難しくて。リスクのバランスを見ながら、景気が良くなりそうだなと思ったら株を増やすなどしています。仮想通貨も持っていますが、これは突然ゼロになる可能性もあります。だから「この金額までなら」と上限をきっちり決めています。

 

投資を「節税」と思って始めてもいい

 

次に考えたいのは、何にどうやって投資するのかということ。投資というと株を思い浮かべる人も多いと思います。ここでいう株とは個別株、つまりある一社に投資して、そこから収益を得るということを指しています。ただ、個別株で利益を得るのは、初心者にはなかなか難しいのです。儲けるためにはみんなが知らないであろう、その会社の株価が伸びそうな情報を持っている必要があります。でもそんなことって滅多にないですよね。コロナ禍が収束しそうだから買おう、この会社が伸びそうだから買おう。考えるタイミングはだいたいみんな一緒です。そう考えると、投資初心者の人が個別株で大きくリターンを上げるのは難しいと思います。

私が初心者向きだと思うのは投資信託です。投資信託は投資家から集めたお金を専門家が株式や債券などの金融商品に投資してくれるというもの。個別株を買うにはある程度の金額が必要ですが、投資信託なら毎月少額から始められます。運用はプロに任せるので、「みんなが知らない情報」を必死で集める必要はありません。短期で売ったり買ったりはせず、長期的に預けるのが向いています。投資信託を選ぶときにはぜひ手数料もしっかり見てくださいね。

投資信託の中でも今人気があるのは、米国株式のインデックスファンド。インデックスファンドはさまざまな会社の株を少しずつ買ってまとめたもので、市場に連動している分、大きく利益が出るわけではないものの、リスクが分散できるといった特徴があります。特に米国の株価は近年とても好調。加えてコロナ禍は終息したという前提で株価は動いているので、さらに株価も上がっています。この先どうなるかは誰にも予想できませんが、10〜20年という観点で考えれば、そこまで大きく落ち込むことはないと思います。

 

投資信託を始めるなら、「つみたてNISA」を活用するのもおすすめ。通常、株などの投資で出た利益には税金がかかりますが、つみたてNISAを利用すれば年間40万円までが非課税です。投資をするだけで節税ができると考えてみるのもいいと思います。

 

たくさん儲けようとか、人よりも上手くやってやろうと思わなくていいんです。目安として、3〜5%のリターンが得られれば十分です。怖いといって何もやらないといつまでも経っても感覚が身につかないから、少額ずつでも初めてみてはいかがでしょうか。

 

取材・文/樋口可奈子

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