朝ドラ『舞いあがれ!』出演! 山崎紘菜「人と人の出会いは奇跡、と感じています」
CLASSY.モデルとしてのみならず、女優業の充実ぶりもめざましく、今期はついに連続テレビ小説『舞いあがれ!』航空学校編に出演する山崎紘菜さん。仕事でのよい出会いを糧として、多忙な中でも楽しみながら一歩一歩素敵な女性に成長していく、そんな朝ドラヒロインのようなライフステージ真っ只中の紘菜さんに、初朝ドラへの熱い思いとこれからのことについて、聞いてみました。
作品を通して新たな自分や違う一面を発見できるのは、この仕事の魅力
この仕事を始めて11年目に入った今も、全部の作品がターニングポイントだと捉えて向き合っています。ひとつの作品を終える毎に、新しい自分に出会えたり、違う一面を発見できるので、それがこのお仕事の面白さであり、魅力だと思います。作品との出会いは運とご縁が大きく、そのときの自分に必要な役に巡り合うと思っているので、ひとつひとつを大切に積み重ねているつもりです。その中で仕事への取り組み方を教えてもらったのは、初めてセリフをいただいた大林宣彦監督の現場でした。
「俳優部も照明部や録音部などと同じひとつの部署。表に立つ仕事をしていると、自分の力を過信しがちだけど、俳優が偉いわけじゃなく、大きなチームのひとつなんだよ」と監督が教えてくださって、そのスタンスは今でも私の原点になっています。
28歳になり、結婚と仕事の両立に悩む女性や若くして起業した社長、子育てに向き合う母親など、任せていただく役柄が大人になるにつれて、選択肢が多い今だからこそのリアルな悩みに直面することもあります。私自身、将来的には家庭を持ちたいけれど、今は仕事が楽しくて。このまま走り続けたら、結婚という選択はいつ選べばいいんだろう? 出産のリミットは? と、役を通じて考えることも。職業柄、実年齢を意識しないことが多いので、大人の役をいただくと、「私ってもうアラサーなんだ!」と実感します。最近は、現場のマネージャーさんやスタッフさん、共演者の方々も年下の方が増えてきました。10代の頃は緊張して集中できないこともありましたが、経験を重ねた今は自分らしくいられるようになったので、現場で緊張している若い共演者の方を見ると気持ちがすごくわかり、お芝居で力になりたいな、と思うようにもなりました。おこがましいですが、少しでも相手のためになるお芝居がしたいな、と。10代を振り返ると、自分をよく見せたいとか、自分のお芝居を高めることに一生懸命だったけれど、今は相手の気持ちを揺さぶることができたら、自分のお芝居も自然とよくなっているという考えになりました。相手と一緒に高め合うという視点を持てたことは、大人になったなと感じる部分のひとつです。
以前、深田晃司監督とご一緒した際に「まず共演者を大切にしてください」というお言葉をいただいたんです。「お客さんにどう映るとか届けるということよりも、目の前にいる人に自分の気持ちを伝えてください」と教えていただいたときに、相手のためにやっていることが結局自分のためになる、という考えは間違っていなかったんだな、と再確認できました。
『舞いあがれ!』に携わり、改めて人との出会いの奇跡を実感
朝ドラは俳優として多くの方が目標にしていて、私も「いつか出演できたらいいな」と思っていたので、今回『舞いあがれ!』の出演が決まったときは本当にうれしかったですし、夢がひとつ叶いました。朝ドラの魅力はヒロインの一生分のドラマが見られるところにあると思っています。私が出演する航空学校編は、舞ちゃんの人生のたった2年間の出来事ですが、その中にもたくさんのドラマがあって。人と人とがいろんなタイミングで関わり合い、影響を受け合って、未来を紡いでいくストーリーに携わり、改めて人生とは奇跡の連続なんだなと感じています。
私が演じるのは、商社勤務を経てパイロットを目指し、航空学校に入る帰国子女の役。商社時代にジェンダーの壁にぶつかり、それを克服するためにパイロットを志すキャラクターなのですが、令和を迎えてもまだまだ働くことと女性であることの両立には課題があると思うんです。その葛藤を私の役は担っているので、がんばっている女性に届けばいいなと、願っています。働く女性を取り巻く実態は、友達からの悩み相談から知ることも多いです。私自身、会社に勤めているわけではないので、会社員の友達と話すと発見があったり、視野が広がったり。だから相談されると「もっと、聞かせて!」ってなります(笑)。他にもYouTubeのコメント欄とかYahoo!知恵袋とか、今を生きている人のリアルな声をいろんなところで拾って、役に生かしています。
ちょうど航空学校編の撮影期間中に濱正悟くん、醍醐虎汰朗くん、福原遥ちゃんが誕生日を迎えたので、無地のTシャツに、輪郭、目、鼻……とみんなで分担して本人の似顔絵を描いて、サプライズでプレゼントしたんです。本人に隠れて控え室で描き合って、青春でしたね。遥ちゃんはそれを感じさせずに現場にいましたが、やっぱりヒロインは背負っているものやプレッシャーも大きいと思うんです。連日撮影で、セリフの量も一番多いし……。なので少しでも航空学校編のみんなで楽しい思い出を作り、ヒロインを晴れやかに次のパートに送り出せたらいいな、と考えていました。遥ちゃんとは、3度目の共演で東京でもよく会う仲。朝ドラの撮影期間中も毎日一緒に食事をしていて、撮影の合間は「今日の夜ごはん、何にする?」とごはんの話ばかりしていました。
比べる対象は人ではなく自分。そうすることで余計な肩の力が抜けました
CLASSY.の仕事では、毎回トレンドやコーディネート術を知ることができて、ひとりの読者としても楽しく勉強させてもらっています。JJの頃は、モデルとしてここにいるんだから、他のモデルさんと同じくらいのポージングや表情をしなきゃいけないと思っていた部分があったんです。でもあるときに、本業としてずっとモデルのキャリアを積んできた方に敵わないのは当たり前だな、と気付きがあって。自分にできることを考えたときに、お芝居の経験が強みになるんじゃないかと思い、その服を着た女性がどういう人か想像して演じることに注力し始めたあたりから、ファッション撮影に力みがなくなった気がしています。できない自分も許せるようになったのは大きかったと思います。二十歳くらいまでは人と比べてしまうことも多く、全員に負けたくないっていう変な意地がありました。比べるベクトルを自分にして、「自分に負けない」「自分に勝つ」を意識するようにしたら、人にも優しくなれたし、余計な肩の力も抜けました。
キャリアの年数にはこだわりがなく、ひとつひとつ積み上げていたら11年経っていたという感覚なので、「もう10年頑張るぞ!」と意気込むよりは、これからもコツコツがんばって気付いたら20年、30年経っているといいな、と思っています。昔の自分ができたことが今全く同じようにできるかというと、できないかもしれないし、昔以上のことができるかもしれないから、過去の自分に固執せず、今の自分にフォーカスしています。何歳までにこうありたい、のように年齢にとらわれないことも大切にしていて。年齢を理由に「できない」や「無理だよ」は絶対に言わないのもポリシーです。先の目標を細かく設定はしていないのですが、ハリウッド映画に出演した経験が自分の中で大きかったので、また海外作品に携わるのも目標のひとつ。これまでボクサーを演じたり戦う役も多かったのでアクションにも挑戦し続けたいし、ロックバンドが好きだからバンドマンも演じたい。そのために今はギターを勉強中です。
山崎紘菜
1994年生まれ。千葉県出身。第7回東宝「シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞、2012年に女優デビュー。映画『ブレイブ―群青戦記-』『LOVE LIFE』、WOWOWオリジナルドラマ『DORONJO/ドロンジョ』など話題作に出演。10月スタートの連続テレビ小説『舞いあがれ!』ではヒロインの航空学校の同期・矢野倫子を演じる。また公開待機作としてドラマ『三千円の使いかた』(東海テレビ2023年1月7日~放送予定)などがある。
撮影/山根悠太郎(TRON) スタイリング/乾 千恵 ヘアメーク/MAKI 取材/坂本結香 編集/永吉徳子(CLASSY.ONLINE編集室)
【衣装】
コート¥198,000 パンツ¥85,800(ともにADEAM 東京ミッドタウン店) ピアス¥13,200(ワンエーアールバイウノアエレ/ウノアエレ ジャパン) ブーツ¥64,900(ロランス/ザ・グランドインク)
【問い合わせ先】ADEAM 東京ミッドタウン店 03-3402-1019/ウノアエレ ジャパン 0120-009-488/ザ・グランドインク 03-6712-6062