日本では離婚後の「共同親権」が認められないのはなぜ?|SHELLYのこれってママギャップ? 【2】
あらためてのご報告ですが、この度離婚してシングルマザーになりました!平々凡々幸せに暮らしていたと思っていたある日、元夫から本当に突然「離婚しよう」。 えっ?ですよ。
想像だにしていなかったし、何なら引っ越そうなんて話もしていた最中で、あまりのことに涙も出ませんでした。一時の気の迷いでしょと思って、何度も話し合ったし、一緒にカウンセリングにも通いました。でも夫の気持ちは変わらなかった。冷静に話をしていくうち、だんだんと夫婦の関係が俯瞰で見られるようになり、私も「あれ? ずっと無理していたのかも」と気づいたんです。
思えば2人目が生まれ、産後うつっぽくなっていたあたりから、うまくいっていなかったんです。2人目育児の始まりが想像以上に大変だったのに、夫は前にも増して多忙で、1人目のときより明らかに助けてもらえる度合いが減っていました。そのとき女って「しょうがない」ってなんとかしちゃうんですよね。そうやってひとつひとつの問題をなかったことにしていたなって。
姉たちやカウンセラーは離婚に絶対反対すると思ったのに、相談しても誰も止めませんでした。それどころか、そっと離婚への扉を開いてくれた気さえする。カウンセラーに、「なんでそんなにがんばるの?」って言われて、初めてぶわっと泣きました。そうやって話し合ううち、「もうがんばらない!」と私も180 度考えが変わったんです。結婚している理由って何なんだろう?ってたくさん考えて、結果、離婚に至りました。
離婚して… 元夫の仕事が忙しく、もともとほぼワンオペだったので、気を遣う相手が減った分、正直なところすごく楽になりました。週に1回以上は元夫に預けることに決めたから、離婚前より一人の時間もある。寝かしつけた後に、誰にも気兼ねなくHulu観ながらお酒飲んでる生活です(笑)。元夫は優しくなったし、一人で子ども2人を見る大変さもやりがいも初めて感じているようで、すごく変わりました。このままこの関係を続けて、いい父と母になっていければというのが一番の願い。そうあるなら、元夫に彼女ができようが、もちろん全然構わないです。
そう、離婚してもお互い「親」です。ニュースでは、「親権はSHELLYが持つ」と書かれていたけれど、それは法律上の話。世界で標準的な「共同親権」と考えて育てたい。日本は単独親権で、例えば養育費はアメリカと比べてもとても少ないし、女性の稼ぎが多いともらえないケースもありますよね。アメリカだと女性の年収にかかわらず、男性の給料の半分くらいが養育費となったり、国から天引きされて支払われることも多い。日本では女性が再婚すると新しい父親ができて、元夫は父親ではなくなるような風潮があるのも不思議です。どうして母と子どもの関係だけが絶対で、父と子どもは行ったり来たりなんだろう。男性だけ、離婚すると「未婚の男子」へ振り出しに戻ってるというか。それに父親も、子どもに会わせてもらえなくなっても「仕方ない、親権ないし」と簡単に引き下がる場合が多い。でもそもそも養育費だって最初は払っていても、まったく払わなくなるケースが多いと聞きます。
ついでに言えば、紛れもなく自分の子なのに「認知」しないって何!?と思う。認知しない自由があることが信じられない。制度設計がすべて、男性有利になるようにできているんだなと思います。母子家庭の貧困率も問題になっていますが、本当にこれは、どうにかしなければいけないことですよね。
我が家は幸い、すべて平和に話し合いができました。年に1度は子どもたちの合同誕生日会のために、双方のじいじばあばも集まるはず。元夫の親との付き合いも続きます。夫婦仲がこじれているから、子どもを父親に会わせたくないという人もいますよね。でも、ここで親は絶対大人でいるべきと思っていて。母の気持ちひとつで、子どもから父親を奪うことはできないよねと。
DV夫だったりする場合はもちろん別です。離婚前気持ちが荒れたときは、“彼を傷つけるために子どもを利用しよう”という気持ちが、私にも生まれなかったわけじゃありません。でも、それはいけない、その感情に勝たないと、と。父や、父方の祖父母も、変わらずあなたを愛しているよと子どもに示すことは何より大事だと思うんです。何より大事なのは子どもたちだから。 もちろん私も、娘たちの引き渡し時などに元夫の母に会ったりするのが、気まずくないわけじゃない(笑)。でも笑顔で振る舞うことで、子どもは子どものままでいられて、早く大人になることを防いであげられるんじゃないかなぁと思うんです。
◉SHELLY|シェリー
1984 年生まれ、神奈川県出身。14 歳でモデルとしてデビュー以後、タレント、MCとして幅広く活躍。4歳と2歳の娘の母。
撮影:須藤敬一 取材・文:有馬美穂 編集:羽城麻子
*VERY2020年2月号「シェリーのこれってママギャップ? Vol.2」より。