《29年間ビューティ担当のベストコスメ》【第30回】ポーラのB.A ライト セレクター
太陽光においては紫外線や近赤外線といった悪い光が、圧倒的に強いのです。だから防ぐことばかり考えてきたけれど、そういえば子供の頃は太陽の光を浴びると健康になる、と言われていましたよね。進化著しい日焼け止めの中で、そんな太陽光の良さを再び取り入れようという新しい発想が、私たちのライフスタイルを楽しく変えるはず。スキンケアとしても抜かりなしの逸品です。
今月の殿堂コスメは、女性を自由にする「日焼け止め」、ポーラのB.A ライト セレクター
B.A ライト セレクター 45g ¥11,000 SPF50+/PA++++(ポーラ)。自律神経に作用し、体に負担なく入るため医学の分野では癌を見つけるのに使用され、植物の光合成でも多く取り入れられるという良い光の代表「赤色光」に着目。肌に有害な紫外線と近赤外線をカットし、肌の支えである皮下組織のRCを強化する赤色光を選択して取り入れる斬新な日中用クリーム。ハリ感・弾力感をサポートする「ADDライトエキス」(オタネニンジンエキスとゴボウエキスの複合成分)の他、肌誕生因子「バーシカン」の産生をアップする「ゴールデンLP」、透明感ある肌をサポートする「YACエキス」、肌の糖化に着目した「EGクリアエキス」と、ポーラオリジナル成分満載。ポーラは1955年に紫外線吸収剤配合のクリーム「エトワール ダルジャン」を発売、2014年発売の「B.A ザ プロテクターS」で、紫外線だけでなく近赤外線の防御を実現した。2020年3月2日発売。
\ここがすごい/
1:太陽光の悪い光を防ぎ、良い光を肌に取り入れる新発想
2:単なる日焼け止めでなく、スキンケアとして最高レベル
3:私たちの生活を縛るものから解放してくれる
太陽光と闘うだけでなく、その良さを取り入れる。私たちの行動を変えるほどの新発明的日焼け止め
日焼け止めはバカンスだけでなく、もはや毎日、家にいる時でも欠かせないアイテムになりました。でもどちらかというと仕方なくつけている、ポジティブではない存在。しかしですよ、ここにきて日焼け止めの進化がすごいんです!肌のトーンアップ、スキンケア効果、いかに心地よく快適に過ごせるかまで考えられた製品が続々と登場。その中でも私が唸ったのは、「B.Aライト セレクター」。今や常識化している〝太陽は敵〟モードを覆す製品だからです。ゆらぎ肌である私は冬でも日傘を差し、荷物が多い時など「ああ、日傘が邪魔」と感じていました。B.A ライト セレクターをつけていればそんな時も大丈夫。さらに、日焼け止めに敏感に反応する私の肌でも、つけていてまったく負担がありません。
海水浴が広まった1923年に日本初の日焼け止め「ウビオリン」が資生堂から発売されて以降、紫外線の害は広く認知されてきました。1980年、資生堂が日本初のSPF(UV-B防御力の指標)を表示、1990年に各社の数値を統一したSPF測定法が標準化し、1996年、資生堂が世界で初めてPA表示(UV-A防御力の指標)を開始。そして現在は近赤外線の害に注目が集まっています。
ここで、横にしたリボンを思い浮かべてください。左端に波長の短い紫外線(UV-B、UV-A)、真ん中に可視光線、右端に波長の長い近赤外線があります。UV-Bは、表皮の炎症からメラノサイトの活性化を促してシミや糖化に、UV-AはUV-Bより波長が長いので真皮内まで入り、コラーゲンやエラスチンの産生を阻害してシワやたるみの原因になります。近赤外線は1800年頃に紫外線とほぼ同時期に発見されたものの、紫外線は肌が黒くなるという分かりやすさから早くから研究が進んだのに比べ、近赤外線と肌の関係性が分かったのは2005年頃。はっきり検証できたのは、もっと後の話です。
ポーラは2014年、「B.A ザ プロテクターS」で、紫外線の他に「近赤外線」の防御を早い時期に実現しましたが、その後「太陽光って悪いことばかりなの? 日の光を浴びるのは気持ちいいはずだよね」という声が社内から上がったそうです。研究所では太陽光が、表皮・真皮の下にある皮下組織にどんな影響を与えるかを研究し始めており、それを受けて悪影響だけでなく良い影響も解明することに。
ポーラの研究によると、皮下組織は9割が脂肪で、杭の働きをする「RC」という太い線維束に支えられています。太陽光にさらされる部位では、RCの束がほぐれて細くなっていました。続いてどの光が影響するのかを実験すると、皮下組織に到達するのは紫外線より波長の長い近赤外線であり、RCの線維を束ねるタンパク質を分解していることが分かりました。そして、すごいのはここ、同時に近赤外線に隣り合っている可視光線「赤色光」も皮下組織に届き、こちらは、細胞のエネルギー産生を高めて、その結果RC細胞が増えることを発見。
では近赤外線は防御し、赤色光を取り入れるにはどうすれば? 解決の鍵は「粉体」でした。ご存知でしたか? 日焼け止めには「粉体」がマスト。波長によって大きさが異なるので、太陽光の両端にある紫外線カットと近赤外線カットにはサイズの違う粉体が当然必要です。しかも悪い近赤外線と良い赤色光は隣りに存在するため、近赤外線をカットすると赤色光もカットされてしまう。そこで開発されたのが、近赤外線カット粉体にコーティングし、赤色光は透過する特殊コーティングパウダー。これで光を選別するという離れわざを可能にしました。さらに、赤色光によるRCへの好影響を助けるために、RCを束ねるタンパク質(MFAP4)を強化するゴボウエキス、近赤外線によるRCの分解を抑制するオタネニンジンエキスも配合。
B.A ライト セレクターは太陽光と「闘わずして勝つ」という発想の名品であり、スキンケアとしてもハイレベルです。糖化に対応し、保湿に優れ、生き生きとしたツヤや透明感を導くB.Aのエイジングケアが叶います。毎日使うものとして心地よく、単なる太陽光からの保護だけではなく内側から改善していくことで、アンチではなく女性を縛るものから解放してくれる存在だと言えるでしょう。
\使い切っています♡/
パールより大きめの粒を朝、顔とデコルテにつけて1本で約2カ月もちました。ジェルとクリームを組み合わせたテクスチャーで、瑞々しいけれどピタッと肌に留まるためプロテクトされている安心感があります。香りも爽やか。ファンデーションは紫外線を防御するけれど、波長の長い光の防御は苦手です。マスクをつけていても同じだそう。つまりファンデやマスクをつけていても室内でも、近赤外線と赤色光は肌の内部に届くのです。近赤外線を防ぎ、赤色光の恵みを受けるには、B.A ライト セレクターを使うのが最善の方法。近所に買い物に出る時に日傘がなくてもいいって本当に楽だと実感しています。
『JJ』時代から美容を担当。スーパーモデルブーム、 日本上陸前のM·A·Cをブレイクさせる。愛ある視点で厳しく化粧品を選び、「コスメは感動!」が信条。美ST ONLINEでの連載「30年目のコスメ愛」も好評。
2020年『美ST』7・8月合併号掲載 撮影/河野 望 イラストレーション/大沢かずみ 編集・文/石原晶子