放送作家・野々村友紀子さん 40代のトンネルを抜けた「姉御メンター」たちの金言Vol.1

子育てもキャリアも落ち着いてきた40代は、「自分の生き方がこれで良いのか」「この先もずっとこのままなのか」と今までの人生を振り返って、不安やあせりに駆られる人も多くみられます。そこで、自分を見つめ直し、自分なりの答えを見つけた姉御メンター達に「これからの過ごし方」のヒントになる言葉を聞きました

★ 察してほしいという気持ちを取り払うことが、夫婦関係修復の鍵になりました

【野々村友紀子さん(46 歳) 放送作家】  1974年生まれ。芸人として活動後、放送作家へ転身。夫は、芸人〝2丁拳銃〟の修士さん。

結婚生活を続けていく過程で誰もが試行錯誤したり、すり合わせ作業をしていると思います。家ごとに問題は違うと思うのですが、我が家の問題は明らかに〝家事〞でした

仕事は増え、家事は減らず、しんどさは増していくばかり。同じような喧嘩を繰り返し……。そんな時、理想などは一度取り払い、まず家事の総量について知ってもらおうと思ったんです。

「やってほしい」という私の気持ちと、「やっているのに」という修士くん。総量が見えないからずっと交わることがないと気付き、具体的な話をすることに。

家事リストを提示したことで、彼も家事を把握できるように。

例えば、麦茶を作る。それも家事の一つなのですが、大きく「料理」というカテゴリーに入っていて、なんなら麦茶は冷蔵庫の中で自然に湧き上がってきていると思っているんじゃないかと(笑)。

麦茶だけでなく、サランラップの始まりの部分を探すとか(笑)、そういう些細なことも全て書き出して148項目の家事リストを見せながら話し合うことに

そこからは展開が早かったですね。目の前に総量を提示されれば、男の人も分かるんです。家事の総量や流れについて理解してくれたことで、自然と手伝ってくれることが日に日に増えていきました

話し合いのおかげで、修士くんはお弁当も作るように。

しんどい、やってほしい、けれど察してほしいと私は思っていたんですよね。手伝ってよと言うのも嫌だったので。

もちろん察してくれるわけはなく、イライラが端々に溢れ、向こうは怖がって更にそっとしておく。そう繰り返していましたが、察してもらいたいという気持ちはもう持たないことに決めました

今は毎月終わりにスケジュールを照らし合わせながらきちんと話し、助け合うために把握し、お互いがやりやすい環境を整えるようにしています

そして、家事をしてくれた時はきちんと感謝を伝えて褒めることも大切。ダメ出しはだめ(笑) 。それもこれも全ては自分のためなんです。自分さえ我慢すれば……、そうしてイライラしながら生活するより、ラクになりたいじゃないですか。不満はぐっと抑えて褒めるんです、女優になって(笑)。

リスト出ししましたがきっちり家事を分けすぎないことも大 事。マイナス探しではなく、お互いできたことを加点して いくようにしています。

我が家はたまたま家事が問題でしたが、家それぞれに議題はあるはず

察してほしいという気持ちは取り払い、ゼロからきちんと向き合って話してみること。そうしてオリジナルの家庭をカスタムしていくのが結婚じゃないかなと。老後はどうせ2人になるのだから、今のうちに問題は排除しておき、楽しい老後を送りたいですから。


◎ 妻がやる家事をリストにした書籍を出しました

まわりから見ればたわいもないことでも夫婦となると一大事。自らの経験を言葉にした本。

『夫が知らない家事リスト』著:野々村友紀子(双葉社)

撮影/森脇裕介 ヘア・メーク/松原美穂 衣装協力/smeralda 取材/柿本真希 ※情報は2021年4月号掲載時のものです。

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