プロデューサー・尾見 紀佐子さん 40代のトンネルを抜けた「姉御メンター」たちの金言Vol.2

子育てもキャリアも落ち着いてきた40代は、「自分の生き方がこれで良いのか」「この先もずっとこのままなのか」と今までの人生を振り返って、不安やあせりに駆られる人も多くみられます。そこで、自分を見つめ直し、自分なりの答えを見つけた姉御メンター達に「これからの過ごし方」のヒントになる言葉を聞きました

★ 専業主婦時代と、仕事と家庭の両立に苦戦した、両方の経験が第二の人生に導いてく

【尾 見 紀佐子さん(50 歳) プロデューサー】㈱マザーディクショナリー代表。「かぞくのアトリエ」をはじめ、「代官山ティーンズ・ク リエイティブ」「景丘の家」を運営。その他 イベントプロデュース、マネージメントなど。

20歳の頃に20歳年上の人と結婚。その後、子どもが3人生まれ、子育て中心の日々が始まりました。

子育てと家事に没頭した10年と、仕事を覚え、家庭との両立に奮闘した10年。夫と過ごすことで色々な世界を見せてもらっていましたし、それと同時に亭主関白だったので毎日ずっと台所で過ごしていた気もします。

修業だと思えるような大変なこともありつつ、いつか別々の道を歩んでいくのではないかと自覚をし始めながら、穏やかに家庭生活を送れるよう努めていました。

離婚を決意したのは30代後半。体を壊し、心も壊れそうになった時には限界を超えていました。

子ども3人を養っていける経済力なんて持っていなかったので、踏み切れなかった数年間。

でも、不安になるのをやめようと決めたんです。それをキッカケに、周りを取り巻く環境が変わっていきました

働きだそうとしたタイミングで、「かぞくのアトリエ」という子ども・親子支援センターの話があり、ママ達のためのmother dictionaryというフリーペーパーの活動をずっとやってきて、お母さんたちが何を求めているのか明確なヴィジョンが見えていたし、場所や企画、イベント、ワークショップの運営など全てやってきたので、私の経験が活かせるのではと思いました

3人の子育てをしながら、元ご主人が創刊した「dictionary」というフリーペーパーの、 お母さん向けの別冊を作っていたそう。

子育てに没頭した専業主婦時代もあるからこそ、お母さんたちの気持ちに寄り添えると。不安をなくすという切り替えは大変でしたが、形にしたいという明確な目標を持てたことが大きな力になった気がします。

そしてこれからどんなことがあろうとも、これまでの20年間の経験は否定せず、宝として持っていようと思っていました。経験があるからこそ、今がある。お母さんという存在は家族のマネジメントをしてきていますし、時間がないので無駄なことはしない。

家事と母親業ができる人は、仕事も同じくできるんです。

離婚後に住んだ家の庭に少しずつ自分なりに手をかけてきたことで、 今では森のように生き生きと緑深く茂った庭に。一緒に成長してきたなぁと嬉しくなります。

あとは、自分が何を好きなのか、得意と感じるのか、そこを自問自答しながら大切にしていくこと。そうするとその先に出会いや仕事が待っていると思います。

一歩踏み出すしかないんです。やってみたことで見えてくる自分が必ずある、自ら経験してそう実感しています。

これからやりたいことがたくさんあります。そしてまた10年後の自分がどう過ごしているのか、それは未知。今からとても楽しみです。

撮影/有坂政晴 取材/柿本真希 ※情報は2021年4月号掲載時のものです。

STORY