脳科学者に聞いた「他人がうららやましく思えるとき」の対処法

私たちの日常をザワザワさせる〝うらやましい〟気持ち。リアルな世界だけにとどまらず、ネットの世界でも私たちの心を乱す〝うらやましい〟気持ちについて、その正体や付き合い方を話題の脳科学者、中野信子さんに教えていただきました。

〝うらやましい〟と思ってしまう気持ちと上手に付き合う方法とは?

自分の意思とは関係なく心の中に生まれて、取り扱いに困ってしまう〝うらやましい〟気持ち。〝うらやましい〟気持ちに振り回されない対処法を中野さんに教えていただきました。

うらやましさを感じる相手と自分、それぞれの違いを認めて尊重する

「自分にとって自分が大事」とい

「自分にとって自分が大事」ということは、当たり前のことですよね。でも、人間は「他のすべての人にとってもそれは同じだ」ということを忘れてしまいがちです。自分にとって自分が大事なように、あなたがうらやましさを感じた相手もひとりの人間で、傷つきも悲しみもするし、完璧なように見えている陰では、完璧に見せる努力を痛いほどしているのかもしれない。そのことを時には思い出してみましょう。相手を攻撃したり、引きずり下ろしたいという気持ちになった時、その人にも人生があって、痛みを感じないわけがないのだと思えたら、わざわざ時間と労力をかけてその人を攻撃するのがむしろばかばかしくなるでしょう。自分が仕掛けなくても、いつか必ずその人は何らかの理由で痛みを感じます。痛みを感じない人生は、論理的にあり得ないからです。別にあなたが汚れ役にならなくてもいい。そんなことをするくらいなら、もっと自分のために時間を使いましょう。あなたとその人は、そもそも「違う人生を送っている、違う人」です。自分が相手と違うことは本来、苦しみではなく「価値」なのです。誰かと比べる前に、自分が誰とも違う価値を持っているんだ、という自信を育てられるように、イヤな感情を自分のためのエネルギーに変える練習をどんどんしていきましょう。

お話をお聞きしたのは…

中野信子さん 脳科学者、医学博

中野信子さん
脳科学者、医学博士、認知科学者。脳や心理学をテーマに人間社会に生じる事象を科学の視点からわかりやすく解説した著書やコメントが多くの支持を集める。嫉妬する感情について取り上げているヤマザキマリ氏との共著『生贄探し 暴走する脳』(講談社+α新書)をはじめ、著書多数。

イラスト/島 タイガー 取材/加藤みれい 再構成/Bravoworks.Inc