元女子バレーボール選手大山加奈さんが考える「子どもスポーツの本質」

親の負担の背景には昔から続く〝勝利至上主義〟があります。
そもそも本質が間違っているんです

元女子バレーボール選手 大山加奈さん 小2からバレーボールを始め、小中高全て全国制覇を経験。日本代表としてアテネオリンピックにも出場。現在、NESTAキッズコーディネーショントレーナーやJADPチャイルドコーチングアドバイザーの資格を持ち、全国の小中高で指導も行う。2月に双子の母に

バレーは小2から始めましたが、親は当時かなり手伝ってくれました。今、私は全国の小中高へ指導に行きますが、親御さんたちは昔と変わらないお手伝いをしていますね。親たちがいくつもの〝ジャグ(ひねるとお茶が出てくるタンク)〟を用意する「お茶当番」や、監督のお昼を手配する「お昼当番」、休憩時間の「おやつ当番」なども。

それはどうしてかというと、私の経験の中では、試合で〝勝つこと〟が優先されているからなんです。勝つためには練習時間のロスを少しでも減らしたい。だから練習以外のことは、親にやってもらったほうが早い……。

でも、それでは本質が間違っているんですよね。何のために子どもたちにバレーを教えているのか。本来は、親が手伝っているようなことにも子どもが取り組むことで、バレーを通じて子どもに自立心を育んでいくべきです。小学生バレーなどの試合に出るには、監督が資格取得された方々なの で、指導もしっかりされています。ですが、〝勝利至上主義〟は親の負担が大きくなるだけではなく、のびのびとした子どもの成長にとっても良くないことなのかもしれません。

    全国の子どもたちと一緒に楽しみながら、指導することを心がけている。
    漫画『ハイキュー!』のユニフォームを着た7カ月の双子たち。「バレーボールをしたい、と言ったらやらせるけれど、それ以上に子どもたちにはいろんなことを経験させたい!」

撮影/吉澤健太 取材/東 理恵 ※情報は2021年11月号掲載時のものです。

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