広末涼子さんと尾木ママが対談!「思春期の子を持つ親の乗り越え方とは」

Junior STORYのシンボルでもあるお2人にたっぷり語っていただきました。思春期の子どものこと、親としての姿勢。広末さんのここでしか聞けないエピソードにも注目です。

広末涼子さん 女優
1980年高知県生まれ。14歳でデビュー後、CM、ドラマ、映画など数々の名作に出演。日本アカデミー賞などの受賞歴もある日本を代表する女優で高校生、小学生、幼稚園児の母。

尾木直樹さん 尾木ママ/教育評論家
1947年滋賀県生まれ。早稲田大学卒業後、私立高校、公立中学校教師から大学教員に転身。現在は法政大学名誉教授。臨床教育研究所「虹」所長。テレビなど様々なメディアでも活躍。


母10年目、子どもが急に変わってきた。
親も変わらなきゃ。

―― 心を離さずに親が壁になって 乗り越える

尾木: 男子より女子のほうが1年半くらい早いのだけど早い子は小4の終わりごろからプレ思春期が始まる。この時期に子どもに変化があるのは身体的な発達が関係しているのよね。

広末: 同性のことならわかるけど、男の子の体の変化のことがわからなくて、第一子の時はすごく振り回されました。

尾木: キレやすくなったりするのはホルモンのバランスが崩れて感情をコントロールできなくなるからなの。体の変化が現れた時に、自分の心と向き合うようになって、親の言うことに矛盾を感じて反発したり、不安になって甘えてきたりしながら親離れが始まる。だから変わって当たり前。

広末: 体の成長に心が追いついていない葛藤があるっていうのは親として側で体感しました。うちではお風呂掃除が子どもたちのお手伝いで役目なのですが、その掃除の最中に長男と言い合いになって、息子が「うるせぇなぁ!」って振り上げたブラシがたまたま私の指に当たって腫れちゃって。その時は子育てしながら女優は無理かも…って思いました(笑)。

尾木: 母親はね、辛いのよ。お腹を痛めて産んだ子だから余計に「クソババー」と言われたりするとね。

広末: 落ち込みます。でも保育士をやっている妹に「おねえちゃんに全部出せているから大丈夫」って勇気付けられて。 怒ったり、泣いたりして本音を出し合えたから乗り越えられたのかも。今は第2子が思春期の入口。長男が親のように対処してくれたり、「オレで経験してるんだからわかるだろ」と言ってくれるんですけど、思春期とひとくくりにできない。 同じ兄弟でも全然違うんですよね。

尾木: そうね、色々な子がいる。教育現場で見てきたけど、甘え上手な子たちはわかりやすいし関わりも多くなるけど、何を考えているのかわかりにくい子もいる。でもそういう子と話してみると想像力が豊かで独創性があって多感だったりするの。そのくらいの年齢ってすごく心の変化が激しい時期なのよね。中学校の教師をやっている時はそういう子と3年間付き合う。とても大変だったけど、楽しかった。思春期の子って面白いわよ〜!

広末: 中学生ってちょっと悪いことや刺激的なことをみんなでしたいっていう好奇心も湧く時期ですよね。禁止すると噓をついたり、抜け道をさがして、隠れてやろうとするから、家で集まるようにしていました。長男の時は私も若かったから、卓球したり、人狼やったりして一緒になって楽しんでました。ダメなこともなぜダメなのかを一緒に考えたり。

尾木: 若くして子どもを産んだ「ギャルママ」とか言われている人たちの育児が上手で感心したことがあって。彼女たちは子どもの気持ちに寄り添うのが上手なの。「自分がその年齢の時、どうしてもらいたかったかな」って考えると気持ちがわかるって。

広末: 上から目線ではなくて、同じ目線になれるってことですよね。育児に関しては親の年齢は関係ないですね。境遇も悩みも違うけど、母としての思いは同じ。第一子の時は新米ママだったけど3人もいるとすっかりベテランの存在で(笑)。 結構、ママ友に育児の相談されます。

尾木: 3人育てながら女優さんをやってるって、ほんと立派よ。

広末: 長男が字が書けるようになったばかりの時、七夕の短冊に「ママのお仕事がなくなりますように」って書いてあって。彼の思いも聞かずに「ママの仕事がなくなったら、美味しいものも食べられないし、おウチにも住めなくなるよ」と今となっては反省の対応をしたことも。

尾木: そうやって母親も育つのよね。若いママも働くママも、シングルのママも、子どもを育てるということに関してはみんな同じ立場。愛情やスキンシップは量ではなく質よ。思春期になると子どもって親から離れようとするけれど、その時に親として大切なのは心を離さないこと。

広末: そういえば「乳児は肌を離すな、幼児は手を離すな、少年は目を離すな、青年は心を離すな」という言葉を耳にしたことがあります。

尾木: 親から離れたい、心が寂しくて何かを求めているという時期に親が悪い友達と決めつけて縁を切るようなことも良くない。相談したり発散できる友達の存在も大切。それがないと殻に閉じこもってしまうの。「転ばぬ先の杖」とばかりに親が先回りして安全な道を作ったり、教育熱心どころか過干渉になったり、理解のある母親になりすぎると、母親だけが絶対的な存在になって、親の前ではいい子を演じてしまう。そんな「いい子症候群」の子は自分の意思や感情を持てなくなり、学校では問題を起こしたりするの。

広末: 長男が反抗的な時に物分かり良くこういう時期だからと飲み込もうとしたことがあったけど、夫に「育児は諦めちゃダメ」と言われたことがあって。言うべきことは言わなきゃダメですよね。

尾木: 心は離さずに、見逃すところと、ゆずらないところ、そこのメリハリ。親が壁にならなきゃダメ。歯止めになったり、跳ね返したり。壁がなくすりぬけたり、ぶつかるところがない状態だと例外なく反抗期は長引くの。親がしっかり壁になってさえいれば、子育ての目標である「自立」に向けて、親子で思春期を乗り越えることができる。

広末: 壁になる存在と、はけ口になる存在が思春期には必要なんですね。

尾木: それと、母親自身の幅を広げることも大切。「子ども」として扱うのではなく、「一人前」として扱うこと。 そこは母親として向き合う姿勢、心構えを変えるところ。心を広げる。説き伏せるのではなく、考えを聞き出して心をつなぐという意識。広角的に捉えるようにするといい。

広末: 母親の視野が狭くなるとシリアスになりすぎたりしますよね。私は反抗期と怪獣期と幼児期が一緒に来たので、大変だったけど目線が分散されて逆に良かったのかも。

尾木: 今はコロナ禍で人とのつながりが希薄になって、相談できる相手もいないと視野は狭くなりがち。グチでもいいから、言える相手や場があると楽になるわね。

広末: 直接交流できる場が少なくなっている今、悩みをタイムリーに共有できるJunior STORYが子育て世代にとって貴重な場になるといいですね。実は私、今までそんなに家庭の話をメディアでしてこなかったんです。役を演じる時に、先入観が作品の邪魔になってしまうと思っていて……。でもこのような仕事を通じて同世代の人と思いを共有できたり、誰かの元気の源になれるのだとしたら、それはすごく夢のあることだなと思って、連載をお引き受けしました。普段は髪振り乱しててんやわんやの育児をしている私なんかでよければと(笑)。

尾木: 僕も家では孫3人のおじいちゃまよ。責任がないから無条件に可愛がれる、この立ち位置のありがたさ(笑)。でも子育て真っ最中の親は責任があるからこそ、悩むでしょ。子どもの成長が嬉しい反面、葛藤も尽きない。STORYwebのほうではそんな読者さんの悩みに「尾木ママ」流に答えていきます。広末さん、一緒に盛り上げていきましょうね。

広末: はい! Junior STORYで思春期ママにエールを送りましょう!

(敬称略)

撮影/前 康輔 ヘア・メーク/松本由美子(Accroche-Coeur)〈尾木さん〉、 岡野瑞恵(STORM)〈広末さん〉 スタイリスト/奈良則子〈尾木さん〉、竹村はま子〈広末さん〉 取材/小仲志帆 ※情報は2022年1月号掲載時のものです。

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