草野絵美さん【話題の小学生NFTアーティストの母として決めている子育てルールは?】

小学生NFTアーティスト・Zombie Zoo Keeperのママで、3月に書籍「ネオ子育て」を出版し、自身も起業家・アーティストとして活動する草野絵美さん。9歳と1歳の兄弟を育てる草野さんは、インターネットやデジタルツールを積極的に子育てに取り入れています。今の子どもたちにとってデジタルツールは欠かせないものですが、つき合い方が難しい部分も。子どもとデジタルツールのつき合い方に迷うママたちに向けて、草野さん家のデジタルルールを教えてもらいました。

草野さんインタビュー【子どもの好奇心ってどうやって伸ばす?Q&A】>

 

 

YouTubeは調べ物をする時に
動画はNetflixやAmazon Prime Videoで

——デジタルコンテンツの使い方に悩むママも多いのですが、草野さんはどう向き合っていますか?

最近の流れは「スマホやYouTubeは全部禁止!」か「何でも早めに与える」のどちらかで二極化しがちですが、私はハイブリッド型を採用しています。スマホもYouTubeも必ずしも禁止とは思っていないですが、親がコントロールできることは早めにコントロールして、その中で遊んでもらうことが大事だと思っています。たとえば、子ども用のiPadにはYouTubeを入れていないので、息子が自由に観ることはできません。YouTubeはアルゴリズムで次々流れてくるので子どもの意志でやめるのが難しいですし、フィルタリングしても子どもに、観てほしくないコンテンツも出てくるので。その代わり、NetflixとAmazon Prime Videoは年齢制限した上で、自由に楽しんでもらっています。

——YouTubeはどんな時に使っていますか?

YouTubeは調べ物に使います。理科の実験動画を観たり、「かまぼこってどうやってできてるの?」など息子から疑問が出た時に親が検索して、製造工場の動画を一緒に観たり。何かを調べるツールとして使っていて、ダラダラ観ないようにしています。本人もそういうツールだと理解しているので、無闇に観たいとは言いません。NetflixとAmazon Prime Videoは、ジェンダーバイアスを植え付けるようなものや暴力的なコンテンツはNGなどレギュレーションの中で作られたコンテンツが多いので、安心して観せられます。あとは、NHK for School。ミーティング中に待っていてほしい時や、アニメはもう制限オーバーだけどこれなら観ていいよという使い方をしています。情報リテラシーや道徳の番組をよく観ますが、NetflixやAmazon Primeと違うのは、ローカルな話題に寄っているので共感しやすい面があることですね。学校の給食係でのトラブルや外国人の転校生とのすれ違いとか。私も一緒に観て、息子と話し合ったりもします。すごく勉強になるコンテンツばかりなので、無料で観られるのはありがたいです。

 

大事なのは「子どもと一緒にルールを決めること」と「タイマーに頼ること」

——視聴時間のルールはありますか?

今は一日1時間半までと決めていますが、大事なのは子どもと一緒にルールを決めること。親が「一日何時間ね」と一方的に決めるのではなく、一日のスケジュールを書き出してみて、このくらいなら勉強時間を捻出できるねと話し合って決めています。息子から「今週は平日あまり観られなかったから、休日長めに観てもいい?」と交渉してくることもあるので、やるべきことが終わっていれば臨機応変に。ルールに関しては正解はないと思います。

——一日の時間を決めていても、もっと観たい!と言われることはないですか?

たまにはありますが、そこはルールなのでキッパリと。時間を区切る時はタイマーを使うとストレスが少ないです。親が「もう時間だよ」と言うと、反抗されたり喧嘩になったりしますが「タイマーが鳴ってるよ」と声をかけると、子どもも納得しやすいみたいですね。

——そういったルールを作り始めたのは、息子さんが何歳頃ですか?

長男が2、3歳の頃から気にしていました。ちょっと目を離す時にiPadを渡すにしても、英語の歌やNetflixのコンテンツなど、観せっぱなしにしても良さそうなものを見つけて入れておいたり。特に小さい子どもは何を観せても夢中で見入ってしまって、消すと怒って泣いたりとルールが通用しない部分もあるので、入れるアプリやコンテンツをコントロールしていましたね。どうせハマるなら教育的に意味のあるものにしたくて。学習系のアプリを入れておけば、自然と算数や英語に親しみを覚えることに繋がるので、いかに親が楽をしながら効率的にいいコンテンツを与えるか、ユーザーエクスペリエンス(※製品やサービスなどを利用して得られるユーザー体験)が重要になってくるなと。

 

「流行りもの」も一緒に“ディグる”ことで子どもの可能性を広げるきっかけに

——保育園や幼稚園に通い始めて、「お友達が観てる◯◯が観たい!」ということはなかったですか?

今の子どもたちは、Netflixでこれを観てる、YouTubeのあれを観てるとかみんな結構バラバラで、私が子どもの頃よりも共通コンテンツを観ている感じはあまりしないですね。これを観ていないと友達との話題についていけないというものはないんじゃないかな。それでも息子も幼かった頃はみんなが観ている『アンパンマン』や『妖怪ウォッチ』、最近では『ポケモン』は大好きでNetflixでよく観ていますね。

——ハマるとそればかりを観てしまって、親が観てほしいものを観てくれない…ということもありませんか?

流行っているものに対しても親がどうコミットしていくかが重要だと思っていて。息子が『妖怪ウォッチ』にハマった時は、『妖怪ウォッチ』って話の中にいろんな元ネタがあって、子どもと一緒に元ネタを“ディグる(digる=掘る)”つまり 情報を探す・発見することをやっていました。『妖怪スティーブ・ジョーズ』はスティーブ・ジョブズが元ネタでね、とか。あとは、昔、妖怪のアニメで『ゲゲゲの鬼太郎』っていうのがあってという話から水木しげるに繋がって、昔の妖怪辞典を一緒に読んだり。「日本だけじゃなくて、古代ギリシャの人たちも海が怖いとか暗闇で音がするみたいなことを妖怪の仕業だって恐れていたんだよ。今と同じだね」とか、そうやって話を広げていくことが大事だと思っています。そういう姿勢があれば、流行りのアニメもただ観るだけで終わらないし、何かしら掘り下げていくことで、子どもの興味を広げるきっかけにもなるし、ポケモンを何百種類も覚えても仕方ないと思うんじゃなくて、覚えれば覚えるほど脳のストレージが広がるという研究結果もあるので、そうやって何でも好奇心に繋げていけたらなって。

 

デジタルコンテンツを消費するだけでなく作り手になれる可能性を持ってほしい

——今の子どもたちにとってデジタルツールは欠かせないものですが、息子さんにはどういうつき合い方をしてほしいと考えていますか?

デジタルツールやコンテンツを消費するだけの人にはならないでほしいということは伝えています。SNSも、自分の作品を世界に届けたり自分のやっていることを発表する場だと思っているので、愚痴を書いたり友達と会話するだけのものではないよと。アウトプットをするツールだということは認識してほしいですね。ゲームをやるのはいいけど、ただプレイするだけじゃなくて、そこからインスピレーションが湧いて自分でもゲームを作ろうと思ったり。消費するだけでなく、作り手になれる可能性を常に持っておいてほしいと思っています。

 

次回は、草野さんのお子さんが観ているおすすめのコンテンツや、愛用の学習系アプリを大公開します

<草野絵美さんプロフィール>

1990年東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。株式会社Fictionera代表取締役。アーティスト、東京藝術大学非常勤講師、Satellite Youngボーカルなど多彩に活動する。9歳と1歳の兄弟のママで、長男はZombie Zoo Keeperの名前でNFTアーティストとして有名になり、現在はZZKのロードマップ策定やIPを担当。「話題のNFTプロジェクト『新星ギャルバース』ではクリエイティブディレクションを担当し、世界最大のNFTマーケットプレイスであるOpenSeaで24時間オールジャンル売上ランキング1位を記録」7月末には新刊「おうちじっけん号」の発売を予定。Twitter:@neokosodate

 

『親子で知的好奇心を伸ばす ネオ子育て』(CCCメディアハウス刊/¥1,540)

若くしてママになった草野さんが、子どもと対等な関係を築くために心がけたこと、親子で知的好奇心を伸ばすための方法やネットとのつき合い方、マネー教育、多様性への理解など、令和の子育てに参考になるヒントがたっぷり綴られています。

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取材・文/宇野安紀子