女優・松本若菜さん「怖いかもしれないけど、私はいろいろなことを手放すことでとても楽になった」
「ミステリと言う勿れ」、「やんごとなき一族」…話題のドラマに印象的な役柄で出演し、30代からのブレイクと話題になっている松本若菜さん。20代の頃のこと、様々な現場で心がけていること、今の気持ち…上の世代から教えてもらって助けられたことを、今度は下の世代に伝えたい――そんな想いで、インタビューに真摯に答えてくれました。
本来は人見知りだけど、「もったいないよ」と言われて
意外だねとよく言われるのですが、とても人見知りするタイプ。現場に入っても人と目を合わせられなかったり、お芝居はできてもカットが入った途端に挙動不審になることもあって(笑)。3カ月くらい撮影するドラマだと、緊張がほぐれてやっと親しくなった頃にクランクアップを迎えることが多かったんです。でも、とある俳優の先輩に「人見知りをせずに話してみたら冗談も言い合えるし、役に対しての想いもセッションできるのに、勝手に殻を作って現場が終わるのはもったいないよ」って言われたことがあって。「辛いかもしれないけど一番初めさえ頑張って話したら、相手も壁を作らずに接してきてくれるよ」という先輩の言葉通りにしてみたら、最近はだいぶ慣れてきました。同じように人見知りで悩む後輩から「若菜さんっていいですよね。なんでそんなにいろんな人と話せるんですか?」と相談されることもあり、そんなときは「違うよ、私も頑張ってるんだよ!」と話していますが、誰かがいつもそばにいて助けてくれるわけではないし、自分の殻は自分で破るしかないですよね。共演者もスタッフも話すとみんな面白いし新しい発見もあるから、私が先輩に教えてもらったことを下の世代にも伝えていきたいなと思っています。
なるべく平常心でいるように、心がけています
毎日を心地よく生きるために心がけているのは、平常心でいること。すぐに焦ってしまう性格なので、自分を落ち着ける方法として深呼吸したり、無理してでも冷静を装ったりしています。最近は、バラエティに出演することも多く、やってしまいがちなので(笑)、周りに心配をかけないためにも心掛けていますね。30代後半になった今、20代後半から30代前半にかけての自分はどれだけいらないものを勝手に背負っていたんだろうと思います。例えばインスタひとつとっても、少しでも無理してたり周りに合わせているならば、思い切って手放してみるのもひとつの方法だと思っていて。怖いかもしれないけど、私はいろいろなことを手放すことでとても楽になったし、改めて自分にとって本当に大切なものは何なのか気がつくきっかけにもなりました。悶々と悩んでいたあの頃の自分には、「その経験は確実に生きてくるし、今がすべてじゃない。通り過ぎると楽になるから、平常心でいてね」と声をかけてあげたいです。
PROFILE・松本若菜さん
1984年生まれ。鳥取県出身。2007年俳優デビュー。2017年には、映画『愚行録』で第39回ヨコハマ映画祭助演女優賞を受賞した。以来、Netflix『金魚妻』、フジテレビ『ミステリと言う勿れ』など数多くの作品に出演。最近ではフジテレビ『やんごとなき一族』の深山美保子役がSNSでも話題になるなど老若男女に大人気。7月7日からは主演を務めるテレビ東京『復讐の未亡人』がスタート。待機作に映画『マリッジカウンセラー』(9月16日公開)がある。
撮影/YUJI TAKEUCHI(BALLPARK) ヘアメーク/木部明美〈PEACE MONKEY〉 スタイリング/後藤仁子 取材/坂本結香 再構成/Bravoworks.Inc