あの人気ショップの“ポップアップ”はこうして成功した!【ママディレクターが語る舞台裏】
自分のブランドを立ち上げ、夢のポップアップまで実現している方を最近よく見かけるようになりました。ただ、予算、経費、集客…華やかな裏では、並々ならぬ覚悟と努力が必要なのが現実。そこで商業施設や百貨店でのポップアップを成功させた注目のブランドディレクターたちに舞台裏の〝ホントのところ〟を語ってもらいました。
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TIMELESS bijouディレクター
ともかさん(34歳)
宝飾関係で働いていた母の影響でジュエリーブランドを立ち上げる。母の教えである「車は引き継げないけれど、宝石は引き継げる」から着想しタイムレスなデザインを提案。現在、妊娠中で平日は会社員の一面も。
廃棄のない花屋 moani
日本サステナブルフラワー協会代表
安永かおりさん(33歳)
湘南在住の2歳と1歳の女の子のママ。2016年キャンドルブランドmoaniをスタート。翌年にフラワーロスゼロを目指し活動、協会を設立。廃棄予定の花を利用した商品化から、コラボ企画まで幅広く手掛ける。
SATOKA
大居里佳さん(35歳)
ファッション好きが高じて2021年にブランド立ち上げと同時に業界人から注目される新鋭デザイナー。気品と知性を纏うがコンセプトで仕立ての良さと花からインスパイアされたデザインは女性らしさを引き出してくれると話題。
ポップアップ中は一言でいうと、
孤独な闘い
大居里佳さん(以下敬称略:大居) 実は、ブランドの立ち上げと同時にお声がけいただいたので認知度が低いまま、有名ブランドと並んでのポップアップだったんです。開催中は、人気の差を間近で感じざるをえない光景に、何度も心が折れました(笑)。
ともかさん(以下敬称略:ともか) 私も他ブランドと並びましたが、複合型の出店だったので逆に心強かったです。ただ、キッズラインを考えてると言った一言で、ちょうど2カ月後にテーマがキッズのポップアップを控えているから一緒にどうですかと提案されて。完全受注で生産しているため内心、2カ月後までに店頭分を用意できるかなとドキドキでした。
安永さん(以下敬称略:安永) 私は、何回かワークショップ経験があったので流れは理解していましたが、ワークショップと同時にキャンドル販売も行ってくださいと言われたときは、どうやって売ろうかと。誰かに相談して解決策が見えるわけでもなく悩みました。
大居:分かります(笑)。未知すぎてすべての選択を自分でするから、孤独との闘い。私の中で心配だったのが、お客様が来てくださるのか。皆さんは集客どうされましたか?
ともか:SNSで影響力のある友人たちに投稿をお願いして開催日が少しでも多く拡散するようにしました。ほかにも気になるインフルエンサーさんに来てくださるようにDMし、店頭に来てくださった際は投稿をお願いしました。
安永:私も基本的にはSNSです。ワークショップの予約数を埋めなくてはいけないので予定が確保しやすい1カ月前からこまめに投稿しました。実際のワークショップでも、口頭でもお伝えして口コミでの拡散も欠かしませんでした。
大居:勉強になる…! 私は商品を買ってくださった方に、後からオリジナルカードに手書きで開催のお知らせを送付したのですが、100枚は書いて…それでも心配でした。
ともか:100枚は、すごい! 結果はどうでしたか?
大居:5日目で予算を達成することができました。隣のブランドが3日で完売していたのがすごくプレッシャーで、達成した瞬間に大号泣(笑)。販売スタッフをしてくれた友人たち以外、すべて一人だったので喜びよりも安堵のほうが大きかったです。
搬入・搬出日を含め4~8日間の長期戦。プライベートと両立は一苦労!
安永:夫と母の力を借りて乗り切りましたが、下の子は保育園に預けていない生後6カ月。搬入・搬出の時間が決まっていて子どもを優先すべきと思いながらも自分軸では動けず、都合がつかない日はスタッフにお願いするなどスケジュール調整に追われ、常に誰かに謝っていたのが精神的にキツかったです。
ともか:搬入の時間帯は私も大変だと感じました。ちょうどつわりの時期と重なり、加えて会社員なので平日は動けなかったんです。友人の友人まで連絡をとってもらい接客のバイトを探し、本業で迷惑をかけないように気を遣いました。
大居:私はまだ独身ですし、できるところは自分でやろうと思ったのですが、一人の日は約10時間店頭に立ち続けてトイレついでにウィダーインゼリーを流し込む。帰宅後の記憶がないくらいクタクタで、これをお子さんがいらっしゃる方がこなすには周りの助けは必要だと思いました。
商業施設や百貨店が求めるクオリティに応えるのは大変だけれど、確実にブランド力は上がる
大居:振り返ってみても大変でしたが、ポップアップ後はフォロワーが1,000人増え、認知度が上がったときはやって良かった!が素直な感想。
ともか:私もです。しかも売上げ達成のために、商品のクオリティや在庫の確保など商業施設側のアドバイスに応え続けているうちに、かなりアイテムもブラッシュアップされました。
安永:オンラインと実店舗で売れるものは違いませんでしたか?
ともか:違いました! 売れると思っていなかったキッズ用のパールブレスレットが好評で、途中で追加をかけたんです。
大居:訪れる年齢層も幅広いから80代のマダムも買ってくださって、海外の方もいてやっぱりポップアップはすごいなと感じます。
安永:SNSでは得られない生の人脈がありますよね。私はまたポップアップに挑戦したいと思っていますがどうですか?
大居:同じ気持ちです。お客様に会えるのも嬉しいですし、成長できる環境があるのはありがたいです。
ともか:産後どうなるか分かりませんが、つわり中も乗り越えましたし、私もまた挑戦したいです!
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撮影/木村 敦 取材・文/栗生果奈、高橋夏果 取材協力/金剛加奈絵 編集/髙田彩葉
*VERY2022年8月号「自分のブランド作りを実現した、みんなの軌跡。」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。
*掲載エピソードは個人の体験談です。商業施設や百貨店等へのお問い合わせはお控えください。