ビニール肌とは? 美肌との違いと防止法・対策法を解説
ビニール肌はツヤツヤとした見た目が特徴的で、一見、美肌のように見えるかもしれません。
しかし実は乾燥しており、ダメージを受けやすい状態であることから、ほかの肌トラブルを引き起こす可能性もあります。「ビニール肌かも?」と思ったときは、正しいスキンケアを行うとともに、早めに皮膚科を受診しましょう。
そこで今回は、ビニール肌の特徴と防止する方法、対策法を解説します。
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ビニール肌とはどのような肌のこと?
ビニール肌とは、見た目はツヤのある状態ですが、ダメージが蓄積された肌のことです。
ビニール肌にツヤがあり光って見える原因は、肌のターンオーバー(一定の周期で肌の細胞が生まれ変わること)が乱れ、角質層が薄くなっているからだとされています。
本来角質層は、外部からの刺激を守る保護機能をもちますが、角質層が薄くなると保護機能が弱くなってしまいます。
ビニール肌を対処しないままでいると、年齢を重ねるごとにさまざまなトラブルを引き起こす可能性が高まるでしょう。
ビニール肌になると起こる肌の変化
ビニール肌になると、見た目や触ったときの変化が出てきます。「刺激を感じやすいかも?」と思ったときは、ビニール肌に近い状態になっているかもしれません。
美肌とビニール肌の違い
ビニール肌は美肌と比べると、以下のような違いがあります。
表の項目を確認しながら、鏡を見たり優しく肌に触れたりして確認してみましょう。
見た目の変化
ビニール肌は光が当たると、ツヤツヤとして見えます。肌の表面はつるつるで、凹凸はほとんどありません。
しかし、外からの刺激を守る保護機能が低下しているため、花粉やほこり、紫外線、乾燥に弱くなり、吹き出物やニキビが出やすい状態です。
顔の部位でも特に皮膚の薄い、鼻や頬、額などは赤みが続くこともあります。
肌の状態の変化・トラブル
ビニール肌になると、少しの乾燥でも肌がつっぱることが多いです。洗顔をしただけでもピリピリとした痛みを感じ、素早く化粧水を塗らなければすぐに乾燥してしまいます。
肌の内側は乾燥しているため、化粧水はどんどん肌に染み込みますが、ビニール肌の状態ではすぐに乾燥する悪循環に陥ることもあります。
【セルフチェック】ビニール肌になりやすい人の特徴
ビニール肌になりやすい人には、肌の状態に特徴があります。以下の項目に当てはまる数が多いほど、ビニール肌に近い状態かも?
・いつでも肌の表面がツヤツヤと光っている
・洗顔後や外出先で肌がつっぱる
・スキンケアでヒリヒリすることがある
・常に肌が脂っぽくテカって見える
・化粧がヨレやすい
・ハリや弾力がなく、シワやたるみが増えた
・スキンケアをしているのに肌トラブルが多い
・濃いメイクをしている
・毎日オイルクレンジングを使用している
上記に当てはまる数が多く、すでに肌トラブルがある方は早めに皮膚科で受診することをおすすめします。
ビニール肌になる原因
ビニール肌になる原因はさまざまですが、間違ったケアの方法をしているケースが多いです。普段のスキンケア方法を振り返りながら、原因を探ってみましょう。
①誤った洗顔・クレンジングをしている
ピーリングやスクラブ入り洗顔を毎日行うなど、肌にダメージを与える洗顔やクレンジングを続けるとビニール肌になりやすいといわれています。
ピーリングやスクラブ入り洗顔は泡洗顔よりも肌を摩擦しやすく、必要以上に皮脂を落としてしまい、肌の表面を刺激してしまいがちです。
角質ケアは週1回を目安に、特別なケアも高い頻度で行わないほうが、肌によい効果が期待できます。
濃いメイクを落とすためにこすったり、刺激が強いオイルクレンジングを毎日使ったりすることも肌にはよくありません。肌への刺激を考慮するのであれば、さらさらとしたミルクやクリーム、バームタイプのクレンジングがおすすめです。
使用する化粧品は説明をよく読んだうえで、ケアに使いましょう。
②不適切なスキンケアをしている
自分の肌に合わない刺激の強い化粧品や、スキンケアアイテムを使うこともビニール肌を引き起こす原因です。
たとえば、クリームを使わず化粧水と乳液だけの軽いスキンケアをしていると、肌のターンオーバーが乱れてビニール肌になる可能性が高まります。
ターンオーバーが乱れにくいケアのためには、化粧水、乳液、クリーム、美容液を使ってケアをしましょう。使う順番は商品により異なるケースがあります。
きちんとスキンケアをしているのに肌の調子が悪いと感じたら、自分の肌に合う化粧品やスキンケアアイテムに変えてみてください。
自分に合う商品がわからないときは、美容皮膚科で受診する、もしくは肌質チェックを受けてみるとよいでしょう。
③摩擦による刺激を受けている
洗顔ブラシでこする、クリームやオイルを使わず顔のマッサージをするといった摩擦は、肌の角質層にダメージを与えます。
無意識にやってしまいがちな、顔に直接シャワーを当てることや、衣類や髪の毛が顔に当たるといった摩擦も肌への刺激です。
また、マスクやフェイスカバーも肌に直接刺激を与えます。周囲に人がいないときは外すなど、摩擦を与える機会を最小限にできる工夫をしてみるのもおすすめです。
④もともと肌が弱い、アレルギー体質である
もともとの肌の弱さも、ビニール肌の原因となることがあります。
特にアトピーや敏感肌の方は慎重にスキンケアを行う必要があります。肌が弱い方は、自分に合う化粧品で保湿を重点的に行いましょう。
ビニール肌を防止する方法
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ビニール肌の防止方法は、それほど難しいものではありません。日常生活のなかでいくつかのポイントに気をつけると肌への刺激が軽減されて、ビニール肌などのトラブルを防げます。
①しっかり保湿を行う
スキンケアの基本は保湿です。肌が乾燥すると角質層のダメージは深刻化するため、自分に合うスキンケアアイテムを見つけて、摩擦しないよう適切な方法で保湿しましょう。
朝は忙しくスキンケアをおろそかにしがち。しかし、朝のスキンケアは日中に受ける刺激をバリアするために、できるだけ入念に行いましょう。
保湿は化粧水をたくさん使えばよいわけではなく、自分の肌に合うものを適量使うことを重視しましょう。
②生活習慣を整える
生活習慣が乱れると肌の調子は悪くなるため、できるだけ規則正しい生活を心がけましょう。
規則正しい生活を送り十分な睡眠をとると、美肌ホルモンと呼ばれるエストロゲンが滞ることなく分泌します。
さらに日常生活において、しっかりと水分をとることも忘れないようにしましょう。水分をとると肌の保水力が高まり、肌の弾力やハリも保たれます。1日1.5~2リットルを目安に飲むように心がけてくださいね。
③季節を問わず紫外線対策をする
ビニール肌を防止して美肌を目指すためには、紫外線対策も欠かせません。紫外線を受けると肌は刺激を受け乾燥する原因となるため、UVカット服や日傘を活用しましょう。
衣類の外側から薬品を塗布した服や日傘のUVカット効果は、1~2年といわれています。使用頻度が高く洗濯する機会の多い衣類は、毎年買い換えることをおすすめします。
衣類の繊維自体にUVカット効果があるものは、比較的長期間の効果が期待できるでしょう。価格や商品の特徴などを比較して、自分に合う商品を選んでみてくださいね。
窓から紫外線が入り込むことから、日焼け止めは、日中は屋内にいるときも使用したほうがよいでしょう。
美容皮膚科では、メラニンの生成を抑える内服薬を処方できるケースもあります。長時間外で過ごす日は、衣服や日焼け止めと合わせて利用してもよいでしょう。
④顔への摩擦は最小限にする
顔への摩擦を少なくすると肌ダメージが抑えられ、ビニール肌の防止につながります。
摩擦を少なくするために、以下のポイントに気をつけてみてください。
・長い髪は結び、顔に髪がかからないようにする
・顔にかかるマフラーは、カシミヤやシルクなど低刺激の素材の商品を選ぶ
・マスクをするときはこまめに保湿する(肌の保湿を強化する)
・日々形状の異なるマスクをつけて、同じ場所に刺激を与えないようにする
特に冬は肌の乾燥が起こりがち。自分の肌に合うマスクを探して、トラブルの防止をしましょう。
ビニール肌になったときの対処法
ビニール肌になったときは、自己判断でケアをするよりも皮膚科の受診を優先しましょう。誤ったスキンケアにより、現状より肌の状態が悪くなってしまうことも考えられます。
皮膚科の受診と同時に正しいスキンケアの方法を実践して、少しずつ肌を改善していきましょう。
①皮膚科を受診する
ビニール肌を含む肌のトラブル時は、まず皮膚科を受診しましょう。
上記のセルフチェックは、あくまでも今の肌の状態を認識するものです。すでにトラブルが起きているのであれば、ビニール肌を改善するためにもしっかりと医師に診てもらいましょう。
病院により内容は異なりますが、皮膚科では医師の診療を行ったうえで以下のことを行います。
・肌トラブルを治す薬や保湿剤の処方、使用方法の指導
・スキンケア方法の見直し
・肌トラブルを予防するための食生活の指導
美容皮膚科では、ビタミン剤や飲む日焼け止めの処方に対応しているケースもあります。
②正しい洗顔・クレンジングを行う
皮膚科の受診と並行して、正しい洗顔とクレンジングを行いましょう。
洗顔は、低刺激の洗顔料がおすすめです。摩擦を軽減するために、洗顔料をしっかりと泡立てましょう。泡を流すときはシャワーを直接顔に当てず、洗面器にお湯を溜めて手ですくいながら落としましょう。
熱いお湯は肌の乾燥をまねくため、ぬるま湯がおすすめです。ビニール肌が改善するまでは洗顔ブラシの使用は控えましょう。
スムーズなクレンジングのためにはメイクをできる限り薄くして、ウォータープルーフではないお湯でオフできるタイプの商品を使用しましょう。低刺激のメイクアイテムを使用すると、刺激が強くクレンジングでメイクを落とせるため、肌への負担を軽減できます。
③角質ケアを一旦やめてみる
ビニール肌になったときは、ピーリングやスクラブ洗顔といった角質ケアは一時的に中止しましょう。
ビニール肌は肌の角質層がダメージを受け薄くなっているため、使用を続けると肌に過剰な刺激を与えてしまいます。
肌の状態が改善したあとは角質ケアをしてもよいですが、こすりすぎず頻度を守るようにしましょう。できるだけ刺激の少ない方法で角質ケアをすることが理想的です。
④適切なスキンケアを行う
適切なスキンケアのポイントは、各商品の使い方を守ること、摩擦を与えすぎないことです。
スキンケアアイテムの肌に合う・合わないは人により異なります。実際に使ってみないと肌に合うかわからないため、サンプルを使うなどして慎重に選びましょう。
コットンを使いスキンケアするときは、化粧水や乳液でしっかりと濡らし、摩擦をふせぐようにケアしてみてください。
自己流のスキンケアは、肌トラブルなどのリスクがあります。サンプルをもらった際に使い方や手順を聞いて、使用方法を守りながら使いましょう。
ビニール肌かも? と感じたら皮膚科で受診しよう
誤った洗顔やスキンケア、マスクによる刺激など、ビニール肌になる原因はさまざまです。
刺激が少ないスキンケアアイテムを選んだり、できる限り肌への摩擦が起こらないように気をつけたりすると、ビニール肌のリスクを下げられます。
もし、今ビニール肌の可能性があるなら、できるだけ早めに皮膚科を受診することをおすすめします。何げなくしているスキンケアの方法が誤っている可能性もあるため、正しいケアの方法や生活習慣を指導してもらい、状況に応じた治療を受けるとよいでしょう。
教えてくれたのは……oneUPclinic 看護師 バファリン永田(永田貴大)さん
看護師歴14年。大手美容クリニックでの勤務を経て、昨年下北沢にオープンしたoneUPclinicの開業に携わり、看護師長として第一線で活躍。「優しさ」をコンセプトに全ての患者様のスキンケアにしっかりと寄り添い、お肌を丁寧に分析し、改善に向けて取り組むことを得意としている。
Text_Ayumi