横澤夏子さん「よしもとの劇場に託児所設置までつながったシッター経験」

生活リズムも価値観も自分優先でなくなったけれど、 本当は誰にでもあるずっと変わらず好きなことをインタビューする連載「ママですが、これが好き!」。今回は横澤夏子さんにお話を伺いました。VERYweb版では、出産後の友人との付き合い方や、ベビーシッターのアルバイト経験から学んだことについて語っていただきました。

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モノづくりは好きだけど、保育園グッズは手作りオンラインショップで

 

——お子さんが生まれてから、壁面作りにはまっているということですが、すごく器用でいらっしゃるんですよね。もともと手芸や編み物などもされていたのですか?
そうですね。モノづくりは好きで巾着なども作っていました。布屋さんに生地を見にいくのが好きなんです。一度、「おかあさんといっしょ」のファミリーコンサートのスペシャルステージに当選したのですが、そのときには張り切って子ども用に番組に出てくるキャラクターのみももの服を作りました。

衣装作りは初めてでどうやって作ればいいか見当がつかなかったので、スタイリストさんに聞きながら、ユザワヤさんに行って生地を探して試行錯誤。生地には無限の可能性を感じます。

 

——保育園グッズも手作りされたのですか?
それは苦手なんですよ、手作りオンラインショップのミンネで買いました(笑)。作らなきゃならない、と思うと、やりたくないんです……。

親友とは寝かしつけてから2~3時間しゃべって解散!

 

——出産後、独身だったり子どもがいなかったり、自分と生活のペースが異なる友人との関係性について悩む読者さんも多くいます。横澤さんは滝沢カレンさんとの仲の良さが有名です。滝沢さんが独身時代に横澤さんはママになられましたよね。その後も仲良しですがどういうお付き合いをされていますか?

カレンちゃんは、私が一人目を出産したときにお祝いメッセージをインスタグラムにあげてくれたんです。その文章がめちゃくちゃ泣けて。「新しい親友を産み出してくれてありがとうございます。横澤夏子さんのお子さんと好きな人の話とかできたら嬉しいな」みたいな内容で、なにこれ〜って感動して涙出てきて。
カレンちゃんらしい言葉なのですが、すごく感動するんですよね。こういう考え方する人なんだなぁと新たな発見があってますます好きになりました。
その後も「よかったらうちに来て」って誘って子どもと一緒に遊んだこともありますし、寝かしつけてから遊びに来てくれることもあります。
夜は20時半には寝かしつけているので、21時からなら友達を呼べるかなと思って声をかけたら、本当に来てくれたんです。それで、2~3時間くらいバーッてしゃべって、日付が変わる前には「明日も仕事なので、帰ります」って解散。数時間なんですけど、すっごく楽しいです。
カレンちゃんがスケジュールを合わせてくれるんですけど、子どもができてからもこうしてつながれるんだというのが、嬉しいです。

独身の友人にはつい“婚活大使ぶり”を発揮してしまう

——どうしても出産後は話の内容が子どものことに偏りがちという人も多いですが、ご友人とはどのようなお話をされていますか?

子育ての話はあるあるが多くて盛り上がりますね。でも、相手に合わせて共通の話しかしないですね。仕事が一緒なら仕事の話とか。
あとは、実は私が婚活をめちゃくちゃ応援していて、結婚させたい願望がすごく強いんですよ。

 

——ご出身の新潟県「にいがた婚活応援大使」をはじめとして、さまざまな婚活大使を務められていますよね。

そうなんです。私がプロデュースした婚活パーティーもあるほどです。だから独身の友達には結婚したい気持ちはある?みたいなヒアリングはしますね(笑)。婚活の話は盛り上がります。それもすっごく楽しくて。子育てしていると、周りには婚活中の人はほぼいないんですよね。

だから、独身の友人には「どういう人と付き合いたいの」とか根掘り葉掘り聞いて、こっちで調べるね!って(笑)。橋渡しみたいな、人と人をつなげるのが好きなんですよね。めちゃくちゃお節介だとは思うのですが、成功例は自分のプロデュースしたパーティーも含めて何組もいます。人に対する好奇心がとても強いのだと思います。

ベビーシッター経験からよしもとの劇場にも託児所設置

——横澤さんは多才で、独身時代は芸人として活躍する傍らベビーシッターとしてもお仕事をされていたのですよね。

ええ。シッターサービスに登録して、依頼があったときに「実は芸人としても活動しているんですが」と素性を明かして、了承してくださった場合にお受けさせていただいていました。

 

——シッター経験は子育てに生きていますか?

預かるのと育てるのは全然違うな、というのが率直な思いでした。お子さんを預かっているときは、オムツはここ、ミルクはここ、と説明されてご飯も用意されていて、あとは遊んでお片づけするだけなんですよね。少なくとも私のときはそうだったんです。でも子育ては、オムツも買わなくちゃいけない、ご飯も用意しなきゃいけなくて。当たり前なんですけど、準備することが多すぎて。シッターを依頼していた方たちはそこまで完璧にしてからシッターさんにお願いしていたんだって気づきました。

今は私もシッターさんにお願いしながらお仕事をしているのですが、スケジュールのすり合わせが一番難しくて。シッター時代は、「お願いします」って言われたときも、特に考えずに「すみません、その日別の予定が入っています」って断っていたんですけど、断るにしてもそのときに気遣いの言葉が必要だったなって気づきました。「申し訳ありません」「大変ですよね」とか、今はシッターさんからのそんな一言に救われるんです。当時はこちらのスケジュールだけで伝えていたけど、「あのときのお母さん大丈夫だったかな」と今さら反省しました。本当に2時間だけお願い!っていう家庭があるんだな、猫の手も借りたいっていうのはこういうことをいうんだというのも、シッターをしてみてわかりました。そして今や、うちも夫婦ともに実家が遠方なのでシッターさんや病児保育頼みです。本当にシッターさまさまです。

 

——シッターといえば、横澤さんはよしもとの劇場に託児所を設置するのに成功されましたよね。

ベビーシッターのアルバイト時代に、子育ての大変さを実感したのに加えて、劇場に立っていたときにも赤ちゃんが泣いちゃって、謝りながら退場するお父さんやお母さんが多かったことがきっかけです。コントの途中だから何も言えないもどかしさと、最後まで見られないお客さんがいる事実を考えていたら「託児所を作ったら最後まで見られる!」と思いついて、わざと大きい記者会見で「“THE W”(女芸人No.1決定戦)で優勝したら賞金の1000万円全額、託児所設置に使います!」って宣言しました。

優勝はできなかったのですが、その会見を見て声をかけてくれたスポンサーさんがいて、吉本興業と一緒に組んで実現しました。今はコロナ禍でお休み中ですけど。そこの会社さんが、保育士さんを2人連れてきてくれて、私も入れた3人で子どもを見ました。

私は、出演しない日で、私はベビーシッターで働くっていう(笑)。それが楽しくて。終演後にお母さんから、「すっごい楽しかった、ありがとうございます」って目をうるうるさせながら言われて。劇場に立つだけじゃなく、こんな楽しませ方、劇場の関わり方もあるんだなと実感しました。よしもとの劇場はたくさんあるので、全部の劇場に作りたいです。よしもとは行ったら絶対笑わせてくれるから、ママとパパは笑ってリフレッシュにつながるし、その1時間半を楽しんでもらいたいですね。

「欲しいものをすぐには買わない」姿勢は母から引き継いだ

——横澤さん自身がご両親から受けた教育で受け継ぎたい部分があれば教えてください。

両親ともに教師で、母は結婚を機に退職したのですが、今はスクールカウンセラーをしていて教育の現場に戻っています。2人とも私にとっては一番厳しい先生でした(笑)。自分の学校の担任とも全部つながっていて、スカート丈も学校でも家でも短くできないので、家と中学校の徒歩3分の距離だけ短くしたりしてね。反抗期の頃は、「学校の先生っていつもマニュアルで話しているんでしょ!」って、言ったり……。
でも、厳しく育てられたからこそ引き継ぎたいなと思うこともあるんです。「欲しがるものをなんでもすぐに買わない」という姿勢です。母親がすごく倹約家で、よく我慢させられたのですが今ではそれが本当に良かったと思いますね。今でも、毎年の誕生日プレゼントとクリスマスプレゼントを鮮明に覚えています。何歳のときに何をもらったのかまで。それくらい楽しみにしていて、我慢して手に入れたものって大事にするんですよね。私、小学生のときに使っていた、けろけろけろっぴのハブラシ入れの巾着を今でも化粧ポーチとして使っているんです。怖すぎでしょ!(笑)
だから、子どもたちがスーパーのカプセルトイをねだっても、私はサンタさんに頼めばいいって突っぱねるんですが、夫はすぐに買っちゃうから筋が通っていないですよね(笑)

 

——横澤さんは少し離れたところに目標を置く、と話されていますが子どもの頃の忍耐強さとつながっているのかもしれませんね。

たしかに、忍耐力は鍛えられますよね。今は子育てとの両立で思うように仕事ができないもどかしさがあるのですが、『10年後の計画』を見据えると頑張れます。

 

——どのような計画なのですか。

出産前まで毎年2回、単独ライブをしていたんですが、産後はできないなと。今の仕事プラス、空き時間にネタを書いて練習するという作業なのですが、子育てや家事で空き時間がないんです。なので、2035年に単独ライブやろうって目標を先に置いたら、今はインプットの時期だったり、来てもらうお客さんを集める時期だったりだと思って、ここで子育てに重きを置いて、2035年になって単独ライブが大復活できるように準備しようって考えたら、ちょっと心が穏やかになりました。

プロフィール

●よこさわなつこ
芸人。ドラマ、CM、講演会と幅広く活躍。現在2歳、1歳の女の子を育てながら、劇場に託児室の設置、中長期目標でのキャリアの積み方など、先鋭的な働き方と視点が女性たちの間で話題に。

撮影/佐藤航嗣〈UM〉 取材・文/馨都 編集/城田繭子

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