「気風」=「きふう」じゃない!簡単そうなのに…意外と間違えやすい言葉5選

ぱっと一目で読み方が分かりそうに見えても、実は意外な読み方をする漢字は少なくありません。見た目の印象で読んでしまいがちな漢字こそ、読み間違いに注意したいものです。

今回は、そんな“簡単そうで意外と間違えやすい言葉”を5つピックアップ。全問読めたら、かなりすごいかも!?

1.「合戦」

「両軍が出合って戦うこと」を「合戦」と言います。「関ヶ原の合戦」など、歴史上の戦いなどを表す時に、目にすることが多いでしょう。

もしくは「歌合戦」「雪合戦」など、「合戦」の前に何らかの言葉がついた「○○合戦」は、日常的に見かけます。

しかし「歌合戦」「雪合戦」のまま「合戦」を「がっせん」と読んでしまうのは誤りです。正しくは……

 

かっせん」と読みます。「合戦」のみの場合は、濁らないのがポイントです。

2.「気風」

「気風」とは風の一種ではなく、「気性」や「気質」を表す言葉です。

元々「気風」は「きふう」と読んでいましたが、音変化(発音が難しい、あるいは発音しづらい音を楽にするための変化)して、現在の読み方が広まりました。そのため「きふう」でも正解ですが、今回は音変化したほうの読み方にチャレンジしてみましょう。

ヒントは「気風が良い」。この読み方にピンときたら、正解は近いかも?

「気風」の音変化した読み方は……

 

きっぷ」です。

よく「きっぷが良い(思いきりがよく、さっぱりとした気性)」「きっぷに惚れる」などと使われます。

3.「身代」

「個人の財産」のことを「身代」と言います。ニュースや小説などで「身代金」という言葉を目にしたことはあっても、「身代」単体で目にすることは、それほど多くないかもしれません。

ちなみに「身代金は(みのしろきん)」と読み、「身代」も「みのしろ」あるいは「みがわり」と読む場合があります。しかし、それら以外にもう1つ、別の読み方があるのです。

「みのしろ」でも「みがわり」でもない、「身代」のもう1つの読み方は……

 

しんだい」です。

現代ではほとんど聞かれなくなった「身代(しんだい)」ですが、主に中世から近世日本にかけて用いられていたとされています。

4.「富貴」

「富貴の生まれ」「富貴になる」など、「富があり、地位が高いこと」を「富貴」という言葉で表すことがあります。

ちなみに「富貴」には2つの読み方があり、1つは「ふっき」です。今回はもう1つ、別の読み方を当ててみましょう。ヒントは「富」を「延ばし読み」してみること。

「富貴」のもう1つの読み方は……

 

ふうき」です。

ちなみに「富貴」の対義語は「貧賤(ひんせん)」。「貧賤」とは「富がなく、身分も低いこと」を意味する言葉です。

5.「心奥」

「心奥」とは、漢字のとおり「心の奥」を表す言葉です。「心の奥のこと」だから「しんおく」と読みそうなところですが、「しんおく」では誤りですよ。

「心奥」を正しく読むポイントは「奥」の読み方にあります。「おく」は「奥」の訓読みですが、では「奥」の音読みとは?

「心奥」の正しい読み方は……

 

しんおう」です。

「心奥」以外にも、「奥」を「おう」と読む言葉には「奥義(おうぎ)」「内奥(ないおう)」などがありますよ。「おくぎ」「ないおく」などと読んでしまわないよう、こちらも併せて覚えておくと良いでしょう。

 

使われている漢字自体はそれほど難しくないのに、読み方が少し珍しい漢字は意外と少なくありません。

いざという時に読み間違えてしまい、恥ずかしい思いをしてしまうなんてことのないよう、間違えてしまった言葉については、この機会に正しく覚えておきたいですね。

参考文献
加納喜光『読めそうで読めない漢字Q&A―もう間違わない!実例集 』講談社

文/大内千明 画像/Shutterstock(zef art、Jaroslav Monchak、Yulia Grigoryeva、Wedding Stock Photo、file404)