「私だけ内定が出ない…」。周りと比較するほど就活生は不幸になる
コロナウイルスの影響で例年とは違うスケジュールとなっている、2020年の就職活動。選考が中止・延期になったり、募集人数の削減など、「来年春、本当に社会人になっているのかな?」と心配な就活生も多いはず。でも、周りには着実に内定を貰っている友達もいたりして…。とにかく募る就活期の焦りについて、精神科医の名越康文先生にアドバイスを貰ってきました!
名越康文先生のプロフィール
1960年 、奈良県生まれ。精神科医。相愛大学、高野山大学客員教授。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオのコメンテーターとしても活躍中。近著に『Solo Time「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である』がある。
まわりには内定が出てるのに、私はない
募るのは焦りだけ
【名越先生からのメッセージ】
JJ世代の個人の革命こそが、
ゴー ル主義脱却の第一歩
日本ではゴー ルまでの過程よりも、「ゴールを切る」という行為自体を重視する傾向があります。
この方もまさにゴー ル主義に苦しめられている一人で、なんとか「内定獲得」というゴールを切ろうと一生懸命な様子。社会の価値観がそうなので当然不安になるのですが、この方にとって内定をもらうことがすべてで、その先が見えていない印象です。
大切なことは、「自分がなにをしたいのか」を自分自身と対話できているのかどうか。
例えば、ゼミの教員や社会人の先輩など、冷静にみてくれる経験者から面接に関する具体的なアドバイスを受けることが、「落ち続けている」現実を俯瞰するキッカケになるはず。あとは、「〇〇会社に内定しているあのコ」と「内定をもらえない自分」を比較して、負の無限ルー プに陥っているから、そこから離れたほうがいい。綺麗事のように聞こえるかもしれないけれど、「内定をもらえなかったからといって、その先は奈落ではない」し、ゴールを切れば幸せになれる、という刷り込みこそが、自分を追い詰めているということに気付けるかどうかが、今後の人生の分岐点になるはず。過程を楽しむ余裕と、他人と比較せずに「私の人生を歩もう」と思えることが重要なのでは、と思うのです。
イラスト/たもさん 取材/大塚悠貴 編集/岩谷 大
※掲載の情報はJJ6・7月号を再構成したものです。