生理痛があるって当たり前じゃないって知ってる?医師に聞いた適切な対処法って
将来子どもを産む、産まないに関わらず、大人の女性として知っておきたい自分のカラダのこと。後悔のない人生を送って欲しいから、JJ世代にこそ知って欲しい、女性のカラダのお悩みを解決する連載がスタート!
今回は「生理痛」をキーワードに、女子大生で性教育プロデューサーの中島梨乃さんが、婦人科医の高橋怜奈先生にインタビュー。重い生理痛には病が隠れていることもあるから、「痛いのが当たり前」なんて思わずに、自分の身体と向き合うことが大切です!
対談したのは、この2人
慶應義塾大学総合政策学部2年
中島梨乃さん
高校生で性教育に興味を持ち、Youtubeチャンネル「JKで性教育?!」やTwitterなどで性に関する情報を発信し始める。また、中高生による性教育団体「peer(ピア)」も立ち上げ。大学生になった現在は性教育プロデューサーとして、TwitterなどのSNSでの発信や、性教育に関するイベントやシンポジウムを開催している。
中島梨乃さん
まず、どのくらの生理痛だと異常だと考えるべきでしょうか?
高橋怜奈先生
鈍痛程度ならいいのですが、痛み止めを服用しないと耐えられなかったり、痛みのために学校や仕事を休んでしまうような生理痛は異常なので、受診をオススメします。
中島梨乃さん
そうなのですね…! 毎月のことだと「生理痛があって当たり前」だと思ってしまって、あまり深刻に考えない風潮がある気がします。
高橋怜奈先生
分かります。例えばお母さんも重い生理痛持ちだったりすると、遺伝だし自分の生理痛もひどくて当たり前って捉えがちですよね。そうすると受診の機会も失ってしまう。「生理痛は当たり前じゃない」っていう認識がもっと広く知られて欲しいです。
中島梨乃さん
生理痛がひどいと、実際にどんな病気が疑われるのですか?
高橋怜奈先生
1番心配なのは子宮内膜症。生理痛が重たい人は子宮内膜症の予備軍の可能性が高いです。
中島梨乃さん
どうしたら子宮内膜症を予防できるんでしょうか?
高橋怜奈先生
原因となる生理痛をなくすために、ピルで生理自体の回数を減らすことがひとつの予防法になります。
中島梨乃さん
今でも月経は重いのが自然、ピルでコントロールする方が不自然っていう認識が一般的で、なかなかピルに踏み切れない人が多いと思います。
高橋怜奈先生
重い生理痛がある方が不自然で、ピルでコントロールする方が自然だと捉えて欲しいと思っています。
現代女性の間では子宮内膜症や卵巣癌が増えているんです。妊娠・出産の年齢も高くなっているぶん、生理の回数も増えて病気のリスクが高まっていることもひとつの要因だと考えています。
ライフスタイルや人生設計に合わせて、自分が1番快適でいられる方法を選んで過ごせるのがベストですよね。
中島梨乃さん
ちょっとでも不安なことがあったら受診して、自分にフィットする方法を選択していくことが、生理痛との賢い付き合い方ですね。
高橋怜奈先生
その通りです。ただ同じ婦人科医でもピルに対する考え方は異なるので、受診してみて少しでも違和感を感じたら、セカンドオピニオンも視野に入れて欲しいです。
心配なことや困っていることがあって受診しているのに、「異常なし」で帰されてしまうのは、何も解決していないし、生活の質も上がっていないので、違う病院も受診しながらかかりつけ医を見つけて欲しいです。
中島梨乃さん
生理痛自体を改善する、有効な方法はあるのでしょうか?
高橋怜奈先生
バランスのいい食事や運動をこころがけることは健康を保つ上で大切ですが、生理痛が直接改善するかというと、それだけでは改善しないことが多いです。情報に惑わされずに、きちんと病院で原因を見つけてホルモン療法をするのが1番。
痛み止めに頼るなら、適切に使うことが大切です。MAXの痛みのときではなく、前兆があったらすぐに服用する方が効果を期待できます。
中島梨乃さん
よく温めると子宮の血流がよくなって痛みが改善する、と聞きますが……。
高橋怜奈先生
温めたことで子宮の血流がよくなって痛みが改善するのではなく、温めると筋肉の硬直が和らぎ、リラックスできるから、痛みを緩和できるんだと思います。あと筋肉をつけると全身の血流がよくなるので、生理痛を改善するかもしれませんね。筋肉の働きによって全身に血流が巡って、冷えにくくなるので。そういう意味でもやっぱり痩せすぎはよくないです。
中島梨乃さん
最近のダイエットの風潮が、“とにかく細くなる”よりも“筋肉をつける”になっているのもいいなと思っていて。筋肉を鍛えることが生理痛改善にも繋がるなら、さらにトレーニングをがんばれそうですね!
高橋怜奈先生
そうですね。無理なダイエットはせず、筋肉のある健康的な体を目指して欲しいです。
イラスト/腹肉ツヤ子 取材・文/坂本結香 編集/倉石園子