コロナ禍で新しい生活様式が定着してきたほか、今までとは仕事や生き方について考え方がガラリと変わった人も多いと思います。そのなかで、東京に集中していた人口が分散傾向に。この先、どのような変化が起きてくるのでしょうか?
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今月解説いただいたのは
若手の目線で見る !安田洋祐さん
経済学者。専門はゲーム理論。政策研究大学院大学助教授を経て、2014年4月から大阪大学准教授に就任。『報道ランナー』(関西テレビ)や『ミヤネ屋』(読売テレビ)にコメンテーターとして出演するほか、財務省「理論研修」講師、金融庁「金融審議会」専門委員等を務めるなど多方面で活躍。ユニークな視点での経済解説に定評がある。
コロナ禍で働き方や生き方が劇的に変化
2回目の緊急事態宣言を受け、自分や家族がリモートワークを再開したり定着した人も多いと思います。
筆者が勤める大阪大学でも、今年度の講義の大半が対面からリモートに切り替わりました。副業可の会社も増えたし、在宅でできる副業や仕事の種類も以前に比べると圧倒的に増加。この1年で、働き方や学び方が劇的に変わったのです。長引くコロナ禍をきっかけに暮らし方や働き方を見直し、思い切って住む場所自体を変える人々も増えています。
2020年の夏以降、東京から地方への移住者は5カ月連続で増加。この勢いに乗り、政府も都会から地方への人の流れを生み出すために、施策を打ち出しています。例えば、2021年度から東京の仕事を続けながら地方に移住しリモートで働く人に最大100万円を交付すると発表。また、東京から地方に移住する人が住宅を購入した場合、家電などと交換できるポイントを最大100万円分付与する制度もできます(どちらも支援の対象になるには一定の条件があります)。
住む場所に縛られずに生き方を見つめ直す好機
すでに地方移転を決めた企業もあります。パソナグループは兵庫県の淡路島に本社機能の一部移転を進めており、最終的には東京本社で勤務する約1800人のうち約1200人を淡路島へ異動させる計画とのこと。コロナ禍による業績悪化で本社屋を売却する大企業も出てきていますし、本社機能のスリム化や地方移転が今後はさらに加速していきそうです。 日本では近年、どんどん広がる地域間格差が問題になっていました。しかし、働く場所や教育環境の問題などが解消できれば、自然豊かで物価も安い地方で暮らすメリットは計り知れません。いきなり地方移住はハードルが高いという方でも、期間限定で地方の宿泊施設などからリモートワークをしてみる、という旅行以上・移住未満の「お試し地方生活」なら気軽にできるかもしれません。 コロナ禍で多くの人が新しい暮らし方や働き方に挑戦し、都市に縛られない生活の選択肢が増えつつあります。「人生をどこで過ごしたいか」「子どもをどこで育てたいか」を見つめ直す機会にしてみてはいかがでしょうか。
\安田洋祐さんが考える/
なぜ東京一極集中だったのが変わってきているの?
✔️仕事や学びなどのリモート化が進行
✔️在宅でできる副業や仕事が増えてきた
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都市に縛られない生活の選択肢が増加
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生き方や働き方を考えるいい機会に !
《地方移住の支援制度》
【移住支援金】
東京圏在住で23区に通勤する人を対象に、東京圏外か東京圏内の条件不利地域に移住する場合、最大100万円の範囲内で移住先の都道府県が設定する金額を給付する制度。今までは地方企業に就業する人か起業する人が対象でしたが、2021年度から東京圏の会社に働きながら移住しリモートワークをする人も対象に!□仕事や学びなどのリモート化が進行□在宅でできる副業や仕事が増えてきた都市に縛られない生活の選択肢が増加生き方や働き方を考えるいい機会に !※東京圏⇒東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県※ 条件不利地域⇒「過疎地域自立促進特別措置法」などの対象地域の市町村(東京では檜原村、奥多摩町、大島町、新島村、神津島町、三宅村、八丈町、青ヶ島村、小笠原村など)
【グリーン住宅ポイント】
省エネ性能の高い住宅を新築し、東京圏から地方に移住した場合、1ポイント1円相当で家電などと交換可能なポイントを最大100万円分付与。
※掲載中の情報はMart誌面掲載時のものです。
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イラスト/熊野友紀子 編集/倉澤真由美 構成/上原奈緒