瀬戸康史さんインタビュー|ミュージカルで女役を含む1人10役に挑戦!
ドラマ、映画、舞台出演に加え、ナレーションやデジタルアートなどマルチに活躍している俳優の瀬戸康史さん。7月に上演される三谷幸喜さん作・演出のミュージカル『日本の歴史』出演を機に、CLASSY. ONLINEでオリジナルインタビューを2回に分けてお届けします。
――今回出演する『日本の歴史』の初演は観客としてご覧になっていたそう。初演を見た時の率直な感想はいかがでしたか?
「本当に『新しいものを見たな』という気持ちでした。耳に残る曲が多くて、帰りには劇中の歌を口ずさんでましたが、まさか自分が出演することになるとは!(笑) ミュージカルということもあり大丈夫かなとも思いつつ、三谷さんが声をかけてくださったのが一番嬉しかったですね」
――60以上の役を7人の役者が演じ分け、1700年に渡る日本の歴史を描くという作品。瀬戸さんは平徳子など女役も含め約10役を演じるそうですね
「一つの作品でいろんな役を演じられるのは役者として楽しみなところでもあり、いい意味でラフにやれればいいのかな。初演を観た時も皆さんがいろんな役を楽しみながら演じてる印象が強かったので、自分もそうできればと思います。物理的には早替えがめちゃめちゃ大変だと思うんですけど、それも含めて楽しめればなと」
――中井貴一さん、香取慎吾さん、新納慎也さんなど共演の皆さんも豪華です
「共演経験があるのは新納さんだけで、ほかは皆さん初共演です。何役も演じなきゃいけないという状況にピッタリな達者な方ばかりで、役を瞬時に切り替えられる。しかもそれを大変そうに見せない。僕だけ新メンバーで、出来上がった座組に入るという経験はなかなかないのですが、仲良くなれたらいいなあと思っています」
――ミュージカルということで瀬戸さんの歌声も楽しみです。歌は得意なほうですか?
「もともと音楽は好きなんです。ミュージカルって確かに歌うんですけど、今作ではあまりミュージカルということを意識してなくて――。音楽を担当なさった荻野(清子)さんが作る曲は突然、歌が始まる感じじゃなくて、自然に芝居と繋がっているので、そこが魅力でもありますね」
――瀬戸さんが参加することによって、新曲も加わったとか
「最初の歌稽古で音域チェックをした時 、三谷さんに新曲があるからって言われて――。その時は冗談かと思ってたんですが(笑)」
――瀬戸さんが思う、今作の魅力と見どころをお聞かせください
「前向きになれて、ハッピーになれるミュージカルだと思います。コロナ禍のこういう状況だからこそ、楽しくて幸せな余韻が残るような作品が必要なのかなと思います。ぜひ生で見てもらって、肌でそれを感じていただきたいです」
――映像作品ではラブコメからシリアスな作品、ホラーまで幅広く出演。ご自身ではどんな俳優でありたいと思っていますか?
「今のところはフィールドを限定したくないと思っています。それぞれの良さがあると思うし作品によって見てくださる方の層も違ってくるので、いろんな場所でいろんな表現をしている自分を見てもらいたいなと思っています」
――瀬戸さんと言えば、優しくて誠実な好青年というイメージがありますが、素顔はどんな感じの方なんでしょう。ご自身で思う性格を教えてください。
「そうですね……芸能人ってイメージ的に裏と表があるって思われがちですけど(笑)、僕はないです。ないと思いますし、周りにもないと言われます。心身ともに変な波もないし、怒らないし、皆さんが持ってくれてるイメージ通りです(笑)」
――瀬戸さんをよくる周りの方からは、どんなふうに言われることが多いですか?
「『器用だね』と言われますが、自分では器用だとは思わないかなあ。時々、何を考えてるかわからないって言われますね(笑)。あと『話しやすい』とよく言われます。この間、初めて会ったヘアメークさんにも『初めてな感じがしない』って言われました。
――親しみやすくて壁を作らないんですね
「嫌いな人がいないわけじゃないですよ。イラっとすることもありますし。そういう人とは目を合わせられなくなるので、自分でもわかりやすいなとは思います」
――以前は「フェアリー男子」と呼ばれたほど可愛いイメージもありますが、「可愛い」と言われることに対してはどう思ってますか?
「若い頃は抵抗がありましたね。もちろん嬉しさもあったけど、どこかバカにされてるような感じがしてたのかな。でも25~26歳くらいから歳を重ねるにつれて、それも自分の中の一つの面で、否定するよりも受け入れた方がラクだなと思うようになりました」
――デビューから約15年になりますが、今思う理想の俳優像はありますか?
「ないです。活動の場はお芝居だけじゃないなと思っていて――。ナレーションなど声の仕事もやらせてもらってますし絵を描くこともそうですが、表現者としていろんなことができたら面白いなと思っています。もちろん自分の軸はお芝居にありますし、帰ってくるところはそこなんですけどね」
瀬戸康史
‘88年5月18日生まれ 福岡県出身 血液型A型●ドラマや映画、舞台と幅広く活躍。‘17年の舞台『関数ドミノ』で文化庁芸術祭演劇部門新人賞を受賞。最近の主な出演作はドラマ『透明なゆりかご』『まんぷく』『私の家政夫ナギサさん』『ルパンの娘』シリーズ、映画『寝ても覚めても』『事故物件 恐い間取り』、舞台『ドクター・ホフマンのサナトリウム~カフカ第4の長編~』など。三谷幸喜作品は『23階の笑い』に続き、2度目の出演。またWOWOWオリジナルドラマ『男コピーライター、育休をとる。』が7月9日より配信開始、10月15日には劇場版『ルパンの娘』が公開、12月には主演舞台『彼女を笑う人がいても』(仮題)を控えている。
『日本の歴史』
‘18年12月から翌1月にかけて上演されたオリジナル・ミュージカル『日本の歴史』の再演。卑弥呼の時代から太平洋戦争までの日本の歴史を凝縮しただけでなく、ある家族の歴史の物語も重ね合わせながら描かれる。60人以上の登場人物を7人のキャストが演じる、三谷幸喜渾身の壮大な大河ミュージカル。●作・演出/三谷幸喜 音楽/荻野清子 出演/中井貴一 香取慎吾 新納慎也 瀬戸康史 シルビア・グラブ 宮澤エマ 秋元才加 <東京公演>7月6日(火)~18日(日)新国立劇場 中劇場 <大阪公演>7月23日(金・祝)~30日(金)梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
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撮影/イマキイレカオリ ヘアメーク/須賀元子(星野事務所) スタイリング/小林洋治郎(Yolken) 取材・文/駿河良美 構成/中畑有理(CLASSY.編集部)
シャツ¥15,950( MAISON SPECIAL / MAISON SPECIAL AOYAMA http://maisonspecial.co.jp/) ジャケット¥88,000 パンツ ¥50,600(ともにIRENISA/GOOD LOSER http://www.milokweb.com/)