【エルメスは服にも注目】“美しい気”を纏える秋冬の注目コレクション

今季のエルメスで目を引くのがレザーと布帛の異素材コンビネーション。しなやかなレザーと、柔らかな布帛が一体となって生み出すルックからは、スタイリスト・長澤実香さんいわく「『美しい気』が香り立つよう」。素材へのこだわりこそがエルメスの原点であり、着る女性に別格の存在感をもたらすのです。今季の注目コレクションをご紹介します。

こだわり抜いた素材と
最高の職人技が生む
美しい気配
   スタイリスト 長澤実香さん

 エルメスが創り出すアイテムには「いい気」を感じます。すべてのアイテムにぶれない美しさが宿っている。その原点となるのは、モノに対する誠実な愛だと思うのです。今季、私が注目したのがレザーと布帛の異素材の組み合わせ。異素材コンビというと、硬いレザーに対し、柔らかい布帛を組み合わせることで生まれる対照の魅力というのが一般的。しかし、エルメスの場合は、とろりと肌に馴染むレザーを軸に、「第二の肌」のようなダブルフェイスのカシミアや、しなやかなジョーゼットなど、レザーの延長線上にある質感の布帛を合わせているのが特徴だと思います。エルメスでは、素材は創作プロセスの出発点であり、ストゥディオにより、繊維、糸、織りを選びながら、新素材を開発しているのだとか。糸一本からこだわり抜いた素材は、色や質感、肌ざわりなどに格段の違いが生まれ、それが相まって「いい気」を放つのだと思います。ブティックを訪れたら、小物チェックだけでなく、レザーを羽織ってみてください。最高の素材と職人達が創り出す「美しい気」を纏う感覚を実感するはずです。

ラムスキンで
トリミングされた
ドレッシーなデニム

デニムワンピース ¥1,155,000、ハイネックニット(参考商品)、ピアス ¥101,200/エルメス(エルメスジャポン)
格子柄が黒のラムスキンで表現されたコットンデニムのエプロンスタイルのドレス。前身頃に施されたジッパーには、バッグ「ケリー」の留め具と同じ形がデザインされている。「デニムというとカジュアルになりやすいのですが、このドレスはレザーのラインが効いていて、デニムでもきちんと感があってドレッシー。まさに大人のためのデニムだと思います」。

レザー×ジョーゼット
異素材コンビで
しなやかでいて
芯のある女に

「異素材使いの妙が際立つルック」と長澤さん。「ラムレザーのショートジャケットと、繊細なプリーツが施されたジョーゼットのラップスカートは、異なる素材なのに、両方ともしなやかな質感なのが素晴らしい」。ボタンにはメゾンを象徴する「クルー・メドール」と名付けられたピラミッド型のスタッズが配されている。「スタッズも角がなくまろやかなフォルムで、全体的に柔らかな雰囲気。〝ルージュ・ボルドー〟という名の深い色味まで含めて美しい色香が漂うコーディネートです」。
レザージャケット ¥1,084,600、プリーツスカート ¥612,700、ハイネックニット(参考商品)、ブーツ(ヒール9.5㎝) ¥279,400、ピアス ¥101,200/エルメス(エルメスジャポン)

レザーのジレを軸に
テンションの違う黒を
品よくレイヤード

ジレ ¥1,837,000、パンツ ¥314,600 、ハイネックニット(参考商品)、ショートブーツ (ヒール7㎝) ¥243,100、ネックレス ¥239,800、ピアス¥101,200/エルメス(エルメスジャポン)
艶やかなラムスキンを使ったフリンジ付きのジレ、格子柄のコットンツイルのシャツ、ヴィスコースの透けるニット、ウールギャバジンのストレートパンツと、さまざまな質感の黒を重ねたコーディネート。「ジレのレザーは厚みがありながらとにかく柔らかくて、フリンジも、〝こんなに軽やかに動くもの?〟とびっくりするくらい。ベルトを絞ったときもしなやかで、さすがエルメスと感激。いつかは纏ってみたい、憧れのジレです」。

馬用のブランケットに
着想を得た
ダブルフェイス・カシミア

フリンジ付きのケープとスカートに使われている、特別な技術を用いて制作されるダブルフェイス・カシミアは、馬用のブランケットから取り入れたアイデア。今ではプレタポルテのアイコニックな素材です。「エルメスのカシミアは、軽くて柔らか、触れた時のリッチ感も素晴らしく惚れ惚れします。ケープの衿元やトリミングに施されたラムスキンとともに、肌と溶け合うような感触はエルメスならでは」、と長澤さん。
ケープ¥1,210,000、スカート ¥524,700、ハイネックニット(参考商品)、ブーツ(ヒール9.5㎝) ¥279,400、ピアス ¥101,200/エルメス(エルメスジャポン)

ブランドの姿勢や丁寧なモノづくりは商品の品質の良さに繋がっている。そして、よいものは買ったその時から物語をつくり始め、次世代に受け継いでいきたくなるようなものになっていく―そんなモードの始まりの在り方を、人気スタイリスト長澤実香さんと考えていきます。

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長澤実香 – stylist –
スタイリスト。「着られるモード」を提案するセンスは女優やモデル達からの信頼も厚い。ベビーブランド「Hijiki.」ディレクターも務めるなど多岐にわたり活躍。
@nagasawamika

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photos TAKAHIRO IGARASHI (SIGNO) styling MIKA NAGASAWA
hair JUN GOTO (OTA OFFICE) make-up FUSAKO (OTA OFFICE)
model MAKIKO TAKIZAWA edit & text MIWAKO YUZAWA
composition SHOKO SHIBUSAWA

VERY NAVY11月号『BRAND NEW STYLE styling by MIKA NAGASAWA Vol.11』より。詳しくは2021年10/7発売VERY NAVY11月号に掲載しています。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。