“まだどっちにも振れる” 20歳の女優・山田杏奈さんが見つめる未来。
意志を感じる強い眼差しを武器に、圧倒的な存在感を放つ女優・山田杏奈さん。お芝居の世界で引っ張りだこの彼女が、お芝居を楽しく続けられる理由&どんな難しい役にも立ち向かう強さの秘訣を等身大の姿で語ってくれました。現在20歳の山田さんが見据える未来についても必見です!
PROFILE
山田杏奈(やまだ あんな)●2001年生まれ、20歳。2011年に開催された「ちゃおガール☆2011オーディション」でグランプリを受賞し、芸能界入り。近年の主な出演作は映画『樹海村』(W主演)、『名も無き世界のエンドロール』、ドラマ『荒ぶる季節の乙女どもよ。』など。新進気鋭の女優として注目を集める。10月公開の主演映画『ひらいて』の他、映画『彼女が好きなものは』が12月に公開を控える。
根拠のある自信を持つために、努力を続けます
ウィズコロナ時代を迎え、“自己肯定感”という言葉を多く耳にするようになりました。山田さん自身は自己肯定感が高いですか? 低いですか?
私自身は普通か…普通より低いと思います。根拠のない自信を持てる人っているじゃないですか。私は全然持てないので。根拠のない自信を持った人が近くにいると、そのポジティブ精神に引っ張られて自分もポジティブ思考になっていっている気がしますし、すごく元気をもらえるんですよ。ただその根拠のない自信ってどこから湧いてくるんだろうって(笑)。根拠ないから理由も特にないと思うんですけど、そうやって考えちゃうくらい分からないなって。そうやって根拠を考えちゃうことを思うと、私の自己肯定感は高くないのかなと思います。
逆に根拠のある自信なら持てていると感じますか?
根拠のある自信を持てるように、頑張れることをやろうって努力はしています。自分自身で「私は大丈夫だ」って思えるように、日々頑張っているところはあるかもしれないですね。
でも改めて考えると、自信って難しいですよね。私自身「人よりできる自信があります!」って言えるようなことが全然なくて。それこそ最近色々な大人に会って、作品良かったよとか言ってもらえることが多いんですけど、なんでみんなそんな褒めてくれるんだろうって(笑)。もちろん内心すごく嬉しいですよ! ただ「ありがとうございます」って言いながらも、私の何が良かったんだろうって考えたりします。
忙しい中でも毎日を充実させるためのマイルールはありますか?
前は筋トレをやってたんですけど、最近仕事で地方に行っていたこともあり、サボり気味に…。自粛期間でスケジュールが空いていた期間は、毎日朝晩筋トレしてました! 家でできるようなことですけど、腹筋と背筋、あとは体幹。体幹は楽しかったですね。ひたすらプランクの姿勢をキープするんですけど、MAX2分くらいは続けられるようになりました。昔芝居をしている時に「体幹ないね」って言われたことがあって、体幹って分かりやすく目に見えるものではないけどやっぱり大事だなと。動きがフラフラしちゃうとカッコ悪く見える時もありますし、今後も体幹トレーニングは続けていきたいと思ってます。
トレーニングが役に立った!と実感した瞬間はありましたか?
パッと機敏よく動けるようになったりとか、フラつかなくなったりとか、ちょっとした時に困らなくなった気がします。あとは根本的な話なんですけど、運動に対する苦手意識が前に比べてなくなりました。もともと運動が苦手で、友達にラウンドワン行こうって誘われてもなんで?って思っていたタイプなんです(笑)。今でも運動が大好きってわけじゃないですけど、筋トレで少しでも運動することで、苦手意識が減ったように思います。今ならラウンドワンも行ける気がします!
自分の写り方ではなく、芝居を優先して考える
お芝居のお仕事をする上で、大切にしている信念はありますか?
今回の『ひらいて』でもキャスティングに関わっているとてもお世話になっている方からいただいて、とても大事にしている言葉があって。私が中学生の頃初めて顔合わせでお会いした時に「女優は汚いところを見せる仕事だから」って言っていただいたんです。その言葉を聞いてからは、役を演じる上で山田杏奈としてキレイに映ることを意識するんじゃなく、どんな時でも芝居メインで考えるようにしています。
同じ言葉を高校生とか今の年齢で聞いていたらまた捉え方が違っていたかもしれないですけど、ちょうど中学生っていう自我が芽生える時期で、自分自身がキレイに写ることを考え始めるタイミングだったからこそ言ってくださったんだと思うんです。私自身がどうこうっていうより、役の見え方がすべて。役者なら当たり前かもしれないですけど、今でも意識するようにはしています。
山田さん自身が役者としての強みを一つ挙げるなら、どんなところになりますか?
“まだどっちにも振れる”ところですかね。顔は幼いですけど、目力が強いからとかアンニュイな感じが印象的だからって大人っぽい役で使ってくださる方もいて。そういうアンバランスさみたいなものって、面白いなって思います。あとは表情の芝居に関して褒めてもらえることが多いので。そこは引き続き高めていきたいと思いますし、自分を客観的に見ることも忘れずにいたいです。
同世代で活躍されている役者さんの存在は気になりますか?
本当にみんなすごいなって思いますし、勉強になります。それぞれ強みがあって、私にないものを持っていて。だからこそ私にしかできないこともあると思いますし、自分の中で見つけつつ、みんなと同じ土俵で戦っていけるようにこれからも頑張りたいです。
自分の演技に満足せず、着実に成長していきたい
今は役者のお仕事がメインだと思いますが、これから新たに挑戦してみたいことはありますか?
現状は自分のモチベーション的にもお芝居が一番楽しいですし、お芝居が好きなうちはお芝居のお仕事を続けていけたらいいなと思います。ただ将来、何が起こるか分からないですからね。絶対にお芝居だけ!っていう感じではなくて、もし他に興味があることができたらそれは経験していきたいです。仕事の話だけじゃなく趣味もたくさん経験したい。人生経験として、いろいろなことをやってみたい気持ちがあります。
最後に、役者として今後の目標を教えてください。
まずは続けていくこと。役をいただけるのは当たり前のことじゃないですし、作品にキャスティングしてもらえるためには、自分の以前の仕事がオーディションになっているところもあると思うんです。一つ一つの作品を大切に、自分自身がちゃんと成長し続けられるようにしたいです。今までも自分が出演した作品を見て「完璧! よくできた!」って思ったことは一回もないですし、それは多分これからもなさそう…。でも、その姿勢でいられればお芝居をずっと面白く感じられると思うので。ワクワク感を持ちながら、「山田杏奈に演じてほしい」って思ってもらえるような役者でありたいなと思います。
ちなみにこれから挑戦してみたい役はありますか?
会社員やりたいです! 今まで学生の役ばかりでしたけど、とうとう20歳にもなったので。学生はもちろん自分も経験してきましたけど、OLにはなったことがないので。自分が経験したことのない人生に役柄として足を踏み入れるのは面白そうだなって思います。自分が知らない世界をお芝居を通してたくさん経験してみたいですね。
ありがとうございました!
映画『ひらいて』10月22日(金)全国ロードショー
芥川賞受賞作家・綿矢りさの同名小説を、「この映画を撮るために監督になった」という新進気鋭の若手監督・首藤凜が映画化。成績優秀で人気者の高校3年生・木村愛(山田杏奈)がひそかに思いを寄せているのは、同じクラスの西村たとえ(作間龍斗)。けれど、彼には恋人の新藤美雪(芋生悠)がいた。ふたりの揺るがない絆を知った愛は、美雪に急接近。3人の関係は、思いも寄らない方向へ走り始める…。
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撮影/望月宏樹 ヘアメーク/菅長ふみ(Lila Management) スタイリング/中井彩乃 取材/所 優里 編集/宮島彰子(JJnet編集室)