【レシピ】いつもの料理を10分で ⑱山菜のフリット

しっかりと時間をかけて作る日もあるけれど、それでは毎日がまわらない……。
とはいえ、時短料理は溢れているけれど、
ただただ短い時間で料理ができればいいと思っているわけではない……。

「なぜ」このやり方なら、10分で作れるのか?
「どこ」さえおさえていれば、味の要が守れるのか?
理由を知っていれば、レシピを見続けなくてもサッと作れるようになる。

料理研究家の上田淳子さんに、(ほぼ)10分で作るための、省いていい部分・守るべき部分、そして”発想の転換方法”を教えてもらうウェブ連載。

 

今回は番外篇です。

揚げ物をもっと生活に取り入れて、ラクをしませんか?というお話です。

上田さんいわく、

「揚げ物は、素材を最短で美味しくする調理法」と言っても過言ではないとか。

確かに…揚げるという作業自体は、短時間でできますが……。

油の処理や片付けを考えるとどうしても億劫になってしまう調理法のひとつ。

ですが、上田さんは家庭料理に積極的に”揚げ物”を取り入れたほうがラク、と語ります。

VOL.18 山菜のフリット

タラの芽、ふきのとう、アスパラガス、そら豆…。

春は芽吹きの季節。これらをどう調理するか?と考えるのは楽しいもの。

やっぱり、”フリット”を候補に入れざるを得ませんよね。

「油は、野菜のえぐみをマスキングしてくれるので、旨みが増して美味しくなるんです。衣をまとって揚げるので、揚げ物というよりもむしろ蒸し料理ですね」

上田家では、揚げ物ハードルを下げるためにどのようなことを行っているのでしょうか。

 

揚げ油は、「小鍋」に「必要最小限」でいい。

双子の息子も大きくなり、無事に子育て終了。家でごはんを食べるのは、夫婦2人だけという日が増えました。子どもが小さかった頃は、大きな鍋にたっぷりの揚げ油を注いで、一気に何kgもの鶏肉を揚げていましたが、今は違います。

さすがに唐揚げを作る機会は減りましたが、素材を美味しくする”揚げ物”はやっぱり食べたい。特にこの時期は、芽吹きのものたちをフリットにして味わいたいもの。

タラの芽やふきのとうなど、揚げる素材自体も小さいし、食べる量も減ってきた今、

油の量は、素材がほぼ浸かる程度の深さがあればいいのです。

もちろん、具材を入れたときに揚げ油の温度が下がってしまうのでたっぷりの油で作るほうが、温度の調整は楽になるという点もありますが……。

あくまでもパパっと作りたいと思っている、おうち料理。
さらに今回は、小さい具材でサッと短時間でOKな山菜のフリットなので、

写真のように具材がほぼ浸かる程度です。

底面積が小さい鍋であるほど、少量の油でも具材が浸かりやすくなります。

そして、一気に揚げずに少量ずつ揚げていけば、具材の温度が下がる心配もありません。

少量の油であれば、片付けもラク。
使い終わった油がきれいならば、次回の揚げ物料理のときに……なんて思わずに、少しずつ炒め物などに使えばいいのです。場合によりますが、2〜3日で使い終わると思いますよ。

山菜のフリット

【材料】 作りやすい量

  • タラの芽…4~6個
  • ふきのとう…2~4個
  • アスパラガス…3本
  • そら豆(さやから出したもの)…10粒
  • 薄力粉…1/2カップ
  • (強)炭酸水…80~100ml程度
  • 塩…ふたつまみ程度
  • 揚げ油…鍋底から2〜3cm

【作り方】

1.タラの芽は根元が固いようであれば薄く剥く。ふきのとうはまわりの葉を開いておく。アスパラガスは食べやすい長さに切る。そら豆は、薄皮を剥く。

2.衣を作る。薄力粉と塩をボウルに入れて炭酸水を注ぎ入れながら泡立て器で混ぜる。(ホットケーキの生地より少し柔らかいくらいが目安)

3.揚げ油を少し高めの中温(180度程度)にする。のふきのとう以外にの衣をつけて2分を目安にからりと揚げる。揚げ終わった後の2に少し炭酸水を足して、衣を少し緩くする。のふきのとうに衣をつけ同様にからりと揚げる。

温度の目安:菜箸を入れて、箸全体からシュワシュワと細かい泡が出ればOK!

 

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【PROFILE】
上田淳子:料理研究家。スイスやフランスのレストランで修業を積み、現在の道へ。食育の活動も行う。著書多数。近著に『ラクするご自愛ごはん』(主婦の友社)がある。インスタグラム@ju.cook

 

撮影/大森忠明 文・構成/松本朋子

 

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