仕事と家事育児で毎日いっぱいいっぱい・・・このままでいい?【ジェーン・スー×HARUKOの人生相談Vol.45】

40代女性の気持ちを代弁するような明快な語り口が人気のコラムニスト、ジェーン・スーさん。新聞やラジオ、雑誌で多くの方のお悩みに答え、その胸のすくような回答には励まされる読者も多数。

一方、波乱万丈の人生経験を持ちながら、いつも前向きで飾り気がない人柄で、誰からも愛されるモデルのHARUKOさん。歯に衣着せぬ語り口で、仲間のお悩みにさっと答えてくれると評判です。

そんなおふたりに『STORY』読者の真剣なお悩みに答えていただきます!

<PROFILE>

ジェーン・スーさん

コラムニスト。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」(月〜木11:00〜)のパーソナリティを担当。毎日新聞をはじめ新聞・雑誌で数多くの連載を持つ。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』は、第31回講談社エッセイ賞を受賞。

HARUKOさん

モデル。短大時代、『JJ』にて山田明子(はるこ)の名でデビュー。以来、数々のファッション誌で活躍。’03年に結婚後、九十九里浜に移住、長女を出産。’12年に離婚。HARUKOに改名し、現在『STORY』にて活躍中。趣味はサーフィンと読書。


~第45回~

仕事と家事育児でいっぱいいっぱいの毎日 このままでいいのかという疑問が消えません

証券会社に勤務しており、産休後、時短勤務をしましたが、4月からフルタイムに復帰しました。仕事は楽しく、やりがいがあり、上司からは、女性リーダーのロールモデルとなるよう頑張ってほしいと言われています。入社当初から、子どもができても、昇進したいと思っていたので、希望はかないつつあり、経済的にも安定しています。夫も家事育児に協力的です。
何も不満はないはずで、贅沢だとは思うのですが、実際は、子どもを保育園に送って、大急ぎで会社に行き、めいっぱい働いて、急いで帰って、2人の子どもの世話や家事をして、を繰り返す毎日は、復帰前に想像していた以上に大変です。夫が夕食を作ってくれている日も、お風呂がわいている日もあるのですが、それでも、いつもいっぱい、いっぱいで、のどの奥に何か詰まっているような息苦しさを感じてしまいます。疲れているのに、目がさえて眠れないこともしばしばで、ときどき、全部投げ出して、入院でもしてしまいたい(もちろん旅行とかでもいいのですが、入院なら、仕方ないと周囲も自分も思えるかなあと)と思うことも。回る車輪の上を走り続けているハムスターのようで、このままでいいのかという疑問が消えません。
(神奈川在住 S.Yさん 証券会社勤務)

ジェーン・スーさん

小さいお子さんを持つ方は、みなさん、必ずといっていいほど、これでいいんだろうかって一度は考えるみたいですね。HARUKOさんはどうでしたか?

HARUKOさん

私は、育児に関しては、元夫をまったくあてにしていなかったので、自分の親と友達に娘を預かってもらうなどして、なんとかやりくりしていました。モデルの仕事は、子どもの寂しい思いを我慢させたくないなという思いはあったので、9時半から夕方4時までにしてもらうようお願いしていました。その条件内で仕事をさせてもらえていたので、あまり子どもに負担がかからなかったんですよね。だから、私とは全然状況は違うんだけれど。 でもS.Yさんは、能力があるんだから、なんとか仕事を続けて、社会にも貢献したほうがいいと思う。会社からも期待されているということは、すごく能力が高いということ。がんばってほしい。

ジェーン・スーさん

そうですね。私が子どもを持たなかった理由のひとつは、たとえパートナーと分担したとしても、育児と仕事の両立をちゃんとできる自信がなかったというのもあったんです。だから、こういうお話を聞くとちょっと申し訳ない気持ちにもなっちゃうんですが……。とはいえ、子育ては永遠に続くわけではなく、ある時期までくれば、少し楽になってくるじゃないですか。キャリアは、一回途切れると戻すのに、相当の時間と労力が必要。もちろん、そういう社会の状況は変わっていかなくてはいけないけれど、一朝一夕で変えられないのが現実ですよね。だから、まわりのお母さんとか、コミュニティとか、地域のファミリーサポートなどを探して手伝ってもらって、あと何年間かを乗り切るという方向にいってもらえたらと。もし、メンタルや体調に不調があるなら、健康が最優先ですから、一度仕事を離れたほうがいいけれど。こういうお悩みを聞くにつれて、どうして、同じことで男性は悩まないんだろうって考えて、辛くなります。本来なら、育てるのは夫婦で一緒にできるはずなのに。

HARUKOさん

そう。お風呂や夕食の準備をしてくれるご主人なんですよね。でも、それだけに、「なんていいご主人なの?うちのほうがずっと大変よ」って他人から言われたりもするのかもしれない。そうすると、余計にSOSが出せなくなることもあるよね。 私の友達でも、子育てが一段落して、仕事を再開したいという人が結構いるのだけれど、よく聞くのが「仕事は辞めずにずっと続けておくべきなんてこと、誰も教えてくれなかった」という言葉。キャリアは捨てないほうがいい。もしかしたら、今後の人生で、キャリアが自分を守ってくれることがあるかもしれない。きっと、子育てが一段落したときに、ああ、良かったな、って思える日が来るんじゃないかな。

ジェーン・スーさん

あと何年かは、手を抜くところは思いっきり抜いて。家事や育児のアウトソーシングも、公共サービスを使えば安いところが見つかるかもしれない。たとえ料金が高くて、働いた分が分シッター料金に消えてしまうとしても、先々を考えたら回収できるんじゃないかな。頑張れとしか言えなくて本当に申し訳ないけれど。

HARUKOさん

仕事ができる人ってそうそういるものじゃない。本当にカッコいいと思いますよ。

当連載は毎週金曜日配信です。
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撮影/吉澤健太 取材/秋元恵美

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