元宝塚歌劇団トップスターたちの豪華顔合わせによるストレートプレイ劇『8人の女たち』。4回にわたりお届けしてきたスペシャル対談、ラストは元星組トップスター湖月わたるさんと元月組トップスター珠城りょうさんのお２人にウェルビーイングなライフスタイルについてお聞きしました。

――CLASSY.ではウェルビーイングなライフスタイルを発信しています。以前のインタビューで珠城さんは食べるのがゆっくりになったこと、散歩をしていること、コアラ基金等についてお話しいただきました。湖月さんが考えるウェルビーイングなライフスタイルについてお聞かせください。
湖月　コロナ禍になり、人のいない早朝にウォーキングをするようになったんです。そしたら、近所にお肉屋さん、八百屋さん、お花屋さんを見つけたんです。今まではスーパーで全部買っていましたが、家族や老夫婦で頑張っているお店屋さんの存在を知ってからは、ここで買い物せずにはいられなくなりました！　いつもお勧めを聞いているんですけど、作り方を教えてくれたり、おまけしてくれたり。先日はいつもいるお母さんがいなかったので「お母さんは？」と聞いたりして(笑)。コロナ禍でも新しく出会った方とお話しできることや少しは地元に貢献できているかなと思えることで、生まれ育った街ではないですけどここに住んでいることが楽しくなりました。お肉屋さんで鶏のレバーを初めて買った時、どう料理しようか考えながらお店を後にしたら、お母さんが私の背中に向かって「血抜きするのよー！」って叫んでくれたので「はーい！」って答えました(笑)。私が初心者なのがわかったんでしょうね。教えてくれなかったら血抜きしないで料理するところでした。血抜きを調べてやりましたが、結構大変で(笑)。今度、お母さんに直接教えてもらわないと！　そんなたわいもないことですが、生活が潤うなと思いながら過ごしています。

珠城　コロナ禍で誰かと食事をする機会がなくなりましたよね。でも、一人で食事をしたとしても美味しいなと思える心のゆとりが大切だと思っているので、一人でも美味しいと感じたら「これ、美味しい！」と思わず声に出していましたね。最近は飲食店がいろんな努力をしてくださり、外食も以前よりしやすくなりましたよね。先日は友人とカフェに行ったのですが、私が「美味しい、幸せ！」と言ったら、友人が「こんないい顔が見られて、私も幸せ」と言ってくれて！ 高価な物を食べるわけではなく、誰かとお茶するだけの時間がなんて心を満たしてくれるんだろうと思いました。コロナ禍で前より自由に食事やお茶をすることはできなくなりましたが、かえって何気ない時間や誰かと何かを共有する幸せを実感できるようになったのは良かったです。

――湖月さんが退団された’06年に珠城さんが宝塚音楽学校に入学しているので、舞台で共演されたことはないと思いますが、お互いの印象を教えて下さい。
珠城　はい！　私から話していいですか(笑)？　わたるさんの相手役さんを包み込む温かさもデュエットダンスも大好きで、絶対に優しい方なんだろうなと思っていたら、本当にイメージ通りの方でした！　同じ舞台に立ったことはないですが、私が出演する公演を観に来てくださった時にわざわざ私のところまで来て声をかけていただいたんです。こんな私にまで挨拶してくださった！と驚いたのを覚えています。やわらかい雰囲気が客席から観ていた時と変わらなくて、わたるさんはオンもオフも優しい方！というのが私の印象です。

湖月　私の時代、千秋楽は劇場に行くか映画館のライブ中継で観るしかありませんでしたが、最近は自宅でもライブ中継が観られるじゃないですか。りょうちゃんの退団公演の日を確認したらオフの日だったので「家で観られる！」と、すぐにライブ中継のチケットをとったんです。自宅からでしたが、退団の日を一緒に過ごさせてもらいました。大千秋楽の公演は自分の退団以来だったので自分のことも思い出しましたし、彼女の宝塚への愛や月組の皆から愛されていたのも伝わってきました。これから新しい世界で頑張って行くんだろうな、ご縁があったらいいな、と思っていたら、10カ月後に一緒にインタビューを受けているとは(笑)！ 退団して、こうして縁が繋がっていくのは嬉しいことです。

珠城　縁といいますか恐れ多いんですけれど、わたるさんが出演された『長崎しぐれ坂』を同じ役で再演させていただいたのですが、どちらにも出演された轟悠さんに「どーんとしている感じが似ている」と言っていただいたんです。わたるさんは洗練された器の大きさで、私は田舎育ちのおおらかな雰囲気なんですけど。
湖月　そうだ、そうだ、『長崎しぐれ坂』再演していたよね！ 行きたかったけど行けなかったの。どこ公演だっけ？
珠城 　博多座です。
湖月　そうそう、博多だから行けなかったの。でも、私達は轟さんに「似てる！」って言われたんだ。どーんと大きいところが(笑)！ 私達の縁はそこから繋がっていたのかも！　今回出演する８人もいろんな縁で繋がっていそうだね。
珠城　舞台のミステリーだけでなく、８人の縁も紐解いていったら面白そうです！

【衣装】<珠城さん着用分>ジレ￥55,000（エズミ／リ デザイン☎︎03-6447-1264）シャツ￥80,300パンツ￥85,800（ともにペセリコ／ウールン商会☎︎03-5771-3513）イヤリング￥8,800バングル￥19,800（ともにマナ ローザ ジュエル／マナ ローザ☎︎011-616-0106）靴￥118,800（クリスチャン ルブタン／クリスチャン ルブタン ジャパン☎︎03-6804-2855）
撮影／木村 敦　スタイリング／久保コウヘイ　ヘアメーク／河上智美　取材／よしだなお　構成／中畑有理(CLASSY.編集室)