【性教育ワーク連載vol18】実は決めるのが難しい⁉ 性別ってどうやって決めるの?

親子の15分性教育ワーク。今回は性別についてがテーマです。

いきなりですが質問です。

生まれた時に「あなたは女の子」「あなたは男の子」と、どうやって性別は割り当てられているか知っていますか?

学校の授業や保護者向けの講座でこの質問をすると、「えーと、ちんちんがあるかどうか」「おまたの形かな?」と、子どもも、大人も、ちょっと戸惑った感じで答えてくれる人がほとんどです。

今回のワークの中でふれていきますが、実は性別の決め方はおまたの見た目だけでは決まらないこともあり、結構複雑です。

ワークをやりながら、「性別って簡単に決められないね」「女性、男性といっても、いろいろな人がいるんだね」と感じてもらえたら嬉しいです。

それではワークをはじめましょう!

今回の15分ワークのお題

①生まれた時に、どうやって性別を決めているの?
②なんでおまたの見た目が違うの?
③性別にはいろいろあるよ!
④からだの性別についてもっと詳しく!

①生まれた時に、どうやって性別を決めているの?

まずは子どもに「赤ちゃんが生まれた時、どうやって性別を決めているのか知ってる?」と聞いてみてください。

「ちんちんがあるかどうかじゃないの」「お母さんのお腹に、何かの機械をあてるんだっけ」という回答がくるかもしれないし、全然わからないという子もいると思います。ある程度答えが出てきたら、次へ。

「病院で、赤ちゃんのおまたの見た目から性別は割り当てられるよ」「でも、ひとりひとりのおまたの見た目は違っていて、おまたの見た目だけでは性別を割り当てられないこともある」「その時はいろいろな検査をして性別を決めていくんだって」と話してみてください。

なんでおまたの見た目が違うの?

今度は「なんで女の子と男の子でおまたの見た目が違うのかわかる?」

この質問は結構難しいので、分からない子がほとんどだと思います(たまに、からだの仕組みについてめちゃくちゃ詳しい子がいて説明できることもあります)。

「卵子と精子がくっつくと受精卵になって、それが育つと赤ちゃんになるんだけど、卵子の中にも精子の中にもからだの設計図みたいなものが入っているよ」

「性別を決める設計図みたいなものを性染色体というんだけど、卵子にはX、精子にはXかYのどちらかが入っていることが多いよ」

「卵子と、Xの性染色体をもつ精子がくっつくとXXの性染色体をもつ受精卵になるよ。その受精卵が育って赤ちゃんになると、生まれた時に『女の子』と割り当てられるおまたの見た目になることが多いよ」

「卵子と、Yの性染色体をもつ精子がくっつくと、XYの性染色体をもつ受精卵になるよ。それが育つと生まれた時に『男の子』と割り当てられるおまたの見た目になることが多いよ」

「こんな風に卵子と精子の性染色体の組み合わせで、『女の子』『男の子』って性別が割り当てられることが多いけど、それだけで全部決まるわけでもないんだって」と、イラストを見ながら話してみてください。

③性別にはいろいろあるよ!

ここまでは、生まれた時に割り振られる性別や、同じ性別でもいろいろなからだの状態があることについて話してきました。

「ここまでは、生まれた時に決められる性別について話したけど、それと、自分で思う性別は違うことがあるって知ってる?」と聞いてみてください。
 
 「こころの性といって、生まれたときに割り当てられた性とは別に、自分の性別をどう思っているか、というものがあるよ。こころの性は、生まれた時に割り振られた性別と同じ人も違う人もいる。こころの性は、女性か、男性か、というだけではなくて、どちらでもない、女性と男性がまざっている、など、いろいろあるよ。」と話してみましょう。

 今回の親子で行うワークはここまで。

④では「からだの性別」の複雑さや、勘違いされやすい点についてまとめます。ワークショップなどで性別について話すと、詳しく知りたいという子もいます。興味があったり、詳しく知りたいお子さんには是非、一緒に読んでみてください。

④「からだの性別」についてもっと詳しく

学校の理科の授業では「卵子にはX染色体、精子にはXまたはY染色体が入っている。XXだと女性で、XYだと男性になる」と説明されることがほとんどですが、②でふれているように、からだの仕組みはもっと複雑です。

たとえば、卵子と精子が合わさって受精卵となる際にXO(性染色体がX1つのみ)となったり、XXYとなったりすることがあります。

XYの性染色体を持っていても、胎児の時のホルモンのはたらきの関係から、「女性」と性別を割り振られるおまたの見た目となることもあります。

「女性」と性別を割り振られた人の中にも、性染色体やからだの作りなど含め、様々な状態の人がいるし、「男性」と性別を割り振られた人の中にも、性染色体やからだのつくりなど含め、様々な状態の人がいるのです。

また、ここで説明している「性別」は「からだの性別」についてです。これは「こころの性」とはまったく別の話。からだのつくりが大多数の人と違っていても、それが「こころの性」が違う要因とはなりません。

同じ性別であっても様々なからだのつくりの人がいること、からだとは関係なく「こころの性」があること、どちらも当たり前のこととしてとらえられるといいですね。

おつかれさまでした!

次回は、今回学んだ、こころの性についてもっと深めます。性別に関係することで困っている子どもに対して具体的にどのようなことができるのか、なども一緒に考えましょう。

〈次回へ続く〉

イラスト/ばばめぐみ ※イラストは書籍「10歳からのカラダ・性・ココロのいろいろブック 変わるカラダのいろいろ編」(ほるぷ出版)から抜粋

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アクロストン

妻(みさと)・夫(たかお)であり、12歳、10歳の子を育てる親でもある、医師2人による性教育コンテンツ制作ユニット。
公立小の保健の授業や楽しく性について学べるワークショップを日本各地で開催。
家庭ではじめられる性教育のヒントや性に関する社会問題についてなどを発信している。

著書:「10歳からのカラダ・性・ココロのいろいろブック 変わるカラダのいろいろ編」 (ほるぷ出版)、「3~9歳ではじめるアクロストン式 『赤ちゃんってどうやってできるの?』」、「いま、子どもに伝えたい性のQ&A 、思春期の性と恋愛 子どもたちの頭の中がこんなことになってるなんて!」(ともに主婦の友社)
監修:シールでぺたぺた「おうちせいきょういくえほん」(主婦の友社)

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