“顔面骨密度”を今からアップ!「頭蓋骨トレ」で更年期老けを防ぐ
更年期の女性ホルモン減少からくる骨密度の減少はよく知られていますが、美容面でも顔の骨の委縮が大きな影響を及ぼすのをご存知でしょうか。たるみ、骨張り、ほうれい線、マリオネットラインなど、その影響は甚大です。一方で、骨へのアプローチは肌への摩擦や血管への圧迫が不安で、手を加えにくいという現実も……。
そこで、『朝1分!「顔の骨トレ」で10歳若くなる!』の著者 山本江示子さんに更年期対策にぜひ取り入れたい顔の骨=頭蓋骨への美容ケアについて教えていただきました。
更年期に顔の骨は太ももよりも15年早く老ける!?
更年期に女性ホルモンが減少する影響で、骨密度が下がってしまうことはご存知の方も多いはず。進行すると、骨がスポンジのようにカスカスになって骨粗鬆症に悩むことに。でも、それは50代、60代の年配の人の話では? と思っていたら大きな間違い! 40代にはその影響が出はじめるのだそう。
特にショックが大きいのが、骨の委縮は部位によってその影響の速さが違うということ。
「大腿骨の骨に比べて、顔の骨は15年も速く衰えるというアメリカのデータがあります。20代、30代に比べて眼球を納める目のくぼみ部分が気になってきていませんか? 頭蓋骨は薄い骨が重なり合ってできていて、「眼窩(がんか)」と呼ばれる目の周りや鼻、口元など「穴」となっている部分は薄い骨でできているので、どんどん崩れて行ってしまうんです。美容的にも影響が出るので、一日も早くケアをするべきだと思います」と山本さんはいいます。
山本さんのいう、その美容的影響が「顔のたるみ」。なんと、顔のたるみの大きな原因が、顔の骨の委縮によるものなのだとか!
老化によるコラーゲンの減少や乾燥で皮膚が緩み始めているところ、支えていた骨が委縮することで筋膜や脂肪が重力で垂れ下がり、たるみが加速するのだそう。それにより、マリオネットラインが刻まれ、フェイスラインはぼやけ、目の周りがくぼむ……「どんなにスキンケアをしても、改善できない肌老化」が出現するのです!
「顔の肉を支えているのは、筋肉ではなく骨なんです。ですから、減り始めた骨密度を今から増やす努力をすることが大切。それによって、たるみを解消することができるんです」。
更年期を救う骨再生のスーパーホルモンを活性!
頭蓋骨はどうやったら増やせるのでしょう?
そこで注目されるのが、骨から分泌されるホルモン「オステオカルシン」です。
「骨は成長したらそのままと思われがちですが、常にスクラップ&ビルドを繰り返して生まれ変わっているんです。その鍵となるのが、このオステオカルシン。骨の代謝を支えるホルモンで、骨づくりを促進するホルモンの分泌を助ける一方で、骨づくりを阻害するホルモンを抑える働きがあるんです」
しかもこのホルモン、骨密度をアップするだけでなく更年期に衰えがちなさまざまな部位に効果が期待できる若返りのスーパーホルモンなのです!
【オルテオカルシンが更年期の衰えを救う!】
女性ホルモンが減少すると…
① 骨密度が減少
→オルテオカルシンが骨を作るホルモンを刺激
②神経伝達物質アセチルコリンの減少に伴う認知能力の低下
→オルテオカルシンが認知機能や記憶力をサポート
③ 自律神経の影響で活性酸素が増加
→オルテオカルシンが活性酸素の産生を抑えて免疫力アップ
④ 女性ホルモンの減少で筋肉量が減る
→オルテオカルシンが筋肉を増やす
「頭蓋骨は22個の小さな骨が組み合わさってできているのですが、その縫合線を押し広げる動きでオステオカルシンをより早く産生することができるのです」と山本さん。
これほどさまざまな効果が期待できるオステオカルシン。これをしない手はありません!!
更年期の “骨老け”を救う『頭蓋骨メソッド』を実践!
そこで、山本さんが考案した更年期の対策にもなる「縦/横の頭蓋骨パタパタ」と「顎カッチン」の二つのメソッドを教えていただきました! テコの原理を活用して、曲げたヒジを羽根のようにパタパタ動かすことで骨に振動を与えます。負荷がかからず、誰でも簡単にできるメソッドです。
「オステオカルチンは軽い刺激を与えることで分泌され、血流にのって全身に運ばれます。頭蓋骨へのアプローチする際もちろん肌への刺激は避けるべきですから、骨に振動を伝えるという方法が一番効果的です。その際も、肌を引っ張らないように注意して行ってくださいね」
■後頭部~頭頂部、前頭部までの頭蓋骨「縦パタパタ」
骨の再生を促すほか、脳の活性化も期待できます。自律神経が整うので、心身ともに若返りが期待できるのが嬉しいポイント。【首】の後ろから【後頭部】の骨の出っ張りに沿って【頭頂部】【前頭部 】まで頭蓋骨の「縦のライン上」を3cmずつぐるっと移動して手を当て、肘を前後に動かすときの振動を伝えます。
【首】start!
①後頭部の後ろで両手の指を組み、親指で首の根元の骨を挟む
②頭を少し後ろに倒し、肩甲骨を意識しながら羽を動かすように肘を前後に3回パタパタと動かす。
③3㎝ずつ上に移動し、同様にパタパタする動きを3回ずつ繰り返す。
【後頭部から頭頂部】
①後頭部の後ろで両手の指を組み、手根骨を後頭部の骨のでっぱりに沿わせる。
②頭を少し後ろに倒し、肩甲骨を意識しながら羽を動かすように肘を前後に3回パタパタと動かす。
③頭頂部まで3㎝ずつ上に移動し、3回ずつパタパタを繰り返す。
\手根骨はココ!/
【前頭部】goal!
①おでこで両手の軽く指を組み、手根骨をおでこの凹み(髪の生え際)に置いて3回パタパタと腕を動かす。
②そのまま手を降ろし、手根骨をこめかみに置いて3回パタパタと腕を動かす。
■鼻腔~耳の後ろまでの頭蓋骨「横パタパタ」
顔前面の骨の縫合線を刺激して骨再生を促し、顔の印象を左右する目元と頬の老け見え改善へ導きます。鼻腔から頬骨に沿って耳の後ろまでの顔の「横のライン上」3cmずつ移動して手を当て、肘を前後に動かすときの振動を伝えます。
【鼻、頬、耳の後ろ】
①鼻の前で軽く手を組み、小鼻の横=鼻腔に当たる位置を親指の側面を使って頬骨を軽く上に引き上げながら3回パタパタ腕を動かす。
②頬骨の中央を親指の側面を使って軽く上げながら3回パタパタ腕を前後に動かす。
③手のひらを上に向け、頬骨と耳の間を母指球を使って軽く上げながら3回パタパタ腕を前後に動かす。
④後頭部で両手を組み、耳の下の骨を母指球を使って持ち上げながら3回パタパタ腕を前へ動かす。
\母指球はココ!/
■脳もフェイスラインすっきり! 顎カッチン
頭蓋骨で唯一、直接骨にアプローチできるのが顎関節。実は顎は、腰や大腿骨に比べ15年も早く減少し、最も大きく減ると言われています。顎カッチンで骨量を増やすことでフェイスラインをシャープに、脳への刺激を与えることで血流アップを目指します。顎の中央から耳の後ろまでのフェイスライン上に、顎下から握りこぶしを押し上げて歯をカチカチ鳴らすことで刺激を伝えます。
①首と背筋を伸ばして、口を軽くあげてその顎の中央に両手を握って当てる。軽く頭を後ろに倒し、握りこぶしを上げ下げして歯を3回カチカチ軽く合わせる。
②顎から耳へ向けフェイスラインに沿って2㎝ずつ握りこぶしを移動させ、同様にカチカチ合わせる動きを繰り返えし、骨と脳に刺激を伝える。
「背筋を伸ばし僧帽筋が伸びている状態で、心拍に合わせてゆっくりと呼吸をしながら行うのがコツです。
骨が完全に生まれ変わるには5カ月が必要と言われていますが、この方法であれば1カ月で効果を実感できると思いますよ。まずは1カ月続けてみてください。縦・横・顎を毎日すべてやらなくてもOK! 続けることが大切です。
更年期だからこそ表面の美しさだけでなく、骨の内側から輝く若々しい心身を取り戻していきましょう」
監修:山本 江示子さん
著書に『朝1分!「顔の骨トレ」で10歳若くなる!』ほか。12月に新刊『1日1分で疲れ・不調・老け見えがみるみる改善する耳くるくる』を自由国民社より発刊予定。
医療法人社団蒼樹会山本整形外科理事・美容皮膚科ソフトメディ株式会社代表取締役。米国アンチエイジング医学会(A4M)、国際先進医療統合学会、臨床ゲノム医療学会、日本オーソモレキュラソー医学会所属。2019年ミセス・アジア・パシフィック・ビューティーページェント日本代表など数多くの受賞歴があり、ミセス・アジア・パシフィック・ビューティーページェントナショナルディレクターなど多くのビューティーコンテストのディレクターを務める。2021年ミセス・グローバルユニティJAPAN オーガナイザー。著書に『朝1分!「顔の骨トレ」で10歳若くなる!』。12月に新刊『1日1分で疲れ・不調・老け見えがみるみる改善する耳くるくる』(自由国民社)を発刊予定。
撮影/沼尾翔平 モデル/荒井香織 ヘア・メーク/榎田茉季(ROI) 取材/角田ひかる