掲載できなかった、涙の子育てエピソード

「私たちのCHALLENGE STORY」を担当しているライターの孫 理奈です。現在発売中の5月号のテーマは「障がい児のママに学ぶ 我が子の伸びしろをのばしまくる子育て術」。アスペルガー症候群やダウン症など、いろいろな障害を持つお子さんを育てている先輩お母さま方に話をお伺いしました。 取材していても、「なるほど、こう考えればよかったのか」と参考になるエピソードばかり!今回の特集について、あるFacebookのコメントで「どの局面でも参考になるエピソードばかりだろう。雑誌の巻頭にあってもおかしくない特集なり」と見つけて、嬉しくなりました。お子さんが健常者でも、子育てに悩んでいるときなど、優しく背中を押してもらえるヒントを見つけられると思います。 今回はダウン症で書家の隅野由子さんのお母さんの取材の裏話を書きたいと思います。彼女の言葉で印象に残っているのは、「由子ちゃんをいじめたところを目撃しても、いじめっ子を怒るのではなく味方にしなきゃいけないと思って、『強いな~。そんなに強かったら由子ちゃんを守ってくれる?』と声をかけました」というエピソード。その子は「いいよ」と言い、高校まで由子ちゃんを守ってくれる優しい男子に成長したのですが、みんなと仲良くなって由子ちゃんを繋げるという子育ては、私も目指していたスタイルでした。障がいをわかってもらうのは難しいことですが、興味を持ってもらうには仲良くなることがいちばんですよね! そしてここからが掲載できなかったエピソード。海外で由子ちゃんを見てからかってきた人がいたときのこと、ホテルに戻った後、由子ちゃんとお母さんは話をしました。「由子ちゃんに『今日、辛かった?』と聞いたら、『あの子達は幼稚なんや、私は関係ない』って言ったんです。まだ由子ちゃんは小さかったのに、それを聞いて涙が出てきて……。由子ちゃんは由子ちゃんで苦しんで答えを出したんですよね。由子ちゃんは生きている次元が違う、もっと高いとこにいるからこんなくだらんことは流せて、よっぽど大人やと思いました」。お母さんの話に思わずもらい泣きしてしまいました。 子育てでは、子どもが自分で出した答えをときに切なく、ときに頼もしく思うものです。いずれにしても親にできることはその答えを褒め、全力で応援することなのかな。私はもう子育ては終わってしまいましたが、振り返るとそう思います。由子ちゃんの万年カレンダー『隅野由子 こころの言葉集』から作品を少しご紹介。癒される言葉がいっぱいです。
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