環境問題……他人事ですませることが出来ないこの問題に対して、私たちができることって何?

「私たちのCHALLENGE STORY」を担当しているライターの上原亜希子です。昨年になるのですが2018年6月号のテーマは「私たち母親が頑張ると、もっと『地球』はよくなる、住みやすくなる」でした。
私は、植林活動を通して日本の森や山を守る活動をされている長岡由美子さんを取材。長岡さん以外にも、海や珊瑚への害の少ない日焼け止めを製造販売されている方など、より良い地球環境を子ども達に残すべく、さまざまな活動をされている方たちをご紹介させていただきました。

この号のことを思い出したのは、フランス人の友人から7月に仕事で日本に来るという連絡が入ったのがきっかけでした。彼女が勤務するのは「EKYOG」というフランスのファッションブランドで、現在はフランスのみでの展開です。ソーシングから製造まで、地球環境を守るべくさまざまな配慮をしているブランドで、シックなボタンダウンシャツ、オーガニックコットンのロールネックにTシャツ……全てのアイテムにエコ素材を使用しています。エコ素材と言われても今いちピンと来ないという方いるかもしれませんよね。例えば同社が使用しているビスコース。レーヨン素材の一種で最も古い自然素材の合成繊維で、シルクの代わりとしてドレスによく使用される光沢や質感に優れている素材です。同社製品にも多く使用されており、その全てが再生繊維の世界的なメーカーであるレンチング社産のもの。この会社は木の繊維からビスコース糸を製造後、再び同じ場所に植林をしているそう。

コートやパンツなどフルで揃えられるライナップは、いずれも長いシーズン愛用できるSTORY読者好みのクラシカルなスタイル。これらのアイテムにもエコ素材が使用されていて、上記写真左の紅スーツはプラスチックのボトルをリサイクルした生地が用いられ、フェイクファーのジャケットも同じ生地が使用されています。またフェイクファー付きのセーターもリサイクルポリエステル(フェイクファーの部分)を使用しているのです。

そして今回、同社が来日時に一押ししたいアイテムが「Ethical Denim(エシカルデニム)」です。エシカル……聞きなれないワードではないでしょうか? 直訳すると「論理的な」「道徳上の」といった意味。日本では2010年ごろから注目度が上がり、現在はファッション業界でもよく知られている環境問題、労働問題、社会問題に配慮した、良識にかなった素材の選定や購入、生産、販売をしているファッションで、「エシカルファッション」と名付けられています

同社が販売するデニム製品はフランスでデザインされトルコで製造されています。製造の際には地球環境を保全しつつ持続可能なインディゴブルーの染料技術が用いられ、デニムの顔を作り上げていく最終段階の“洗い加工”時に使用された排水は全てリサイクル活用されているそう。また、洗い時に使用される製品は全て毒性ゼロで、環境にも作り手にも優しい製品を使用しているんです。

地球環境を守るために、私たちが出来ることって一体何だろう?と考えてしまいますが、エシカルファッションのアイテムを購入するということも、出来ることのひとつだと思います。もちろん洋服は気に入ったデザインを購入するのがいちばんで、素材ばかり重視して購入するのは難しいかもしれません。しかし、現在ではエルメス、フェンディ、ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)などのラグジュアリーブランドから、H&Mやユニクロなどのファストファッションブランドまで、さまざまなブランドがエシカルファッションに取り組んでおり、一般にも浸透しています。日々の装いによる意思表示として、ファッションを通して取り組む環境問題解決への大きな力になるはずです。地球の環境悪化は、私たち人間でなければ止められません。未来の自分や子どもたちのために、今日から行動してみませんか?

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