“香港の母の味”が洗練されたスタイルに/ひと皿の向こう側

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今年、東京・西麻布に密かにオープンした【チョイ チョイ キッチン】。

この親しみやすい店名は、シェフのお名前に由来します。シェフはグレース・チョイさん。

香港で多くの食通たちを唸らせているという、知る人ぞ知る隠れ家レストラン【蔡菜館(チョイ チョイ キッチン)】のオーナーシェフです。
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幼い頃から料理が好きだったというグレースは、料理への想いを募らせ、2011年に、なんとエリートOLから転身、香港の繁華街から少し離れた住宅街の中に隠れ家レストラン【蔡菜館(チョイ チョイ キッチン)】をオープンさせます。

1日数組だけのゲストを手厚くもてなすプライベートキッチンスタイル。そこで供されるのは、母から受け継いだ上海の家庭料理と、義母から受け継いだ香港の家庭料理のレシピを元に研究を重ね、彼女のセンスで磨きをかけた料理の数々。

その極上のレシピを惜しみなく紹介した初版の料理本『蔡菜館』は、2019年のグルマン世界料理本賞を受賞しました。CNNの『香港プライベートキッチン10選』にもランクイン。一般の主婦からプロの料理人、そして国内外のセレブと多くの人に愛されているシェフなのです。
*「グルマン世界料理本大賞」とは、1995年、エドゥアール・コアントロー氏によって設立された世界最大の料理本アワード。
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ここでシンプルな疑問が湧きます。「なぜ東京に初の海外店を?」

「東京は何度も訪れたことがある大好きな街。訪れた際には必ず中国料理店を訪れます。そこで供されるのは東京ナイズされた中国料理であることが多いのです。私は、東京の皆さんにぜひ、伝統的なレシピに基づいた、中国料理の真髄を伝える料理を食べていただきたいと思ったのです。私の真心を込めて」(グレースシェフ)

そうなのです、グレースが作る料理のベースにあるのは、家族や友人の健康を願って作る伝統的な家庭料理。
毎日、市場に出かけてグレース自らが仕入れる旬の食材と昔から使われてきた健康に良いとされるくこの実、陳皮といった生薬や食材を使い、時間と手間をかけて作られる優しい味わいの料理なのです。
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くこの実、陳皮(みかんの皮)、龍眼(ライチに似たムクロジ科の果実、中国では乾燥させて料理に使う)、松茸、ドライ山芋、蜜棗(みつなつめ)、八角などがずらりと並んでいます。

誌面でご紹介したのはこちらの「有頭エビとスパイシー春雨」。

エビの美味しさは言うまでもなく、light soy sauce(中国の薄口醤油/生抽)、オイスターソース、魚醤、ブラウンシュガーで味付けし、海老の旨味も染み込んだ春雨の美味しさといったら!

添えられた小さなタマネギとチリペッパーが絶妙のアクセントになります。
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そして、こちらは一番人気のメニュー「国産鶏の中華風醤油煮込み」。

秘密のオリジナル醤油ソースに浸した鶏をゆっくり、じっくり火を入れて仕上げていきます。驚きのジューシーさで、味もしっかりと染み込んだ鶏肉は、目の前で食べやすい大きさにカットされてお皿へ。

このお料理には、ご飯とオリジナルのXO醬(これも美味しい!)も添えられ、おかわり必至の一品なのです。

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日本の鶏は香港の鶏に比べると小ぶりで、肉質は柔らかいそうです。冷凍の鶏は使いません。

そして、こちらは「広東風季節のスープ」。

ミックスビーンズと乾燥させたドラゴンフルーツの花が入っています。じわ〜っと五臓六腑に染み込んでいくような、ほっこりと優しい味のスープ。
素材からしっかりダシが出るように、弱火でじっくり3時間煮込み、塩は最後に少しだけ加えて味を整えます。

夏に作るスープで、デトックス効果があり、体のバランスを整えてくれて、喉にもいいそうです。素晴らしい。
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「これは夏に飲んでいただきたい、重くないスープ。とても体にいい医者いらずのスープです。上海ではあまりスープを飲みませんが、香港の人々は本当によくスープを飲むんですよ」(グレースシェフ)

広々としたオープンキッチンで、グレースシェフとの距離もとても近いので、まるで彼女の自宅キッチンに招かれたような気分になり、心地よいライブ感にわくわくします。

明るくて気さくなシェフとの会話も楽しめて、美味しくて、健康になれる【チョイ チョイ キッチン】へ、是非。
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【チョイ チョイ キッチン】
東京都港区西麻布1-11-13
☎03-6447-0252
17:00
23:00(ドリンクL.O.22:00)完全予約制
定休日:土曜、日曜祝日 2019322OPEN
料理は¥15,000のコースのみ
グレースシェフは毎月2週間ほど滞在。電話で確認を。
カウンター10席、テーブル12席。

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撮影/牧田健太郎 取材・文/齊藤素子 構成/川原田朝雄

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筆者プロフィール:
「モキチ」ことライター齊藤素子。銀座・泰明小学校卒業。OLやギャラリー勤務を経て、1995年『VERY』創刊時にライター稼業を始める。食や旅のページを中心に雑誌やWEBで活躍中。その一方で、世界初の腰痛専門WEBマガジン『腰痛ラボ』では編集長を務める。