ブランディングディレクター福田春美さんの「とっておきの工藝品」

仕事はもちろんプライベートでも、出来る限り各地に足を運び、作り手さんとお話をしたり、時間を共有することを大切にしているそう。

毎日の暮らしを“良い日”にしてくれる、生活まわりの“工藝品”。

本誌では、福田さんが目利きならではの視点で、とっておきの「工藝品」を紹介。
ウェブでは、本誌で紹介した作家さんのプロフィールをお伝えしていきます。

HERS8月号「日々是工藝」内で紹介したたわしは、「内藤商店」。

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住所:京都市中京区三条大橋西詰
TEL :075-221-3018
営業時間:9:30〜19:30
休:1/1〜1/3、不定休

 

初めて訪れたのはもう15年以上前。いやもっと前だったような。

一時、毎月京都に行かせていただく時期がありました。

30歳になったばかり。料理を本格的にし始め、料理道具も集め出し始めた頃。

ここのブラシにひとめぼれして、初めて和の料理道具を手にしたんです。

実家が和道具だらけだった事もあり、抵抗があった時期もありましたが、
年齢的に和道具をすんなり受け入れられました。

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無農薬や有機の野菜を買い始めた時期でもあって、
皮ごと食べたかったので、このシュロのブラシの柔らかさが丁度よく、
皮を傷めることなく泥や汚れが取れて、
そこからこのシュロのブラシはうちの台所に欠かせない存在に。

その他にも仕事机の掃除ブラシや細長いポット用など、
家の中のいろいろな場所で使わせていただいております。

内藤商店のブラシが使い古いしても抜け辛いのは、職人の技だといいます。

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今回、三条大橋のたもとにある内藤商店さんにお伺いして、
女将さんにお話を聞かせていただきました。

〝創業何年になるんですか?〟と聞くと、
〝うちはまだそんなですよ、200年です……〟と。

京都の老舗の歴史の深さを垣間見た会話となりました。

江戸時代に入り込んだような店内と
美しい凛とした女将さんとの時間は、
京都の奥に一歩深く、触れられたような時間でした。

この空間、お道具たち、女将。
京都に来るたびに、訪れたくなる場所です。

 

文/福田春美  撮影/伊藤徹也 取材・コーディネート/柿本真希 構成/山田麻琴