〝経験を積んで自分らしく着こなせるようになった〟藤間園子さんの今を肯定してくれる服とは?
それなりの年齢を重ねた今、またオシャレが楽しいという人が増えています。
自分の顔、体に合うものも、流行も理解した上で、経験値をもった大人が選ぶ服。
そんな素敵な選択肢の数々がここにあります。
今回は藤間園子さんの「わたしの今を肯定してくれる服」を、HERS9月号本誌より一部抜粋してご紹介します。
■藤間園子さん(46歳)
~わずかな季節の隙間も楽しめるのが、大人の着物の醍醐味です~
今日の着物は、黒地の月形波模様の単衣。帯は秋草模様の紗の袋帯。どちらも「ごふく美馬」で揃えられたそう。夏の終わり、秋に向かうこの季節にピッタリの選び。細かい季節感が表現できるのが着物の楽しみ。
歌舞伎役者の妻になって15年。
最近はやっと自分らしい着物の選びや着付けなどができるようになりました。
最初は年相応の着物の選びに悩みましたが、周りの方にいろいろ助けていただきひとつひとつ学んでいきました。
着物は一枚の布。
洋服みたいに立体裁断などしてないから、着付けで調節が必要になります。
その都度、自分の体に向き合うことになるので、体型の変化も感じやすいんです。
そのときの自分の体型に合った着付けもできるようになり体型カバーもばっちりです。
着物は私にとっては「仕事着」。
袖を通すと完全にスイッチが入ります。
オシャレとしてきているわけではなく、お客さまをお迎えする側なので、きちんと着ることを心がけています。
~着物だから楽しめること~
着物って洋服より細かく季節感を表現できるので、着る時期によってそのときの微妙な表現ができるのがとても趣がありますよね。
そんなことも、最近やっと楽しめるようになってきました。
今回選んだ着物、帯も夏の終わりの秋の気配が少しずつ感じられるこの時期だからこそのもの。
1年のうち半分ぐらいは着物を着る生活をしています。
劇場でお客様をお迎えする際は、その日の天候や場所柄なども考え、家にちなんだ松の柄を選ぶことも多いですね。
そこに季節感を入れたり、経験を積んでだいぶ自分らしく着こなせるようになりました。
ふじまそのこ
聖心女子専門学校英語科卒業後、ニューヨークマンハッタン音楽院ジャズ課で音楽学士課程を修了し帰国。2003年歌舞伎俳優七代目市川染五郎と結婚。一男一女の母。昨年夫が十代目松本幸四郎、息子が八代目市川染五郎を襲名。妻、母として家族を支える。
撮影/須藤敬一 ヘア&メーク/SATOMI 着付け協力/飯田裕子 取材・文/見学裕己子 構成/永吉徳子