「これ食べたい!」を叶えてくれるお気軽割烹/ひと皿の向こう側

「モキチ」ことライター齊藤素子さんが、心躍るひと皿に込められたストーリーを紹介していくHERS本誌の人気連載。
WEBでは、さらに詳しくひと皿の「向こう側」にスポットをあてています。

モキチのブログ「ひと皿の向こう側」過去の記事はこちら

 

大都会の中心にして、心地よい路地裏の雰囲気を残す表参道と外苑西通りの間あたり。

小さな公園の前にある小さなビルの、家紋を染めた大きな暖簾をくぐり、とんとんと階段を上がると現れるのはなんとも居心のよさそうなカウンターのお店。

店名は【五福来(ごふっき)】。
福が五つもやって来るという、とてもおめでたい店名です。

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この“お好みカウンター割烹”の店主は、南青山の人気割烹料理店【とし緒】で腕を振るっていた関利朗さんです。

【とし緒】では、オールバックに白衣という“ザ・板前”の出で立ちで、割烹料理をコースのみというスタイルで提供していた関さんが、かねてからの希望だった“気軽に食べられる割烹料理”の店を開いたのは今年の7月。

“様子はカジュアルダウンしたけれど、中味はステップアップ”関さんの想いが詰まったお店なのです。

髪は短くして、髭をたくわえ、Tシャツにエプロンという関さんを見て、【とし緒】の常連さんたちはたいそう驚いて……「いいんじゃない!」と、なるそうです。

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お好みカウンター割烹での最初の一品がこの「お決まり」。

前菜や八寸など、その日の食材で作る盛り合わせの縁高です。

この店を開くと決めた時から最初の一品はこのスタイルで、と決めて縁高も用意していたのだとか。

撮影時のお料理は、じゅん菜、フルーツトマトとスモモとマスカットの白和え、水菜としめじのおひたし、車エビ、白バイ貝の生姜煮、枝豆、トウモロコシのかき揚げ。

これらをつまみながら、目移りしてしまう豊富なアラカルト料理をチェック。

気になる食材があれば関さんにお勧めの食し方を相談するのもいいでしょう。

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大分県佐賀関港から届く新鮮な魚は店の自慢の食材。関アジ、関サバ、関イサキ。カボスと肉厚で大きな椎茸も大分から。

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関サバ(左)と関アジ(右)のお刺身。サバのおろし方に関さんのこだわりが。「佐賀関港で漁師さんたちに教えていただいたんです。サバの骨は抜くな! と。以来、このやり方でおろしています」(関さん)。

血合い骨は抜かずに、骨の横に包丁を入れて切り離し、骨を切る、というやり方だそうです。

さて、お酒を頼みたくなったら酒番の米納多狗也さんに相談を。お料理と好みに合うお酒を提案してもらえます。

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熊本の赤牛とナスは美しいお椀仕立てに。ウニは酒で煎ってから醤油と合わせてあります。「火を入れることでウニの甘みが増すんです」(関さん)

コロッケ、ハムカツ、メンチカツなどの“普通”の料理を、長年培ってきた高い技術や豊富な食材の知識でとびきり美味しいひと品にして提供したいという関さん。

京都【たん熊 北店】での6年間の修業のほか、カウンター割烹や寿司店でも研鑽を積み、カフェや創作フレンチなどの異業種でも複数のお店の立ち上げに関わった関さんですから期待が高まります。

肉を使わず、隠し味に赤味噌を使ったカレーがシメに人気だそうです。

どんなお店にしたいですか?という質問には
「とにかく楽しい店。それがいちばんです」(関さん)。

大人のわがままな「これ食べたい!」にこたえてくれる、楽しいカウンター割烹の誕生です。

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店主の関利朗さん(右)、酒番の米納多狗也さん。チームワークもばっちりのお2人とのおしゃべりも楽しい。

入り口の暖簾に染められているのは関家の家紋「さがり藤」です。

ちなみに、中国古代の歴史書「書経」に記されている五福(人としての5つの幸福)とは、寿命の長いこと、財力の豊かなこと、無病息災であること、徳を好むこと、天命を全うすること、です。

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【五福来(ごふっき)】
東京都渋谷区神宮前3-4-3 2F
03-6339-7519
18:00~ 不定休 20197OPEN
「お決まり」¥3,000(税別) アラカルトは¥500
カウンター10席、テーブル個室(4人)あり

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撮影/牧田健太郎 取材・文/齊藤素子 編集/川原田朝雄

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著者プロフィール:
「モキチ」ことライター齊藤素子。銀座・泰明小学校卒業。OLやギャラリー勤務を経て、1995年『VERY』創刊時にライター稼業を始める。食や旅のページを中心に雑誌やWEBで活躍中。その一方で、世界初の腰痛専門WEBマガジン『腰痛ラボ』では編集長を務める。