関西の人気インフルエンサー松本優が乗り越えた過去

松本優=“松優(まつゆう)”。関西SNAPで出張したとき、何回も耳にした名前でした。みんなが「めっちゃ可愛い! ほんまに好き」と言う、近畿大学4回生・松優のインスタ。早速フォローしてずっと見ていたけれど、会うのははじめまして。キリッとした美人だしあまり取材に答えてくれなかったらどうしよう、インスタでしか見たことないから、実物が違ったらどうしよう…(失礼)。

実際はインスタ以上に可愛くて、インスタライブ以上におもろくて、とにかく熱くて中身の濃ゆい、22歳。笑ったり涙ぐんだりした取材でした。

私、中学3年間引きこもってたんですよ

松優:はじめまして! 今日は関西から呼んでいただいて、ほんまありがとうございます!

編集部:こちらこそ、ありがとうございます!関西読者に「好きな人は? アカウントフォローしている人は?」と聞くと必ず名前が挙がって、一度お会いしたかったんです。

松優:ほんまにほんとですか? めっちゃ嬉しい!

編集部:本当ですよ(笑)。現在は9万人以上フォロワーがいますが、インスタを始めたのはいつからですか?

松優:始めたのは中3からです。小さい頃からK-POPが好きで、ダンス動画とか見てました。でも私、中学3年間引きこもってたんですよ。

編集部:えええ! 全くそうは見えない。そしていきなりのカミングアウト。

松優:はい(笑)。引きこもった直接のきっかけは、小6のときに貧血で倒れたことです。それから集団の中にいるのが怖くなってしまって。あと、反抗期でもありました。両親が離婚していて幼い頃からずっとおじいちゃんおばあちゃんと暮らしているのですが、当時はいろいろ「なんでやねん」と思っていて。

編集部:そうだったんですね…。今は「父上」っていうハイライトもあるくらい、パパもよくインスタに出ていて、とっても仲良し父娘だなあって思っていました。

松優:今はパパともママとも仲良しです。ふたりのこどもでよかったなあ、って。恋愛相談もよくしますし、韓国にもパパと行ったり。あ、飛行機もホテル代も自分の分は自分で、ですよ。ハタチ超えたらお小遣いなし、です。とにかく、おじいちゃんおばあちゃんが愛して育ててくれました。だから先日の敬老の日には、いっぱいチューしました!

編集部:可愛い(笑)。

ずっと引きこもっていたけど、本当は人前に出たかった

編集部:3年間の引きこもり期から、どうやって今の松優に?

松優:中3のときの担任が厳しいと評判の先生で。でもずっと私を気にかけてくれていたんです。その先生が「そろそろ自分のこと、将来のこと考えよっか」って言ってくれて。私は「高校なんて行かなくていいかな」って思っていたんですけど、「絶対行ったほうがいい」って。それから私でも行ける高校をいっしょに探してくれたんです。女子校がいいんじゃないか、あえて遠い高校でもいいんじゃないか、って。それまで私、電車も乗れなかったんですけどね。でも結果的に家から遠い高校だったのも、中学までの環境と変わってよかったです。あのま近くにいたら、今みたいにはならなかったと思う。女子校だったからか、周りに自分のしたいことをしているコがいっぱいいて。それから高2のときに学校のポスターに載る生徒に選ばれました。たぶん眉が太くて真面目っぽく見えたからだと思うんですけど(笑)。でもそれが自信になったんです。ずっと引きこもってたけど、やっぱり人前に出たかったんですよね。

編集部:それからモデルを目指した、と。

毎日職員室の横でずっと勉強してました

松優:そうです。高1・高2とモデルレッスン通ってました。あと、プリクラで応募できる女子高生ミスコンがあって、それに応募したり。その中でSNS審査もあったので、そこからインスタを本格的にやり始めた感じです。私、有末麻祐子ちゃんが大好きなんですよ! JJのページも大好きでした。麻祐子ちゃんのインスタを見て、参考にしてました。中学3年間家にいたときも、雑誌の切り抜きを作ったり、ネイルチップ作ったり…。ファッションとメークはその頃から大好きでしたね。

編集部:高校時代は、勉強のほうは?

松優:それが…してませんでした…。中学のときも勉強してないんで、女子高も偏差値高くない学校。でも高3のとき、同じグループの中のコから「モデルなんてできるワケないやん」ってバカにされたのがめっちゃ悔しくて。でもたしかにオーディションとか落ちまくってるし、今の自分には何もないなあって。だから勉強して、そのコが目指してた近畿大学を目指すことにしたんです!

編集部:おお…でもそれまで、勉強してないんですよね? かれこれ5年間。塾に行ったんですか?

松優:いえ、親が「学校行ってるんやから、先生に教えてもらえ」って。だから毎日職員室の横でずっと勉強してました。先生にも怒られまくったけど、死ぬ気で勉強しましたね。でもこれがまた、いい先生で。ほんま、私のまわりっていいひとしかいないんですよ。この先生も学校イチ厳しい先生だったんですけど、ずっと職員室で勉強見てくれて。大学選びのときも、結果的にもう少し偏差値の高い学校も狙えそうだったのですが、「近畿大学はマスメディア専攻があるから松本の将来の夢と合っているし、PRに力を入れているからTV局が来たりすると思う」って薦めてくれました。それで、近畿大学に行くことにしたんですよ。

編集部:すごくいい先生…。

松優:ツンデレだから、まったく褒めてくれないんですけどね。でもこの間、先生が今担任している生徒からDMが来たんです、「今朝先生がゆうちゃんの話してたよ」って。嬉しいなあ~。あと、女子高の講演会にも先生が呼んでくれたんです。

カッコつけて自分を偽って、何度も失敗してるんで

編集部:母校の高校生にどんなお話をしたんですか?

松優:「大学行ったほうがええよ、イケメンめっちゃおるから!」って(笑)。女子校なんで。でも真面目な話、本当に自分は勉強してよかったことしかないです。大学入って、周りの友達も編集目指してたり、写真撮ってたり。インスタの動画撮ってくれてるのも、大学の友達。みんな頑張ってるから、私も頑張ろうって思う。高3までは1万いなかったフォロワーが、近畿大学に入ったときに一気に増えたし、大学に『今ちゃんの「実は…」』の取材が入ったときにテレビに出たことでまた一気に増えました。

編集部:先生の読みどおり!

松優:ほんま、そうです。あとフォロワーが多くなるのは、私の場合はインスタライブの後。朝5時とかにやってたりするんですけど、意外と見てくれます。

編集部:そんな早い時間に。視聴率が高くなる時間帯にしようとは思わないんですか?

松優:仕事絡みで時間が決まっていることもありますが、基本は自分が今本当にしていることをその時間帯にライブしていて。朝5時のときは、1限前に早起きしてメークしているところを「今日ニキビやばいわ~」とか言いながら。あとは友達とカラオケ行ってるとき、寝る前…。

編集部:本当のライブ。

松優:そうです、嘘のないライブ。もうね、これまでオーディションとかでカッコつけて自分を偽って、何度も失敗してるんで。自分を出す練習をしてます、今でも。

編集部:ラジオDJもしてますよね。

松優:そう、ラジオもインスタライブきっかけで声をかけていただいて。FM OH!(FMOSAKA)でのレギュラー冠番組は9カ月続きました。30分ひとりでしゃべるって、思った以上に大変! そして何より、自分を作って話してもリスナーにまったく響かない。でもその分たのしくて、トラックの運転手さんとか親子で聴いてますとか。語彙が少なすぎたので、本も読むようになりました。

編集部:ラジオの最終回、泣いてましたよね…?

松優:号泣ですよ! 番組が終わった理由を勝手にいろいろ考えて、やっぱり私の力不足かなと思って、悔しくて悔しくて。でも最終回の朝起きたら、テーブルにこれまでのラジオ全部の番組欄の新聞切り抜きと手紙が置いてあって。おじいちゃんとおばあちゃんから。収録のあとは、パパが花束をくれて…。

編集部:ずっと聴いてくれてたんですね…。

私、アンチめっちゃ多いんですよ

編集部:インスタやラジオ、タレント活動をしているとアンチからのコメントも来ませんか?

松優:私、アンチめっちゃ多いんですよ(苦笑)。最初は本当にメンタル弱くて、ちょっと言われただけですぐ泣いてました。でもそんなときは、紙にガーーーッて書き出して。嫌なこと、将来のこと…そうすると自分のことがわかって落ち着きます。ママにも教えて、いっしょにやってますよ(笑)。

編集部:松優の明るさは、いろんな努力に裏打ちされているんですね。カッコいい!

松優:毎日「今日は今日しかないねんで!」と思っていて。全部全力!です。頑張りすぎてダメになることもあるんですけど(苦笑)、後悔したくないし、親に家建ててあげたいし。今4回生で、ほぼ単位も取れたのであとは仕事をたくさんしたい。上京もしたいし、テレビやラジオのレギュラーも取りたいし、モデルもしたい。10月からYouTubeも始めたので、それも頑張りたい。自分のブランドも作りたい!

編集部:夢がいっぱい。

松優:そうなんです。引きこもりの中学生だった頃からは考えられない(笑)。でも仕事を始めて「必要とされてる」と感じることが多くて。だから方法はどれでも、誰かに必要とされるものを作るのが夢です!

撮影こぼれ話

サービス精神が旺盛で、とにかく笑いの絶えない取材でしたが、ヘアメークやファッションの話になるとめちゃくちゃ詳しくてびっくり。紹介できませんでしたが、韓国のニキビパッチが超お気に入りで、そのためにソウル行くほどと話していました。買わなくちゃ!

撮影/杉本大希(zecca) デザイン/橋本綾子 編集/小林麻衣子

※この掲載の情報はJJ12月号を再構成したものです。