携帯料金が安くなる? 「改正電気通信事業法」

10月から施行された「改正電気通信事業法」は、モバイル市場の競争を促し携帯料金を下げる目的があります。 これから携帯料金や端末代金が下がって、お得に携帯を使えるようになっていくのでしょうか? 今回は、「改正電気通信事業法」について、エコノミストの崔 真淑さんに女性ならではの目線で解説していただきました。

契約期間縛りなどの 囲い込みを是正

総務省発表の家計調査統計を見ると、通信料金への支出が年々上昇し、日本の物価動向に影響するまでになっています。そこで、政府は値下げを促す法律改正をしました。それが2019年 10 月 1 日より施行された 「改正電気通信事業法」です。
この法律の目玉は、通信料金と端末代金の価格分離、そして契約期間縛りの是正です。これで通信料金は安くなるのでしょうか?   私はあまり変わらないか、かえって若干の値上げ傾向になると考えています。

まず通信料金と端末代金の価格分離の影響は、むしろ端末代金が安い新規参入企業が減るのではという見解もあります。そのとおりになれば、通信業界の競争が促されず料金はあまり変わらないかもしれません。

そして契約期間縛りの是正については、○年縛りという拘束がなくなったことで、大手通信企業が安定的に収益を確保しにくくなるかもしれません。ユーザーがすぐに他社に移ってしまうリスクがあり、大手通信企業の競争が不十分となれば、各社は利益確保のために、通信料金の実質的な値上げをしても不思議ではありません。

安くなるかは未知数でも 他社と比べる好機に

この法改正で料金が値下げされるかどうかは、冷静に見守ることが必要です。そしてこの法改正を機に、自分に合ったプランを考えてみてはいかがでしょうか。例えば「家族プランは本当にお得?」「他社やMVNO(格安SIMを提供している事業者)に乗り換えたほうがよい?」などを検討してもいいかもしれません。

 通信料金改革は始まったばかり。今後の動向に期待したいところです。来年から5Gが始まりますが、ハイスピードを求めない人は端末を変えずに料金プラン等の変更を検討するなど、法改正でよりいろいろな角度からプランを選ぶきっかけにもなりそうです。これを機会にMVNOや他社のプランを調べるのもいいでしょう。

ただし情報が多すぎて選べないこともあるので、ネット検索だけでなく実際に量販店等で話を聞くのがおすすめです。私自身も、ネット検索で挫折し、実際に話を聞くことで行動に移しました。まずは自分の通信料金プランをチェックしてみてください!

なぜ電気通信事業法を改正するの?

モバイル市場の競争促進及び電気通信市場の環境の変化に対応した利用者利益の保護を図るため。

代表的な改正内容

通信料金と端末代金の完全分離
通信契約を条件に端末代金を大幅に割り引く「セット販売」を禁止。 

期間拘束などの囲い込みを是正
契約時に一定期間の料金割引をする代わりに高額な違約金を課す囲い込みを禁止。中途解約の違約金が現状の9500円から上限1000円に。

改正電気通信事業法でどんな変化が起きる?  崔 真淑さんの考え

・通信料金と端末代金の分離で、かえって競争が促されないこともありそう
・契約期間縛りの是正で通信料金の値上げの可能性も
・料金やプランが変わるのを機にキャリアやプランを見直してみることも大切 


崔 真淑さん

エコノミスト。大和証券SMBC金融証券研究所(現・大和証券)に勤務し、最年少女性アナリストとして主要メディアで解説者に抜擢される。現在はGood News and Companies代表、シーボン社外取締役、昭和女子大研究員。日経 CNBC『崔 真淑のサイ視点』ほかテレビ東京、NHK、 BSスカパー!等で経済解説を行う。身近に感じる経済解説が人気。

※掲載中の情報はMart誌面掲載時のものです。

イラスト/熊野友紀子 構成/富田夏子

Mart2019年12月号
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