「篤志」=「あつし」?意味とともに正しく覚えたい!読み間違いやすい言葉4選

ビジネスシーンやテレビ、インターネットの記事で「読めない漢字」に出くわしたことはありませんか?

その場ですぐに漢字の読み方を調べられれば良いのですが、そのまま読み飛ばしたり「こういう意味かな」と読み流す人が多いでしょう。しかし、できればきちんと正しい読み方、そして言葉の意味を知っておきたいですよね。

そこで今回は、意味とともにきちんと覚えたい言葉をご紹介します。

1.「焦眉」

「焦眉の急」という言葉を見聞きしたことがあるでしょうか? 「焦眉の急」とは、「危険や問題が切迫していること」を表す言葉です。

そもそも「焦眉」には「火が眉を焦がしてしまうほど、切迫しているさま」という意味があります。「焦眉」は危機的な状況に陥った時や、ビジネスシーンで急なトラブルによって迅速な対応が求められる時などに使われることが多いでしょう。

「焦眉」という漢字は、「眉」の読み方がポイントです。つい「しょうび」と読んでしまいがちですが、正しくは……

 

しょうび」と読みます。

ちなみに、「焦眉」は「眉」を「び」と読みますが、「眉間」は「びけん」ではなく「みけん」と読むので注意しましょう。

2.「篤志」

「篤志」には、「慈善事業などを熱心にする気持ち」や「思いやりが篤い(あつい)こと」といった意味があります。

もしかすると、新聞記事などで「篤志家」という言葉を見たことがある人もいるかもしれませんね。「篤志家」とは「社会奉仕や慈善事業などを熱心に行う人」のことを言います。

そんな「篤志」の正しい読み方は……

 

とくし」です。

「篤(とく)」という漢字は「危篤(きとく)」などにも用いられていますが、「危篤」の「篤」は「病が重いこと」を意味し、「篤志」の「篤」は「誠意があって手厚い」という意味になります。

言葉によって意味が変わるので、読み方だけでなく言葉の意味についても正しく覚えておきましょうね。

3.「挙措」

いわゆる「立ち居振る舞い」や「行い」のことを「挙措」と言います。あまり聞きなじみのない言葉かもしれませんが、「挙措」単体で用いることもあれば「挙措進退」「挙措端正」など、四字熟語で用いられることもある言葉です。

元々「挙」には「上に上げる」、「措」には「下に置く」という意味があり、「挙措」=「上げたり下げたりする」ことから“日常生活における何気ない動作”、つまり「立ち居振る舞い」という意味になったとされています。

そんな「挙措」の正しい読み方は……

 

きょそ」です。

漢字自体は難しくはありませんが、「措」を「借」や「惜」と見間違えて、そのまま読み方も間違えてしまうケースは少なくありません。見間違いにはくれぐれも注意しましょう。

4.「茫洋」

「彼は茫洋とした人だ」や「茫洋たる草原」など、「広すぎて見当がつかない様子」あるいは「つかみどころがないこと」を「茫洋」と言います。

「洋」はともかく「茫」という漢字は、普段あまり目にする機会がないかもしれませんね。「茫」には、「広々としている」「果てしない」「ぼんやりとした」などの意味があります。

そんな「茫洋」の正しい読み方は……

 

ぼうよう」です。

ちなみに「茫洋」は、「芒洋」と表記されることもありますが、どちらの漢字でも意味は同じです。

 

「読み方だけではなく、意味まで覚えるのは大変」と感じるかもしれません。しかし、意味まできちんと理解することで、言葉を正しく使えるようになります。

語彙力を高めることにもつながるので、ぜひ読み方と併せて意味についても覚えてみてくださいね。

参考文献
日本語倶楽部〔編〕『読めたらスゴイ!漢字1000』河出書房新社

文/大内千明 画像/Shutterstock(jesterpop、Syda Productions、SmartPhotoLab、Perfect Lazybones)