神山まりあエッセイ④「幼児戦隊 ディーンレンジャー」
VERYモデル神山まりあさんによるエッセイ「笑うママには福来る。」。2019年2月号からスタートした連載がウェブでも読めるようになりました!
ついにこの日が来てしまった。
ふらりと立ち寄った駒沢公園のフェス。
なんだか男の子がたくさんいるなあと思ったら、舞台になんたら
レンジャーが飛び出してきたではないですか。
色はレッド、ディーンの一番好きな色。
かわいい司会のお姉さんをいじめる悪い怪物が現れて、みんなでせーので叫ぶ。
「〇〇レンジャーーーーーーーー!!!!!!!」
かっこいいBGMとともにジャンプで登場してくる、なんたらレンジャー。
おいおいこの中に入ってる人は、どんだけ運動神経いいんだ、
そんなことを考えているうちに、戦いはヒートアップ。
キック、そして不思議な道具で必殺技を繰り広げる。
おお、なんかレーザー出てるぞ。
タイミングを見計らっていたかのように、なんとかレンジャーの仲間が登場し、
盛り上がりは最高潮。
全員が揃ってからしか出すことのできない大技が出ると、
怪物は「ウオーーー」と最後の力を振り絞って司会のお姉さんを人質にとる。
大変!!!! よく名前はわからないけども
なんとかレンジャー頑張って!
自然にディーンを抱く母の腕にも力が入ってしまう。
もはやこのショーのために駒沢公園に来たんじゃないかと思うくらい
入り込んでいる自分がいる。
この赤いレンジャーは素顔イケメンだろうか、
そんなよこしまな考えさえ浮かんでくる始末。
見事なチームワークで怪物をやっつけ、
イケてるポーズで締めくくるショー。
ハッ!!!!!!
我に返り、息子の顔を見てみました。
目をカッと見開き、口が開いたまんま。
絵に描いたような驚き顔。
母同様、どうやら本当に感動したらしい。
実はそれまで、プリンセスやバービーに興味があったディーン。
もしかしたら性別を超えた子なのかも?と思っていたけど、
どうやらレンジャーものを初めて見て、かなり衝撃を受けたようで。
そしてその日から、ついに始まったのです。
キックやパンチを繰り広げる日々が。
レンジャーものを知ってしまった後は、
• 毎年新しいレンジャーが出るごとに変身ベルトを買うことになる
• キックやパンチが正義と思う
そんな話をママ友から聞いていました。
アンパンマンのように一発でバイバイキーンと飛んでいくほど悪役が
弱くないため、結構な時間粘って戦い続けるレンジャーたち。
パンチやキックの度にかっちょいい音が鳴る。
もはやディーンの憧れ的な存在。
真似をしているのかパンチに合わせて、
謎の「シュッ、シュッ」という掛け声をしてる我が子。
気がつくと、見えない敵と戦っているディーン。
君には一体何が見えているんだい?
それは植木だよ?
レンジャーにハマるのは男の性(さが)なのでしょうか。
でも楽しそうにエアーパンチを繰り広げている息子を見るのは少し楽しい。
確かに、対戦相手役をするのは結構大変。
正直、今までパンチやキックを教えないために
レンジャーものを見るのは避けてきました。
そしてママ友から教えてもらったあの2つの理由に加え、
何よりも暴力的なシーンを見せないために。
そんな心配なんて吹き飛ばすように
毎日レンジャーもののテレビを見せろと大騒ぎ。
テレビの真似して見えない誰かと戦うこと30分。
そっか、これで強い子を育てると思えばいいんだ。
この子が大きくなった時、好きな人・大切な人を守るために強くなっているように。
そして、大きくなりながら拳以外でも守れる方法はあるのだと学んでほしい。
幼児戦隊 ディーンレンジャー
本人以外の仲間、4人募集中です。
そこのお母さん、いいこと教えてあげる。
レンジャーに入隊すると、もれなく夜ぐっすり寝てくれますよ♡
【PROFILE】かみやま・まりあ 1987年2月17日生まれ。2011年ミス・ユニバース ジャパングランプリ。2015年結婚、2016年男児出産。インスタグラム@mariakamiyamaも大人気。2018年9月に初めての書籍『神山まりあのガハハ育児語録』(光文社)を刊行。
撮影/イマキイレカオリ ヘア・メーク/TOMIE〈nude.〉 イラスト/natsu yamaguchi 編集/湯本紘子
※VERY2019年5月号「神山まりあの笑うママには福来る。」より。
※掲載の内容は発売当時のものです。