出生数過去最少 社会保障や年金はどうなる?

街では子どもをよく見かける気がするものの、 2019年に生まれた子どもの数は過去最少となる見込みです。出生数が減り人口が減ってしまうことで、社会保障制度や年金制度はこの先、どうなるのでしょうか?

解説いただいたのは

崔 真淑さん
エコノミスト。大和証券SMBC金融証券研究所(現 ・大和証券)に勤務し、最年少女性アナリストとして主要メディアで解説者に抜擢される。現在は Good News and Companies代表、シーボン社外取締役、昭和女子大研究員。日経CNBC『崔 真淑のサイ視点』ほかテレビ東京、NHK、BSスカパー!等で経済解説を行う。身近に感じる経済解説が人気。 

出生数が減ることでどんなことが起きる?

・少子高齢化が加速する
・年金支給開始年齢が上がるなど、社会保障制度に変化が
・日本の多様人種化が進む

真淑さんが考える!出生数減少にどう備えたらいい?

・社会保障制度ありきの人生設計をしない
・多人種化に対応できる英語力などを身につける

 

先行きの見えない日本で子どもを産むことに消極的

厚生労働省の人口動態統計の年間推計によると、2019年の日本人の国内出生数は 86 万4000人と発表されました。1899年の統計開始以来、初めて90 万人を下回る見込みとなり、大きな話題となりました。同時に、出生数が死亡数を下回る人口の自然減も50 万人超えとなり、想定以上に日本の人口が減少する気配が見えてきました。なぜ、政府が対策を行っているにもかかわらず、少子化と人口減が加速しているのでしょうか?
経済学の視点で考えると、先進国の日本には必然的かもしれません。
子どもを持つことによる満足度や幸福度は、人によって千差万別。しかし、あえて金銭的コストで考えてみると、新興国では子どもを得ることで労働力が増える、という金銭的なメリットが大きく、子どもを産みたいという気持ちが強まる傾向があります。
一方で先進国では、子どもは労働力ではありません。そして成熟国家のため教育費などの金銭的コストが高い傾向があり、お金がかかるからこそ子どもを産むことに消極的になりが ち。そこで、政府としては補助金などの施策をしているわけですが、日本経済の先行きが見えない中で、政府の政策ありきで「子どもをたくさん産もう」と考える人は増えにくいでしょう。

社会保障に頼りすぎない人生設計を考えて

少子化が進む日本で、今後考えられるシナリオは主に二つです。
まず人口が多い団塊ジュニア世代の年齢が上がり、子どもを産む人数が減ることで、一気に少子高齢化が加速するでしょう。そうすると、社会保障制度のあり方を変える必要があり、年金の支給開始年齢もより高齢になる可能性があります。もう一つは、この状況や労働力不足を補うために、移民の受け入れがさらに加速することが考えられます。
この状況の中で私たちができることは、社会保障ありきで人生設計をせず自分の力で何とかできるように働き方や資産形成を考えること。そして、多様人種の日本になることが予想されるため、英語や慣習変化に対応できる教育に目を配ることでしょう。
私も周囲にいろいろな人種の方が増えてきたのを実感しているため、語学を再学習しているところです!

※掲載中の情報はMart誌面掲載時のものです。

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イラスト/熊野友紀子 構成/長南真理恵

Mart2020年3月号
最近気になるNEWSな言葉 「出生数過去最少 社会保障や年金はどうなる?」より