最近口角が下がり気味な人は『恋は続くよどこまでも』を見直してほしい!

毎日マスクをしているので、気づいたら顔の下半身がすっかり老け込んでいた。見られていない口角が油断してへの字に固まってしまったのだ。このゆゆしき事態を解決するには動画サイトParaviでの『恋はつづくよどこまでも』、通称“恋つづ”鑑賞が有効である。2020年の年明けには思ってもみなかった危機的状況の中、下がりっぱなしの口角と免疫力をあげてくれるのは“恋つづ”しかない。時間と食欲だけはたっぷりとある今、当方全10話5回はリピートした。5回はあの名シーン、振り向きざまの「これは…治療だ」キスを観た。ヒロインではないが、私にもしっかりとした治療効果が認められたので今回最大級の今さら感、まだそれ語る??とツッコまれるのを重々承知の助で“恋つづ”の素晴らしさを勝手に述べたい。   1 このドラマの主役はなんたって上白石萌音なのである まず主張したいのはこのドラマのヒロインが上白石萌音だから成功したということだ。当初「上白石??萌歌なら聞いたことあるけど萌音って姉?妹?」状態だった。誰それ?で始まり、リアタイ時は1話の開始10分で「え? こんな子に佐藤健演じる天堂先生が惹かれていく設定ムリがないか?」「演出ベタ過ぎじゃ?」とシラけて挫折しかけた。5年前に運命の出会いをした(と勝手に思い込む)ヒロイン・佐倉七瀬が必死に勉強し、看護師となり、一目惚れした医師・天堂浬がつとめる病院に就職を果たし、再会した瞬間「ずっと好きでした!」と告白する。設定が完全ホラーである。当然天堂にも「気持ち悪い」と玉砕される。それが1話の後半に向かうにつれ、どんどん引き込まれる。なぜか? 萌音ちゃん、とにかく芝居がめちゃくちゃ上手いのだ。喜怒哀楽、受けのリアクション、間の取り方、どれをとっても見事。コメディエンヌの才能爆発だ。そしてすべてがダサい。「冗談はよしこさん」「驚き桃の木」など昭和なギャグも盛り込みながら、時には唐突におかしなご飯の歌を歌うなど、まるで奇行ともいえる振る舞いも憎めない。ヘアメーク、衣装、部屋のインテリア、全部が総力あげて鹿児島から上京したての田舎娘を見事なまでに具現化している。そのスタイリストの手腕も匠の技。そして総合的に言えるのは彼女が美人でもスタイル抜群でもない、ちょうど良い”フツーの女の子“として見えていること。もちろん女優だから一般よりは断然可愛いのだが、そうは見えない。だいたいほっぺをぎゅっとつかまれて、ちゅうちゅうたこかいな? みたいな顔になるのがこんなにサマになる女優がいまだかつていただろうか? 動く漫画そのものなのである。もちろん、少女漫画のヒロインとして不可欠な要素「一生懸命以外なんのとりえもないドジっ子なアタシ・・・テヘ」オーラも完璧なので視聴者に感情移入させ共感を得つつ、味方につけ「頑張って」と思わせる。嫉妬心も沸かなければ、同じTBS火10枠で大ヒットした”逃げ恥”の時のような「そうは言うてもガッキーじゃん」とふて腐れそうになる気持ちも起きない。朝ドラヒロイン級の庶民感・親近感と演技力。私が朝ドラ関係者なら「この子はいつオーディションで落とした?」「当時の担当者呼んでこい!」と激怒しているところだ。大河ドラマには出たことあるみたいだが、惜しい、彼女がヒロインなら朝ドラを見続けられない私も大丈夫だったかもしれない。 広くはモテないが、好きな男を一本釣りできる女。したたかで油断大敵な女なのだが、萌音ちゃんなら許せちゃうのだ。   2 そしてもちろん、満を持しての佐藤健様降臨のありがたみ。「たけるん、なぜ今ごろキュンキュンドラマに?」 そして“たけるん”である。映画『るろうに剣心』シリーズや各映画・ドラマで確固たる地位を築き、同世代のイケメン枠から1歩も2歩も抜けでた感あるタケル様。今さらこんなベタなラブコメに出なくても・・・と最初は誰もが思ったことだろう。なのにタケル様、下手したら爆死かというようなベタな漫画原作ラブコメに出演するのである。どうなの、これ? と思いながら見終わって思うのは「これはタケル様の卓越した演技力あってこそ成立したんだな」という圧倒的事実。目線、声のトーンの落とし方、白衣の翻し方、どれをとっても、細かく計算された芝居で天堂浬を演じきった。萌音ちゃんのタヌキ顔とタケル様のキツネ顔とのバランスも、身長差の萌えも完璧だった。ちなみに天堂が白衣やコートの下に着ている黒のハイネックorタートルニットがカッコ良すぎてこの冬は黒タートルがバカ売れしたとか。タケル様は正直言ってもう“こっち”の漁場に戻ってこないで欲しかったとも思うが、才能というのは幅広く大衆に認知されるべきなので、今の時代に佐藤健が生きているありがたみをみんなでシェアできることこそ、混乱した2020年に生きる私たち共通の幸福である。     3 ラブコメだけではなく、1人の女性の成長物語でもある。 恋愛だけのドラマではない。たとえば、1話。七瀬が一目惚れした医師が院内でドSの“魔王”と呼ばれており、そこに凸した無謀な新人が“勇者”と名付けられることから始まるゾワゾワしたストーリーも後半で観る目が変わる。ダメダメ新米ナースだが、心臓疾患を持つ女の子への細やかな目線と心の交流、必死さで患者の命を救う。“スキルはないが愛とポテンシャルはある”と天堂はじめ、病院の関係者、そして視聴者も思う。そして回を追うごとに七瀬の懸命さ、一途さ、健気さに魅せられて行く。そう、このドラマはベタベタなキュンキュンラブコメというだけでなく、1人の新人看護師の成長物語でもあるのだ。2話までのゲストや4話に出てくる美保純など様々なゲスト患者の演技にも泣かされる。後半に出てくる孤独な御曹司・清原翔もいい。ラブストーリーと同時に医療ドラマであり、お仕事ドラマなのだ。そして個人的に好きなのが、このドラマには意地悪な人が全く出てこないこと。病院関係者でヒロインをいじめるひとは一人もいないし、誰かを裏切って人を陥れる人もいない(唯一清原演じる御曹司が天堂を訴えるぐらい)。ヒロインのことをチビだとかブスだとか、disる人もいない。ドラマというのはえてして事件を作って視聴者をハラハラさせる作りをするが、人の悪意をストーリー上の枷にする手法がとられていない。みんながヒロインを愛し、なんなら取り合いになり、ごくごく平和に話が進む。見ていてイヤ~なマイナス感情にならないのが当方が恋つづのに魅せられるゆえんだ。   ヒロインは魔王に「厄介者の岩石」と言われ、自分でもそう卑下するがそこで思い出すのが往年の『スチュワーデス物語』でヒロイン・堀ちえみが言っていた「ドジでのろまな亀」という名台詞。そう、このドラマは往年の大映ドラマで基礎が築かれていた私たち世代の心にもすんなり寄り添ってくれる。視聴者は時には七瀬、時には天堂先生に感情移入し、「どっちの気持ちもわかる~」ともだえながら物語に入り込む。それは演出の巧みさであり、二人の演技力あってこそ。そしてこのキュンキュンはテレビサイズではなく「スマホサイズ」向き。リビングの大画面テレビよりも手のひらサイズで観られる環境があっている。だから放送終了後、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で観られるようになって再ブレイクした。Paraviに加入すれば、天堂の名台詞“何時間でも見てられる”どころか永遠に観ていられる『恋はつづくよどこまでも』だが、同じサイトで観られるアナザーストーリー『まだまだ恋はつづくよどこまでも』がまた秀逸。ドラマで進む物語の裏側というか、ピースを埋めるようなストーリーだが、本編よりかなりコミカル。特に看護師・石原こずえを演じる瀧内公美さんのはじけっぷりが素晴らしい。本編、オリジナルストーリー、どちらもニマニマし通しで、間違いなく口角アップエクササイズになる。総計約50時間ニヤニヤし続けたら私の表情筋もかなり元に戻った。家で“恋つづ”をリピして顔の老化と未曾有の社会的危機を乗り切りたい。   『恋はつづくよどこまでも』 TBS、テレビ東京、WOWOWの大人気ドラマが楽しめる動画配信サービス「Paravi」で独占配信中! Paraviオリジナルストーリー「まだまだ恋はつづくよどこまでも」やディレクターズカット版にも注目。 (C)円城寺マキ/小学館 (C)TBS SPARKLE/TBS  
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