神山まりあエッセイ⑨「マミーを守る!」
VERYモデル神山まりあさんによるエッセイ「笑うママには福来る。」。2019年2月号からスタートした連載がウェブでも読めるようになりました!
生まれてからずっとず〜〜っとパパっ子を貫いているディーン。
パパとマミーと同じ時間一緒にいるはずなのに、何をするにもパパが一緒じゃないと絶対に嫌。
「パパっ子の子供はママが少し離れても泣かないし、いっかなー」
なんて友達の前では強がっていました。
でも、周りがママ〜って泣いてるのにうちだけパパ〜って泣いているのを見て
切なくなることはしょっちゅう。
もちろんパパが一緒になって子育てをしてくれることは、感謝しかないんです。
本人は「当たり前だ」なんて言ってるけど、
お仕事の忙しさを言い訳にしない彼の心の広さに自分がちっちゃく見える。
そしてその器のちっちゃい自分はさらに、ディーンのパパっ子具合に嫉妬がどんどん膨らむ。
私ってなんてやつだ。
そんな時。
夫がアメリカに10日間近く出張することになりました。
その間はいつも以上にずっとディーンとラブラブベタベタ過ごし、
二人で初めての夕飯外食デートとかしちゃって、まるで恋人気分。
ディーンはオレンジジュース、マミーはワインで乾杯。
会話も少しづつできるようになってきたし、もう愛が止まらない。
ワンオペで大変ではあったものの、
それを忘れるくらい幸せな二人っきりのデートをたくさんした10日間でした。
そこからです。
急に息子がマミーを守り始めたのは。
ソファの角に足をぶつけて悲鳴をあげると、真っ先に飛んできて背中をさすってくれる。
テレビを観て泣いているとお尻ふきシートで涙を拭いてくれる。
落ち込んで静かにしていると、急に抱きついてきてキスをしてくれる。
今までマミー大好きと言いながら、自分のことにばかり夢中になっていた息子が、
マミーの安否を気遣っているんです。
その健気さが本当に愛おしくて、キューンと切なくなる感じ。
ああ、そっか。
子供といると、もう一度恋愛みたいなキュンキュンが味わえるのね。
夫に対するキュンとは別のもの。
10代で味わった、あの、キュンです(わかってくれるよね?)。
出張から帰ってきた優しい夫。
脚がパンパンにむくんだ私を見兼ねてマッサージをしてくれました。
なんて優しいんだ!
いててててて、と私が騒いでいると、ディーンが半べそをかいているではありませんか。
「パパ!!! NO!!」
パパに馬乗りになり、背中をバンバンと叩き、今にも泣きそうな顔。
痛いと言ってるマミーを守るためにパパを必死で止めていたんです。
パパがママをいじめていると勘違いしたんだね。
これよこれ、私が欲してたママっ子の感じ。
まるで気分はヒロイン。
そうね、ありがちな三角関係のドラマかな。
仕事で忙しいけど優しい彼、いつも一緒にいてくれる純粋な年下の彼、
その間で揺れ動く主人公はこの私……
息子が半べそをかいているというのに、ニヤニヤとしてしまう悪い母親。
「大丈夫だよ、マミー、もう大丈夫だよ」
なんて、ちょっと痛かったけどもう平気、みたいな顔とか演出で加えたりして。
ママっ子って……いい。こしょばゆいけど、いい。
呆れ顔のパパの一言。
「ねえ、韓国ドラマの観過ぎだよ」
【PROFILE】かみやま・まりあ 1987年2月17日生まれ。2011年ミス・ユニバース ジャパングランプリ。2015年結婚、2016年男児出産。インスタグラム@mariakamiyamaも大人気。2018年9月に初めての書籍『神山まりあのガハハ育児語録』(光文社)を刊行。
撮影/イマキイレカオリ ヘア・メーク/TOMIE〈nude.〉 イラスト/natsu yamaguchi 編集/湯本紘子
※VERY2019年10月号「神山まりあの笑うママには福来る。」より。
※掲載の内容は発売当時のものです。