【足の専門家・久道勝也先生に聞く】ヒールじゃないのに足が疲れる?その理由が知りたい!
高いヒール靴で一日中歩き回っていた昔と比べると、フラットシューズでどんな場所にも行けるようになったいま、日中の足の疲れの無さは比較になりませんが、でも‥‥家に帰るとヒールじゃないのに足が疲れている、という声が多く聞かれます。
加齢だけじゃない、足の疲れの原因を知り、健康な足のためにできること、専門家に相談してみました。
4月号より、一部抜粋してご紹介します。
■ヒールじゃないのに昔より足が疲れる?その理由が知りたい!
人生100年時代ですが、足の寿命は50年と言われています。50年を過ぎると足の衰えはどんどん進んでいきますので、なんとかして食い止めていくことがHERS世代のこれからの課題。足の健康をいかに保ち、長く歩けるようにしておくことが重要です。
~中略~
そのためにはまず足の状態に敏感になってください。足は全体重を支え、毎日何千歩と歩くことで地面にたたきつけられ、靴という「硬い洋服」で覆われている。実は、体の中で一番酷使されている場所です。
また、左右の靴の減り方を比べてみて下さい。どこか極端に違うところがあれば、何か問題があります。また痛みがあれば病院に行くべきです。靴も自分の足に合ったものをきちんと選んで健康で長く歩ける足作りをしてください。
最近は以前に比べてヒールのない靴が主流になってきたのに、足が痛くなったという声も聞きます。スニーカーなどのぺたんこの靴を履くとかかとを着いて足を背屈させ、地面をしっかり掴む筋力が必要になり、ヒールの時とは違う筋肉を使うことになります。なので疲れたり浮腫んだりするのは仕方ないともいえます。でも使っていくうちに体が慣れて回復していきますので安心してください。ただし、ご自分の足に合った靴を選んで履いていることが前提です。
■足先、足の裏の悩み、Q&A
Q1.朝起きると踵が痛くて。しばらくすると気にならないので放置しています。
A.これは、歩くときに衝撃を和らげてくれる役割を果たす、踵と足の指付け根を繋いでいる組織「足底筋腱」の炎症による痛みで、足底筋腱炎といいます。HERS世代の方たちは、加齢によって足の筋力や足首の関節の柔軟性が低下すると踵から足底部分に負担がかかって炎症を起こし痛みが出てしまいます。一度、診療を受けてどのような状況か把握したほうがいいでしょう。治療が必要な場合もあります。
Q2.年齢を経て足の左右差がひどくなってきた気がします。
A.人の足はもともと左右差があります。年齢を重ねると筋力の低下や骨が弱くなることによってアンバランスさがより増してくるのです。違いが大きい場合はインソールを入れたり、場合によってはオーダーメイドの靴を作るなどしたほうがいいかもしれません。
また、あまりに左右の沙が大きかったり痛みが出たりしている場合はその原因が単に老化なのかなんらかの病気が隠れているのか、調べることをオススメします。きちんと診察を受けてみてください。
今回お話しいただいたのは‥…
下北沢病院 理事長・医師、久道勝也先生
1993年獨協医科大学卒業。同年順天堂大学皮膚科入局。2007年米国ジョンズ・ホプキンス大学客員助教授。2009年よりヤンセンファーマ研究開発本部免疫部門長、アラガン社執行役員などを経て2014年からロート製薬研究開発執行役。2019年より同社、最高医学責任者。著書に『死ぬまで歩きたい 人生100年時代と足病医学』(大和書房)
下北沢病院
2014年にオープンした足と糖尿病の総合病院。足に関する小さなトラブルから足の切断など命に係わる重病まで各科が連携して診療。足のトラブルに悩む人に寄り添う。
住所/東京都世田谷区北沢2-8-16
☎03-3460-0300
HP/https://www.shimokitazawa-hp.or.jp/
取材・文/見学裕己子 イラスト/吉岡香織(アスタリスク) 構成/永吉徳子