神山まりあエッセイ⑫「めんどくさいファッション評論家」
VERYモデル神山まりあさんによるエッセイ「笑うママには福来る。」。2019年2月号からスタートした連載がウェブでも読めるようになりました!
我が家にはめんどくさいファッション評論家が2人います。
1人はすぐにものに例えてくるパパ。
そしてもう1人はひたすら褒めてくれる息子。
この2人の評論家はいつも私が着替えるたびに口を出してきて、
もはやそれが2人にとってのギャグになっています。
私も一応ファッションがお仕事。
着るものは前日に決めたり、
納得がいくまで着替えたりして気を使っているつもり。
なのにもかかわらず、いざイッテキマースの瞬間になると
2人がウロウロ私の周りで洋服にあーだこーだ言い始めます。
ある日、私は朱赤のシャツワンピを着ていました。
お義母さんに頂いたこのワンピはお気に入り。
大事な用事の時に登場します。
シルバーのアクセサリーを合わせて鏡を見ていると、
パパがのそっと現れて一言。
「……なんか、ポストみたいだね」
!!!!!!!!
なんてことを! かわいいじゃん!
てかあなたのお母さんがくださったシャツワンピよ!
「ちょっと、お願いだから封筒持ってみてwww やばいwww めっちゃポストwww」
爆笑し始める旦那。
言われる通りに封筒を口にくわえて棒立ちしている私。
私はポストなのか? これはポストルックなのか?
もはやポスト色ってかわいいのか? ポスト色って何色やねん。
自問自答を繰り返し、着替えようかな……と悩んでいると、
小さなファッション評論家が登場。
「マミー! ! ! ! レッドね!!! スパイダーマンみたいね!!」
褒め……られた?
「マミー、かっこいいね! つよいね!」
こちらはこちらでひたすら褒めてくれる。
いや、褒めているのか?
スパイダーマンって褒め言葉か?
なんかちょっと嬉しくなってきたぞ。
横目でパパを見ると、ポスト、ポスト、とまだ笑っている。
「マミー、ビューティフルよ、スパイダーマンみたい」
下を見るとうっとり私を見つめている息子がいる。
もう仕事に遅刻してしまう。
ポストでも蜘蛛でもなんでもいい、
もう私はこれで今日は出かけるんだ!
これ以上私の気持ちを弄ばないでくれ!
なんだか複雑な思いで玄関を出る。
でもお義母さんのセンスは私の憧れのセンス。
お義母さんのくださったワンピは絶対おしゃれに決まってる!
道中、お店のガラスに映る真っ赤な自分の姿を見て
お義母さんにメールしてみる。
まりあ:すごく素敵なシャツワンピをありがとうございます。
早速着ています。
お義母さん:ケンにポストって言われたから、
まりあが着てくれてよかった!
あ、お義母さんもポストだったんですね。
何を言われようと、私はこのシャツワンピがお気に入りです。
【PROFILE】かみやま・まりあ 1987年2月17日生まれ。2011年ミス・ユニバース ジャパングランプリ。2015年結婚、2016年男児出産。インスタグラム@mariakamiyamaも大人気。2018年9月に初めての書籍『神山まりあのガハハ育児語録』(光文社)を刊行。
撮影/イマキイレカオリ ヘア・メーク/TOMIE〈nude.〉 イラスト/natsu yamaguchi 編集/湯本紘子
※VERY2020年1月号「神山まりあの笑うママには福来る。」より。
※掲載の内容は発売当時のものです。