今だから、心に響く言葉⑥――HERSアーカイブから

バックナンバーからの名言集。
2008年12月号から。
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インタビュー連載「書きかけの履歴書」は高橋惠子さん。
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15歳でデビューしたものの、ヌードになる役が続き、20代で恋愛スキャンダルを経て、女優を休業。‟奔放な女”のレッテルを貼られた彼女は復帰1年後に結婚。そのときの心境を語ります。

「最初の1週間は泣きどおしでしたね。もちろん、嬉し涙です。最初にヌードになったときもそうでしたが、それまでは『泣いたらおしまい』と自分に言い聞かせていました。…………じっと耐えるしかないと突っ張ってきただけに『これからは、もうひとりで耐えなくてもいいんだ』と思ったら、涙が止まらなくなったんですね」

取材当時は53歳でしたが、既に孫も2人いて、舞台を中心に女優の仕事も充実。
<こうあらねば>という縛りから解放されて、自分自身がいちばん変わったのは50代だと続けます。

「いちばん歳を取ったと感じたのは39歳のときでした。もうすぐ40歳、もう若くはないと悲観しましたが、そこを乗り越えていざ50代になったら、60代、70代の人たちが輝いて見えるんです。上の世代の先輩たちからすれば、私なんてまだヒヨコ。これからさらに新しいものを見つけたり、経験していけるんだ、と気づいたというのかしら」

趣味で社交ダンスをはじめ、「これからは日本の伝統文化を海外に伝える仕事に取り組みたい」と語る高橋惠子さんの笑顔がとても素敵でした。
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BOOKレビューのページでは、『花は散り、若葉萌ゆ』(光文社)という本の著者・横森理香さんのインタビューを掲載
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35歳から44歳までの8人の女性を描いた短編集を書くにあたって、作者が考えていたことは――

「たとえ平凡な日常だったとしても、それを変えたいと思う人はほんのわずか。何かをきっかけに大きくはばたいた女性の武勇伝がテレビや雑誌で語られますけど、それは珍しいからなんです。ほとんどの人は大きな決断をする勇気は持っていません。でも、それなりに成長していくんですね。自分自身の、年齢による小さな変化を受け入れたり……。そうやって、些細な楽しみを味わいながら、みんな生きていけるんです」

いい言葉ですね。リアリズムとはそういうことなのかもしれません。

前回の記事はこちら。

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構成・文/川原田朝雄