子供たちに今“この本”を読ませたい 入江のぶこさん選

Youtubeもゲームもいいけれど、そろそろ心を揺さぶる「本」に出会って欲しい。世界中の母たちがそう思っているかもしれません。まだまだ家での時間がいつもより多い今、各界のスーパーマザーに母親目線で選ぶお薦めの本を伺ってみました。

目次 ★選者 入江のぶこさん
★小学校低学年の子供にお薦めの本
★小学校高学年の子供にお薦めの本
★中学生にお薦めの本
★高校生にお薦めの本


★選者 入江のぶこさん

<Profile>
東京都議会議員。夫の駐在先であるエジプトで不慮の事故により夫を亡くし、32歳で息子二人と帰国。フジテレビ勤務を経て、平成29年都議会議員選挙に初立候補、港区より初当選。二人の息子さんは、学習院初等科、学習院中等科、筑波大学附属駒場高校を経て東京大学へ。近著『自ら学ぶ子どもに育てる』(あさ出版)

ーー10歳まではできるだけ子供と向き合って、その子の得意なものを見極め伸ばして育てました。

当時小学1年生と1歳になったばかりの息子を抱えながら、フルタイムで働き始めた入江さん。限られた時間の中で集中して子供たちと向き合っていたそうです。本を読み聞かせる時も、後からクイズ形式にして考える力を養うなど、時間を有効活用されていたとか。「子育てを終えた今、大切だと思うのは、10歳までその子の能力が一番発揮できる”何か”を見つけて、その能力を伸ばせるような環境を整えることですね」。入江さんも息子さんたちを徹底的に観察した結果、家で本を読んだり、何かを調べたりするのが好きなのだと気づいたそうです。外で元気いっぱいにサッカーをするタイプではないなら、インドアで。歌って踊っているのが好きな子なら、表現の場を与え、ゲームが好きな子なら、勝負事をどんどんやらせてみる。”何か”は必ずしも勉強だけとは限らないそう。

今回は、その当時の記憶を息子さんたちとLINEで振り返りながら、お薦めする本をあげてくださいました。


★小学校低学年の子供にお薦めの本

おはなしのろうそく 東京子ども図書館・編

私が息子たちに読み聞かせていたら、次男がとても興味を持ちました。一冊に5話ほど、主に世界の昔話などが収録されています。日本をはじめとして、フィンランド、インドネシア、イラン、チェコ…など取り上げられる国は多岐に渡ります。国によって物語の背景となる文化や風土は異なり、それぞれの国の情景を思い浮かべるのが楽しいシリーズです。一冊がとても薄いこともあって、次男は何冊も図書館から借りてきて読んでいました。


★小学校高学年の子供にお薦めの本

ねらわれた星(星新一ショートショートセレクション) 星新一・著

私自身も息子たちも、SFというジャンルに興味を持つきっかけとなったシリーズです。書かれたのは数十年前なのですが今読んでも斬新なSFの世界が描写されていて、一篇一篇に引き込まれます。あまりにリアル、現実に起こりそうで恐ろしく、幼い頃は怯えて読み切れなかった話もありました。巻末では時に星新一賞が紹介されていることもあり、息子たちは、幼いながら創作意欲を刺激されて自分でショートショートを書くべく挑戦していたこともありました。


★中学生にお薦めの本

海辺のカフカ  村上春樹・著

「世界でいちばんタフな15歳の少年」この言葉に終始惹かれていたのは間違いない、と次男は薦めてくれました。初めて村上ワールドに触れた一冊で、その中に登場し都度詳細に描かれる食事、音楽、車や夏目漱石の作品など多くの物に興味を感じ、自分の食指が動く世界が広がったそうです。子どもたちが読み終わったのち家出をすることはありませんでしたが、主人公のように体を鍛えてみたり大人になろうと背伸びしてみたり、かなり実生活に影響を及ぼした本でした。


★高校生にお薦めの本

さむけ  ロス・マクドナルド・著

高校生にもなれば、世で読むべき名作と言われる作品のほとんどは読めるようになると思います。三島由紀夫、ドストエフスキー、カフカ…>などもちろん是非読むべきですが時に難解で興味を失うこともあるので、あえておすすめするならこの本です。ミステリーなので多くは書けませんが、息子たちが高校生になって改めて本を読む楽しさに目覚めた一冊です。リュウ・アーチャーシリーズの中でも特におすすめです。

STORY