今だから、心に響く言葉⑧――HERSアーカイブから

バックナンバーからの名言集。
2009年2月号から。
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インタビュー連載「書きかけの履歴書」では、女優の高畑淳子さんが登場。
香川県の進学校から大学受験で東京を目指し、お茶の水女子大、早稲田、慶応、東京女子大に合格するも、彼女が選んだのは桐朋学園短大の演劇科。
入学してからのカルチャーショックについて語ります。

「授業にまるでついていけませんでした。他はみなバレエや演技の勉強をしてきた人たちばかり。私は何ひとつ習ったことがない……演技の授業でAの評価をもらったのは‟ゴリラ踊り”だけです()。内心、顔はそこそこイケてるんじゃないかと思っていましたが、なにせサイズが大きすぎ。おまけに水泳をやっていて肩幅が広かったうえに、姿勢が悪くて脚も短い。クラスでも‟超人メスゴリラ”って呼ばれていました」
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短大卒業後、青年座の養成所に進むものの、自分のところに回ってくるのは、カエル、ヘビ、トンボといった人間以外の役ばかりだったとか。
その後、結婚、出産、離婚を2度繰り返し、40代の頃は2人の子供を育てながらシングルマザー女優として、どうにか家計を支えます。

「……ベッドもカーテンも買えず、毎晩、シャッターを閉めて生活する始末。とにかくワンシーンでもいいからドラマに出してくれと頼み込み、‟ワンシーン荒らし”と言われるほどお母さん役をやりました。その時に来たのが<白い巨塔>のお話です。『教授夫人の役が二つあるけど、どっちがいい?』って聞かれて、『たくさん出るほう!』って」

その出演によって、知名度を上げ、以後は人気女優として活躍する高畑さんですが、同時にまだまだ子供たちも心配な時期。飲みに行くこともゼロ、趣味の時間も全くなし。

忙しい日々を振り返りながら——

「女優の道を諦めた昔の友達が幸せな家庭の主婦に収まっているのを見ると、自分はこれで良かったのか? と、ふと思うこともありますけど」

「……だけど、私は一番欲しかった仕事が手に入り、念願の子どもにも恵まれた。それ以上は望みません。たとえ夫や恋人がいなくても、それぐらいは膝を抱えて泣いてろよと()、自分自身に言い聞かせています」

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BOOKレビューのページは、作家の川上弘美さんのインタビューでした。
小説『どこから行っても遠い町』は、日常の奥に隠されている人々の思いを巧みに描いた作品。

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「どんな人の人生にも、きっといろんなことがあるはずです。10年生きてきたら10年分、80年生きてきたら80年分の出来事があります。それでもいつもは普通の顔をして生活している。同じ町に住んでいても、ただすれ違うだけではわからない部分を誰もが抱えています」

「……表向きは平穏に生きていても、みんな何かしらのことを抱えていると思うんです」

一方、MUSICレビューは、EPOさんのインタビュー。
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20代の頃、私らしくない時期がありました。イメージとは違う生身の姿を見せたくなくて、自分を過度に演出していた。今思うと、批判されバカにされるのが怖かったんです。だから、無理をして、背伸びをしていました。そんなありのままでいられないことはストレスになり、よけいにつらくなり、態度にも表れます。あの頃の私、本当に嫌なやつでした」

20代のEPOさんといえば、まさに♪『DOWN TOWN』や♪『う、ふ、ふ、ふ、』などが大ヒットしていた頃。でも、いちばん売れていた時代が、自分にとって一番いい時代だったとは限らないのですね。

前回の記事はこちら。

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構成・文/川原田朝雄