子供たちに今“この本”を読ませたい 佐藤悦子さん選
Youtubeもゲームもいいけれど、そろそろ心を揺さぶる「本」に出会って欲しい。世界中の母たちがそう思っているかもしれません。まだまだ家での時間がいつもより多い今、各界のスーパーマザーに母親目線で選ぶお薦めの本を伺ってみました。
★小学校低学年の子供にお薦めの本
★小学校高学年の子供にお薦めの本
★中学生にお薦めの本
★選者 佐藤悦子さん
<Profile>
「SAMURAI」マネージャー 早稲田大学教育学部卒業後、博報堂、外資系化粧品ブランドのAD/PRマネージャーを経て、2001年よりクリエイティブディレクター佐藤可士和氏のオフィス「SAMURAI」のマネージャーに。現在は、2021春開催の『佐藤可士和展』(六本木・国立新美術館)の展示プランや広報準備に奔走する日々。中学2年生男子の母。『子どもに体験させたい20のこと』(筑摩書房)などの著書あり。
ーー凝り固まった価値観にならないよう、色々な見方・考え方を身につけて欲しいと思っています。
夫である佐藤可士和さんと世界中でグローバルな仕事を成功させながら、中学生の息子さんの子育てに、近所に住むお父様の介護にと八面六臂の活躍を見せる佐藤悦子さん。昔から読書が好きで「常に読んでいる途中の本たちに囲まれていたい」タイプであるそう。手に汗握るノンストップ系のミステリーから軽めのエッセイまでジャンルを問わず月に5-6冊ペースで読んでいるそうです。
その中からお子さんに薦めてきた本とは?
「子供だけではなく私自身も含めて、常に“新しい視点”を受け入れられる姿勢でいることが一番大切だと思っています。自分の考えだけで凝り固まるのではなく、世界は広く多様なものの見方があることを理解し、柔軟に考えられる人間に育って欲しいと思っています」
それだけに、これまで勧めてきた本も神話から宇宙科学に至るまでジャンル広し!
多読な佐藤さんならではの、本当に面白く読める4冊をご紹介します。
★小学校低学年の子供にお薦めの本
ギリシア神話 石井桃子・編・訳
幼少期は壮大な世界観に触れて欲しいと思い、旧約聖書や新約聖書、お釈迦様のお話などを読み聞かせていました。世界の始まり、どう始まってどこに向かっているのかという大きな関心を後々持って欲しいと思ったからです。絵画をはじめとしたアートの素養のベースにもなるので、鑑賞する際に理解の深みが違ってきます。中でも、息子が興味を持って一緒に読んでくれたのが『ギリシア神話』。戦いの話も多く、男の子向きだと思います。たまたま息子が小学3年生の頃に夢中になっていたベイブレードのベイの名前がアキレスやケルベロスなどギリシア神話から取られているものがあって、より一層興味が増したようですね。頭が柔らかい内に、“パンドラの箱”はどういうものか、同じ開けてはいけない箱でも浦島太郎の玉手箱とは似て非なるものだということなどを知ることができる本だと思います。
★小学校高学年の子供にお薦めの本
14歳、明日の時間割 鈴木るりか・著
作者の鈴木るりかさんの作品は、デビュー作『さよなら、田中さん』からファン。現役中学生作家(現在は高校生)が書いた小説なので、とにかくリアル。大人が想像して書いた話とは違って、中学生活「あるある」の臨場感とクオリティが秀逸なので読む価値大です。生と死、家族などのテーマも含まれていて、「読んで面白かった」だけに終わらない、考えさせられる一面もあるのが良いと思います。
★中学生にお薦めの本
ビッグ・クエスチョン スティーヴン・ホーキング・著
「ホーキング博士が人類の難問に答える」というタイトルを書店で見た瞬間、思わず手に取った本です。まず主人に薦め、中学生の息子にも何も言わずに手渡しました。神は存在するのか、から始まって、ブラックホールの内部には何があるのか、人間は地球で生きていくべきなのか等の問いについて、哲学や宗教的な視点でなくあくまでも科学的に答えていくのですが、2年前に発刊された本にも関わらずウィルスの脅威にも触れていますし、小惑星の衝突もないことではないと断言されています。宇宙から地球を見ると、私たちはひとつに結ばれていて、個々バラバラに存在しているのではないことを目の当たりにするというメッセージが素晴らしく、「最近の米中の対立やコロナに関することも、まさに地球規模で力を合わせないとダメということだよね」と家族で話しました。他にも、現在の成長ペースが千年先まで続くことはありえない等、鋭い指摘も。すっと入ってくる文章もさすがです。
★中学生にお薦めの本 その2
オリジン ダン・ブラウン・著
『ダヴィンチ・コード』で有名なダン・ブラウンの長編ミステリーです。実は、”続きが気になって眠れない”推理小説が親子で最も好きなジャンル。ダン・ブラウンの作品も全部読んでいます! スペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館へ行く前に読んだのですが、ラストのあまりの衝撃に睡眠不足になりました。私はAIと人間の未来に気が遠くなったのですが、息子に言わせると「いや、ありえるでしょ」と言われ(笑)。これぞ、世代間ギャップだと思いましたね。反抗期の男子とも内容について自然と語らえるので、コミュニケーション不足だと思ったらさりげなく机に置いておくのもありだと思います。