暑くなってくると、特に気をつけなくてはいけないのが熱中症。真夏だけでなく、気温の上昇に体が慣れていない梅雨の晴れ間や梅雨明けにもかかりやすい症状です。それに加えて、今年は新型コロナウイルス対策を取り入れた「新しい生活様式※」のもと、これまでとは異なる生活環境下で夏を迎えることになるため、対策にも特に注意が必要です。この時季に知っておきたい熱中症について、日本体育協会公認スポーツドクターの佐藤のり子先生にうかがいました。
※「新しい生活様式」
感染防止の3つの基本である身体的距離の確保、マスクの着用、手洗い、「3密(密集、密接、密閉)」を避けるなどの対策を取り入れた生活様式。
教えてくれたのは
亀戸佐藤のり子クリニック
佐藤のり子先生
兵庫医科大学卒業。医学博士。1996~2002年中日ドラゴンズチームドクターに従事。2004年7月亀戸佐藤のり子クリニック開業。地域医療に力を入れ、整形外科、ペインクリニック科、リウマチ科、内科、皮フ科、スポーツ外来など幅広く診療にあたる。
なぜ起こる?熱中症の種類と原因
熱中症には2つのタイプがあります。2種類ともに、熱中症は気温、湿度、輻射熱(ふくしゃねつ)と風が関係して起こります。子どもやお年寄りはもちろん、成人でも注意が必要です。
1.古典的熱中症
抵抗力が弱く、体温のコントロールがうまくできない子どもやお年寄りがなります。
2.労作性熱中症
労働やスポーツなどによって体内の熱が上がって起こります。
こんなときは注意して!
- 体温が40℃以上にならなくても、平熱より1℃以上高くなったらひと休みしましょう。
- 気温が高い日や陽射しが強い日に警戒するのはもちろん、気温や晴天時ばかりでなく、湿度や風の有無によっても危険性が高まるので注意を。
「新しい生活様式」における熱中症の予防法
1.周囲に配慮しながら適宜マスクをはずす
高温多湿な環境でマスクを着用すると、熱中症のリスクが高くなります。屋外で人と十分な距離(少なくとも2m以上)を確保できる場合は熱中症のリスクを考慮し、マスクをはずすようにしましょう。また、マスクを着用している場合には、強い負荷の作業や運動は避け、喉が渇いていなくてもこまめな水分補給を心がけるようにしましょう。周囲の人との距離を十分にとれる場所で、マスクをはずして休憩することも必要です。
2.換気をしながらエアコンを
新型コロナウイルス感染症を予防するためにはクーラーを使用中でも換気扇や窓開放によって換気をする必要があります。室温が高くなりやすいので、温湿度計などを上手に活用しながらエアコンの温度設定をこまめに調整しましょう。
3.日頃の体調管理に気をつける
日頃の体温測定、健康チェックは、新型コロナウイルス感染症だけでなく、熱中症を予防するうえでも有効です。
水分補給の注意点
熱中症対策に水分補給は必須。しかもマスクを着けていると喉の渇きを感じにくくなるのでこまめな水分摂取が大切です。
また、汗の質によって体が必要とする成分が異なるため、補う内容を変えましょう。塩分を含んだ汗のときは水分+塩分の補給が必要。糖分も同時に摂取すると腸管からの水分の吸収を早めます。塩分と水分を別々に摂るのではなく、塩分を含んだ飲料を摂取してください。
汗に塩分が含まれているか調べるには…
汗を見てもわからないので、玉の汗を長時間かいたときに、腕などを水洗いしてからなめてしょっぱいときは塩分が必要です。スポーツドリンクが有効なのはこの場合です。
しょっぱくない汗のときは水分補給のみで塩分は不要。しょっぱい汗をかいたときに水分だけを補給すると血液を薄めてしまい、自発的脱水を起こしてしまうので注意を。
緑茶などカフェインを含む飲料は利尿作用があるため水分補給としては不向きです。
どんな症状があると熱中症?
めまいや立ちくらみ、筋肉がつる、汗が止まらないなどの症状があったら、熱中症の初期段階です。
涼しいところで洋服を緩めて体を休め、水分を補給します。脇の下、首元、脚の付け根(そけい部)を冷やすのも大切。
なお、おでこを冷やすと脳が涼しいと感じてしまい、体温を下げようとしなくなるのでNGです。
念のために病院を受診すると安心です。基本的に暑い日は外で過ごしたり、運動するのは避けて。外に出る場合は、熱を発散しやすい服装(綿や麻素材で、ゆったりして風通しのいい形状)を選び、帽子や日傘を利用し、飲み物も持ち歩きましょう。
編集部が選んだキーアイテム
あらゆる発汗シーンや熱中症対策に、水分・塩分・糖分を同時補給
ポカリスエット ペットボトル 500ml 140円/大塚製薬
ポカリスエット アイススラリー 100g 180円/大塚製薬
ポカリスエットは、体液に近いイオンバランスの飲料。あらゆる発汗シーンにおいて失われた水分やナトリウムなどのイオン(電解質)をスムーズに補給して、体を優しく潤すことができます。
また、近年の酷暑における熱中症対策として、深部体温の低下に着目して開発された「ポカリスエット アイススラリー」も頼れる1品。凍らせると流動性のある氷状になり、身体を芯から冷やしながら、水分とイオンの補給が叶います。
熱中症対策の基本情報を管理!気温と湿度がひと目でわかる
気温と湿度がデジタル表示されます。部屋の状況(乾燥/快適/不快)がわかる快適レベルを表示。背面にマグネット、壁掛け穴がついているので置き掛け自由。時計、日付、目覚ましアラーム機能付き。
発熱時にも活用できるボディ用の冷却シート
植物成分を配合し、ボディ専用に開発された高冷却シート。約6時間の冷却効果があります。ピタッと貼れて肌にも優しい。熱中症対策としては、おでこには貼らず、太い血管が通る脇の下、首元、脚の付け根(そけい部)などを冷やすのがおすすめです。
※価格はすべて税抜き、商品の情報は2020年6月時点のものです。
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取材・文/岡部礼子 構成/Mart編集部
2016年8月号
カラダの疑問に答えます をもとに再構成