「新しい生活様式」では積極的な「薬局の活用」が健康管理のカギに

 

昨年12月に交付された「改正薬機法」において、今年9月から「服薬指導フォロー」の義務化が決定しました。ちょっと難しく聞こえますが、薬剤師は「薬を渡せば終わり」ではなく、継続的に患者を支えましょう、という話です。
現在、医療機関で処方箋を受け取り薬局で調剤してもらう「医薬分業」により、調剤薬局側は「いかに早く正確に薬を渡すか」、私たち患者は「病院と同じ質問を早く終わらせて薬をもらう」という場所になってしまっています。今度は、もう少し距離の近い相談場所へと変わっていきそうです。

そこで今回、薬局と患者向けにサービス を提供する株式会社カケハシの薬剤師社員・工藤知也さん に、私たちと薬局の今後のかかわり方について教えていただきました。

 

困ったときには薬剤師に相談もありなんです!

そもそも薬剤師は薬の専門家なので、「薬が合わないかも?」となった場合、医師に相談するのはもちろんですが、薬剤師に相談することもできます。薬の飲みあわせや患者の生活習慣等を考慮し、副作用の可能性やより患者に合いそうな薬について医師に提案してくれるそう。処方権は医師にあるので、薬剤師が医師に提案のうえ、処方が変わることになります。患者→薬剤師→医師という順番です。

私たち患者の立場からすると医師に直接相談した方が早いのでは?とも思いますが、現状では医師は多忙で相談しにくいことも多く、忘れてはいけないのが薬の専門家は薬剤師ということ。薬剤師に「薬を飲み始めてからどんな不調・症状があるのか」を相談することが早道の可能性があるんです。
編集部の取材でも、実際に「子どもが薬を飲むたびに腹痛を起こし、薬が合っていないのか不安だった」という子育て中の読者主婦の話がありました。「再度受診するには仕事の都合をつけなければならないですし、コロナが流行している中で何度も病院に行くことに不安もあります。でも、気軽に薬剤師さんに相談できるようになるのは嬉しいですね」という声が聞かれました。

 

「かかりつけ医」だけでなく「かかりつけ薬剤師」を持つと安心

そこで、覚えておきたいのが「かかりつけ薬剤師」の存在。ひとりの薬剤師が、患者の服薬状況を一か所の薬局でまとめて管理し、薬の重複や飲み合わせ、副作用などを継続的に確認してくれる健康のパートナーです。希望する薬局で「かかりつけになってください」と伝えると同意書に署名することになる流れ。かかりつけ薬剤師が顔見知りとなり、患者本人としても気軽に相談しやすい上、症状や薬歴も分かってくれているので話がスムーズで安心して利用できます。なお、かかりつけ薬剤師にかかるコストは1回の服薬指導で100円未満だそう。

私たちの身近なところに頼れるプロがいるのは、心強いですよね。

かかりつけ薬剤師はまだ必要ないかな、という人も覚えていて損はない薬局の利用法を、改めてここでご紹介しておきます。同じ薬局に3か月以内に処方箋を持っていくだけで、1回あたり管理指導料が数十円お得になったり、同時に複数医療機関の処方箋をもっていくと2枚目以降は調剤基本料が数十円お得になったり、と意外と知らないお得な薬局の使い方もあるんです!(*金額は患者の医療費の自己負担割合によって異なります)

薬剤師が患者の健康状態をフォローしてくれるアプリも登場

実際に薬剤師と患者をつなぐツールとして、おくすり連絡帳アプリ「Pocket Musubi」(ポケット ムスビ)がスタート。これは、アプリを通じて薬局の外での服用期間中も患者を継続フォローするものです。このアプリを開発した株式会社カケハシによると、患者が電子お薬手帳のQRコードで服用している薬を登録すると、調剤を受けて、2日後、1週間後 に簡単な質問が届き、回答していくというもの。きちんと薬を飲んでいるか、正しく保管しているかなどの情報を かかりつけ薬剤師と共有できるという仕組み。

まだまだ落ち着かないコロナ禍の中、何度も医院や病院に駆け込むのは躊躇しがち。健康相談役として積極的に薬局を活用することも「新しい生活様式」のひとつになりそうです。

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取材・文/澁谷真里