子どもが夕食をつくれるようになる!食育のプロが教える「親子料理講座」〈4:おかず編〉

つながるキッチン代表・台所料理伝承家の中原麻衣子さんによる、親子料理教室。道具の説明、炊飯、お味噌汁と続いて第4回目はおかずになる一品として「野菜炒め」のつくり方を教えていただきます。

野菜炒めをつくるのに必要なものはこちら

用意する道具は①包丁 ②まな板 ③フライパン ④菜箸

写真にはないですが、「野菜の皮をむくピーラー」もあると便利です。

材料はこちら(大人2人+子ども1~2人分)

  • 豚肉100~120g
  • キャベツ1/6個
  • ピーマン1個
  • 人参 中1/2本
  • 太白ごま油 大さじ1/2
  • 塩こしょう 適量

冷蔵庫にある野菜でOK  野菜を食べやすく切りましょう!

何かおかずを一品つくるとなった時に、おすすめしたいのが「野菜炒め」です。
冷蔵庫の中にある残り野菜を使えて、手間もかからず栄養バランスもよい一品に。今回選んだ野菜、キャベツ、ピーマン、にんじんは、彩りもよく仕上がります。

まずは野菜を洗い切りましょう。包丁の使い方は〈3・味噌汁編〉で詳しく説明しているので読んでみてくださいね。キャベツはざく切り、ピーマンは縦に半分に切ってからヘタと種をとり細切りします。にんじんは皮をむき、短冊切りをしてから細切りしました。

野菜炒めをつくる時に、野菜の切り方に決まりはありません。「今回は細長くしたけれど、次回は大きめにしてみよう」など、変えてみてもよいですよ。同じ野菜でも切り方が違うと食感も変わり、味まで違って感じるのでおもしろいんです。あまり大きすぎると食べにくく、小さすぎても箸でつかみにくいので、ベストな大きさを考えてみてくださいね。

野菜を炒めて「しんなり」させていきます

続いて炒めていきましょう。フライパンにごま油をひいたら、中火で豚肉を炒めます。

お肉の色がピンクから茶色に色が変わってきたら、キャベツ・ピーマン・にんじんの順で入れていきます。今回は、どの野菜も生で食べられる素材なので、あまり順番にこだわりません。ただ、キャベツは葉より芯が先。そして、火が通る時間を考えると、芯があるキャベツを一番最初にしています。
野菜には独特のえぐみや苦みがあるものが多く、生だと強く感じやすいのですが、火を通すことでマイルドになり、食べやすくなるんですよ。

ところで「しんなり」という状態、わかりますか? 生野菜はパリッと張りのある状態(=生)。炒めて熱を加えていくと、くた~っとしてくる。これが「しんなり」です。しんなりしているので、生よりもたくさん食べられます。でも「ふにゃふにゃ」は火が通り過ぎ。シャキシャキ食感が残ってるくらいをおすすめしたいです。私たち人間にとって、しゃきしゃきと咀嚼する(かむこと)はとても重要なんですよ。
味付けは塩とこしょうで。ついついかけすぎてしまうことが多いので、半分の量をかけて、味見しましょう。自分の味覚を信じて「おいしい!」に近づける。自分の「おいしい」にたどり着いたら完成!

大人は「自分でつくった料理がおいしい!」と自己肯定感のサポートを

「包丁を使う」「フライパンで炒める」と、野菜炒めの工程は「子どもには危ないのでは」と不安になる大人の方もいらっしゃるかと思います。子どもの包丁使いは怖がらず見守ってあげて欲しいですが、私が主宰している子ども料理教室「つながるキッチン」では、実は手でちぎれるものは、なんでもちぎります(笑)。ですから、包丁を使わせることでつい口を挟みたくなるなら、包丁を使わない方法でもいいのです。包丁でなくても、例えば、キャベツは芯以外は手でちぎれますし、ピーマンはヘタや種を取る作業も手で出来ます。この「手先を使ってちぎる力」をつけることも、実は子どもの成長にとっても大切と言われています。うまくちぎれたらほめてあげてくださいね。

そして、子どもたちが料理をする場面で一番好きなのは味見です。少しずつ、少しずつ、おいしいに近づいていく感覚を、つけてあげてください。一度成功すると自信になり、自分で作った料理でこんなに家族が笑顔になるんだということが自己肯定感に直結していきます。

次回は〈5:盛り付け編〉です

中原麻衣子さん
台所文化伝承家/食育・受験フードアドバイザー
つながるキッチン 代表
https://tsunagaru.kitchen/
「身体は食べたもので作られる」を信条に、2012年に食育・料理研究家として事業をスタート。今まで2,000人以上の子供たちやその家族と食を通じて向き合っている。

※内容は小学校低学年以上のお子さんをイメージしていますが、もっと小さいお子さんは大人がさらに補助を、大きなお子さんなら、見守りつつ出来ることはどしどしやってもらいましょう。

取材・文/新里陽子

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