SHELLYさん「自分で自分のハードルを上げてしまうのはなぜ?」

※このコラムは2020年6/7合併月号に掲載されたものです。

 

家からなかなか出られない日々、本当に大変ですよね。今、4歳の長女には、毎日ドアノブを拭く係をしてもらっています。新型コロナウイルスについて説明したところ、娘も責任重大だと思っているみたいで一生懸命。この時期だからこそできることもあるのかなと前向きに捉えるしかないですよね。「小さい頃、毎日ドアノブ拭かされていたな」といつか親子で話す日が来るのかなと想像しつつ、日々過ごしています。

 

そして我が家では、一度、階下の方に子どもの足音で注意を受けていたこともあって、在宅時間が長いこの状況を申し訳ないなぁと思いつつも、正直すごくストレスが溜まっています(苦笑)。今、次女はイヤイヤ期の真っ只中。床をドンドンすると私が困るのをわかっていて、わざと「あれがほしいー!(ドンドン!)」って足を踏み鳴らす。慌てて抱き上げれば魚みたいに暴れるし、下ろせばまたバタバタ、ドンドン。本当に、大変です。ちゃんと言い含めるのが親の仕事だとはわかっていますが、子どもは一朝一夕で学習するわけじゃない。時間がかかること、階下の方にどうか理解していただけるように願うばかりです…。

 

きっと日本中に同じようなママがたくさんいるんじゃないでしょうか。それに、学校が休校になって勉強が遅れる心配もありますよね。知り合いの海外在住のママたちが発信していましたが、ホームスクールでは、一日6時間も算数や国語をやらなくていい、机に向かうのは1、2時間でいいとするケースもあるようです。学校と同じ学びができるわけではないから、家事を手伝ってもらったり、家の中でできることをやるのがホームスクール。もちろん勉強の遅れは本当に不安だし、親としてはたくさん勉強させないとと思ってしまうけど、このような緊急事態では期待値を下げることがすごく大事だなぁと。それが親子のストレスを減らすことにつながりますよね。私も普段は長い時間テレビやスマホを子どもに見せないようにしているのですが、ずっと家にいたらそんなことも言っていられない。「ムービータイムにしよう!」って自分の好きなポップコーンを作って一緒に映画を観たりしています。動画を見せて自分がスマホをいじっているより、ポップコーンを作るだけでも、ひとつイベントを作れたと思って、満足できるんですよね。小さいことでも、「私ってダメ親」って思わなくて済むんです。

 

でも一方で、SNSのママ友のリア充なおうち生活が目に入ってきたりもします。外に出られないから子どもとテラスの花で生け花してみました、こんな絵の具アートを楽しみました…。それを真正面から受け取ってしまうと、こちとら三食食べさせて、お風呂に入れて寝かせるだけでいっぱいいっぱいだわ!って思ってしまう(苦笑)。この生活のなかでプラスアルファをやって、さらにSNSにアップするなんてことは自分にはできなくて、勝手に落ち込んだりママとして劣等感を覚えたり。でも、SNSは一瞬を切り取ったものにすぎなくて、子どもに「ちょっと待って、もう一回こっち!」とかやっているかもしれない。そうしてアップすることで、そのママはストレス発散しているのかもしれない。だから、できない自分と比べるんじゃなくて、俯瞰して見ることが今は特に必要なのかなと思います。それができないなら、今はSNSと距離を置くというのもアリなのかもしれない。だって、今の状況で「パンデミック時の子どもの正しい過ごし方」を知っている人なんて、世界中どこを探しても誰一人としていないんだから。

 

家にせっかくいられるから大掃除のチャンスとか、子どもと向き合うチャンスとか、そういう声も聞こえてきます。でもよく考えたら子どもがいないときじゃないと家は片付かないから、家は散らかる一方(ですよね?)。それに、私は子どもと外で走り回るのは好きだけど、家でお絵かきしたり折り紙をちぎるような遊びは苦手で(苦笑)。それでも何かしなきゃと先日は娘たちと餃子パーティをして、お肉からチョコバナナまで好きなものを包ませて焼いたけど、張り切った割に思うほど子どもは食べなくて(笑)。一緒に作ったものだからおいしい!って食べてくれるでしょと期待するけど…実際はそんなもの。インスタ映えするような事態はなかなか起こりません。子どもと遊ぶのは楽しいときもあるけど、正直つまらないときだってかなりある(笑)。だから子どもと遊ぶのを心から楽しめない自分はダメ親って思わなくていいんですよね。

 

なるべく楽しくは過ごしたいけれど、自分のハードルを上げすぎないように。難しい時期だからこそ、大切だなと思っています。

◉SHELLY|シェリー
1984 年生まれ、神奈川県出身。14 歳でモデルとしてデビュー以後、タレント、MCとして幅広く活躍。4歳と2歳の娘の母。

撮影:須藤敬一 取材文:有馬美穂 編集:羽城麻子
*VERY2020年6/7月合併号「シェリーのこれってママギャップ?」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

SHELLYのこれってママギャップ?